「choinori(チョイノリ)」というスクーターを覚えているだろうか。年々厳しくなっていく排気ガス規制に2ストロークエンジンでは対応できなくなり、2000年ごろから50ccスクーターも4ストロークエンジンに変更されていた。2ストに比べて4ストエンジンはパーツ点数も多く、また、装備の充実もあって50ccスクーターの価格は15万円前後に上昇していた。そんな中、2003年に5万9800円(税抜き価格)という驚きのロープライスで発売されたのが「chinori」だ。その名前の通り、チョイ乗りの近距離移動に特化して、メットインボックスやラゲッジなどの装備は一切排除し、外装パネルもさえも最低限とした徹底的なコストダウンが図られた。シンプルかつ個性的なスタイルで、一世を風靡した原付だった。
ジャパンモビリティショーに出展されていた「e-choinori(e-チョイノリ)」は、ガソリンエンジンモデルのchoinoriのフレームに、電動アシスト自転車用の駆動ユニットを搭載して電動化したモデル。同時に展示されていた電動アシスト自転車から進化した電動モビリティ「e-PO(イーポ)」と同様に、パナソニックサイクルテックが開発した駆動ユニットを使用しているため、バッテリーなども共用できる。
50ccの原付1種は厳しい排ガス規制によって今後のモデル開発が難しく、2025年には排気量を124ccまでアップして出力を制限することが検討されている。このため、原付1種の価格は上昇してしまうことが予想されているので、この「e-choinori」のような電動車が低価格で発売されれば、再び話題になるだろう。
スズキではバッテリーシェアサービスの「ガチャコ」の交換式バッテリーを採用した原付2種登録(125ccクラス)の電動スクーター「e-BURGMAN(e-バーグマン)」の実証実験を都内で行なっており、この車両も展示されていた。