CRF250L試乗記|軽いからオフロードも楽しめるし、もちろんオンロードもイイ感じ!|ホンダ

トレールバイクとは一般的に「公道走行可能なオフロードバイク」を指す。ひと昔前は各メーカーから色々なトレールバイクがラインナップされており、おおらかな時代ということも相まって林道や未舗装路などでナンバー付きオフロードバイクは大活躍だった。しかし近年はバイクの走行が認められる林道や未舗装路が減り、公道でオフロードバイクが活躍できる場所は少なくなってしまった。それに呼応するかのようにトレールバイクたちもカタログからその姿を消していった。
現在も一部の海外製エンデューロモデルは公道走行可能で新車を手にすることが出来る。ただし我々が抱いている「トレールバイク」のイメージとは異なり、レースに勝つための最上級モデルであり価格も最上級。
筆者のイメージするトレールバイクとは豊かな低速トルク。扱いやすさ。軽さ。足つき性などフレンドリーな要素に溢れるモデル。CRF250Lはその要素を全て併せ持つ国産唯一の現行トレールバイクなのだ。
2012年に初登場したCRF250Lは2021年にフルモデルチェンジ。本格的なモトクロスレーサーを彷彿とさせるシャープで洗練されたデザイン。エンジン搭載位置や形状の見直しにより旧モデルより30mm高い最低地上高を確保。前後のサスペンションストロークも伸ばし、更にレベルの高いオフロード性能を手に入れた。

ホンダCRF250L……621,500円(消費税込み)

扱いやすい! 軽い! 足つきヨシ!

トレールバイクとは一般的に「公道走行可能なオフロードバイク」を指す。ひと昔前は各メーカーから色々なトレールバイクがラインナップされており、おおらかな時代ということも相まって林道や未舗装路などでナンバー付きオフロードバイクは大活躍だった。

現在も一部の海外製エンデューロモデルは公道走行可能で新車を手にすることが出来る。ただし我々が抱いている「トレールバイク」のイメージとは異なり、レースに勝つための最上級モデルであり価格も最上級。

筆者のイメージするトレールバイクとは豊かな低速トルク。扱いやすさ。軽さ。足つき性などフレンドリーな要素に溢れるモデル。CRF250Lはその要素を全て併せ持つ国産唯一の現行トレールバイクなのだ。

2012年に初登場したCRF250Lは2021年にフルモデルチェンジ。本格的なモトクロスレーサーを彷彿とさせるシャープで洗練されたデザイン。エンジン搭載位置や形状の見直しにより旧モデルより30mm高い最低地上高を確保。前後のサスペンションストロークも伸ばし、更にレベルの高いオフロード性能を手に入れた。

足つき性(ライダー身長162cm)

オフロードバイクは悪路走行に対応するため車高やシート高が高く、それがネックになっているライダーも多い。しかしCRF250Lはオフロード走行に十分な最低地上高を確保しながらシート高830mmを実現。更にプロリンク式リアサスペンションを採用することで跨ったライダーの自重でリアサスが沈むため、足つきの良さはカタログ値以上。141kgの軽量な車体重量との相乗効果でストレスなく安心して日常的に楽しむことが出来る。

ホンダらしさ際立つ、トータルバランスの高さに脱帽

今回オンロード、オフロードの両方で走行テストを行ったが、共通してとても良かったのがFCC製のアシスト&スリッパ―クラッチだった。クラッチレバーの操作が驚くほど軽い。ワイヤー引きにも関わらず、油圧でもこんなに軽くなるだろうかと思うほど少ない力で細かなクラッチ操作が出来る。水冷DOHCシングルエンジンは全域において非常に扱いやすく、高速道路を走れば当然パワー不足を感じるものの市街地においては不満が出ることはないだろう。

ブロックタイヤを装着していることでエンジンブレーキの際にシングルエンジン特有の強いバックトルクでリアタイヤがロックすることを懸念したがスリッパ―クラッチで適度に力が逃がされ挙動を乱すこともない。ハンドリングも非常に反応が良く、ニーグリップで曲がりたい方向に軽く力を入れればスムーズにハンドルが旋回方向に向いていく。

キビキビと走り、軽快に曲がり、しっかり止まる。高速道路を使わず積極的に下道を走りたくなる。オフロードモデルではあるがオンロードでも十分に楽しめるマシンに仕上がっている。

ディテール解説

ブラックアルマイトが施されたアルミリム。中空アクスルシャフト。ウェーブディスクローターやカップ一体式リアブレーキマスターなど、競技用マシンさながらのパーツで軽量化。

レーシングマシン的スタイルでありながらテールには荷物積載時に便利なフックやヘルメットホルダーが標準装備。タンデムステップは全体のイメージを損なわないような、さりげないデザイン。ツールボックスがカギ付きなのもストリートユーザーにとっては嬉しいポイント。タンデムベルト付きシート。オフロードモデルとしてはクッション性上々。中距離以上のツーリングを考えるなら何かしらのアップデートはおすすめしたい。

幅広のハンドルはブレース付きで高剛性。近年主流のオープンタイプハンドガードが標準装備。スイッチ類は非常にシンプルな作り。

視認性の良いデジタルメーターはスピードや回転数の他、ガソリン残量、ギアポジション、時計。更には平均速度や平均燃費も表示する多機能設計。オフロード走行時は右上のボタンで簡単にリアのABSキャンセルが可能。

主要諸元

車名・型式:ホンダ・8BK-MD47
全長(mm):2,210〔2,230〕
全幅(mm):900
全高(mm):1,165〔1,205〕
軸距(mm):1,440〔1,455〕
最低地上高(mm)★:245〔285〕
シート高(mm)★:830〔880〕
車両重量(kg):141
乗車定員(人):2
燃料消費率*1(km/L)
 国土交通省届出値:定地燃費値*2(km/h):47.5(60)〈2名乗車時〉
 WMTCモード値★(クラス)*3:33.7(クラス 2-2)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m)2.3
エンジン型式:MD47E
エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
総排気量(cm3):249
内径×行程(mm):76.0×55.0
圧縮比★:10.7
最高出力(kW[PS]/rpm):18[24]/9,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):23[2.3]/6,500
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式★:セルフ式
点火装置形式★:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式★:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):7.8
クラッチ形式★:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速3.538
 2速2.250
 3速1.650
 4速1.346
 5速1.115
 6速0.925
減速比(1次★/2次):2.807/2.857
キャスター角(度)★:27° 30′
トレール量(mm)★:109
タイヤ:
 前80/100-21M/C 51P
 後120/80-18M/C 62P
ブレーキ形式:
 前油圧式ディスク(ABS)
 後油圧式ディスク(ABS リアキャンセル機能付き)
懸架方式:
 前テレスコピック式(倒立サス)
 後スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式:セミダブルクレードル

■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/Thai Honda Co., Ltd.
■製造国/タイ 
■輸入事業者/本田技研工業株式会社
*1燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
*2定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
*3WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。WMTCモード値については、日本自動車工業会ホームページもご参照ください。
※本仕様は予告なく変更する場合があります。
※CRF、PGM-FI、PRO-LINKは本田技研工業株式会社の登録商標です。
※この主要諸元は2023年1月現在のものです。

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著者プロフィール

MCシモ 近影

MCシモ

鈴鹿8耐を始め、国内外のレースを実況。アナウンサーやイベントMCとして活動中。
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