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電動の特徴は発進からの加速性と静粛性
将来的にはガソリンエンジンに代わり電動モーター駆動がスタンダードになっていくのでしょうが、広く普及するまでにはもう少しかかりそうです。バッテリーの小型軽量化に航続距離と、解決すべき課題は山積しています。そのため現在ホンダは、デリバリー業務用電動ビジネススクーターを法人向けに販売しているというわけです。
ベンリィeには原付一種のⅠと原付二種のⅡがあり、それぞれにスタンダードのほか、さまざまな装備を施すとともに、フットペダル式リアブレーキなどを採用しているプロがあります。まずはベンリィe:Ⅰのスタンダードに乗ってみました。
ボディデザインはビジネスバイクとして従来からあるベンリィをベースとしています。そのため見た目に目新しさは感じませんが、長年の実績があるので信頼性は高いと思います。装備面での相違点は、ヘッドライト形状が六角形でLEDを採用しているところです。車重は125kgあります。そのため取り回しは重たいです。1個11kgあるモバイルパワーパックを2個搭載しているのがやはり、重量的には不利です。ちなみにガソリンエンジン車のベンリィに比べると車重は15kg重たいです。実際の走行でどのように影響するのか気がかりでした。
ところが、PCU(パワーコントロールユニット)を介して電力供給されるモーターの駆動力は強力で、発進から実用速度に達するまでの時間は明らかに速いのです。これは電力供給されたと同時に最大の力を発揮するモーターならではの特性が生きているのだといえます。一方で、この特性は低速での扱いにくさにつながるところでもあります。以前、中国製の電動スクーターに試乗したことがあるのですが、アクセルを開けると同時に飛び出してしまう怖さがありました。しかしベンリィe:Ⅰではこのあたりが緻密に制御されていて、エンジンと同じような感覚でアクセルワークできました。
最高速テストのようなことはとくにやりませんでしたが、メーター読みで50km/h以上まで抵抗なく加速してくれるので、30km/hの法定速度がある原付一種とはいえ、現実的に安心して走れます。登坂能力は30kgの荷物を積載した状態で12°とのことですが、日常的に走行する坂道の上りで、著しく力が劣ることはありませんでした。
充電時間は0の状態から満充電まで約4時間。航続距離は87kmとなっています。
ガソリンエンジンのベンリィと比較してですが、ハンドリングには若干重さを感じるところがあります。しかしアンダーステアが強く出るとか、旋回性が悪いなんていう扱いにくさがあるわけではありません。言い換えれば、安定感の強い操縦性とすることができるかもしれません。直進安定性も高くてしっかりしています。ブレーキは前後ともドラム式を採用していて、前後連動タイプとしています。制動力やコントロール性に関してとくに不満を覚えることはありませんでした。
現状では70万円以上という価格をはじめ、満充電での航続距離の問題やインフラ整備など課題は少なくありません。しかし、より多くの事業者が利用することで問題は解決していくでしょうし、いずれ電動バイクが一般的なものになっていくはずです。
六角形デザインのヘッドライトにはLEDを採用
主要諸元 【 】内はプロ
車名・型式:ホンダ・2BH-AA05 全長(mm):1,830【1,845】 全幅(mm):690【755】 全高(mm):1,035 軸距(mm):1,280 最低地上高(mm)★:115 シート高(mm)★:710 車両重量(kg):110【114】 乗車定員(人):1 燃料消費率(km/L)*1: 国土交通省届出値:定地燃費値*2(km/h):65.2(30)〈1名乗車時〉 WMTCモード値★(クラス)*3 :50.7(クラス 1)〈1名乗車時〉 最小回転半径(m):1.9 エンジン型式:AA05E エンジン種類:水冷4ストロークOHC単気筒 総排気量(cm³):49 内径×行程(mm):39.5 × 40.3 圧縮比★:12 最高出力(kW[PS]/rpm):3.2[4.4]7,750 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):4.2[0.43]/6,000 燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉 始動方式★:セルフ式(キック式併設) 点火装置形式★:フルトランジスタ式バッテリー点火 燃料タンク容量(L):10 変速機形式:無段変速式(Vマチック) タイヤ: 前 90/90-12 44J 後 110/90-10 61J 110/80-10 58J ブレーキ形式 前・後:機械式リーディング・トレーリング 懸架方式: 前 テレスコピック式 後 ユニットスイング式 フレーム形式 アンダーボーン