【07】ホンダ スーパーカブ50にスノーチェーンを巻いて、雪道を実際に走ってみた。【チェーン走行編】 

積雪時の走行に慣れた東北の各バイクショップのアドバイスを受け、フロント=スタッドレス、リア=スタッドレス+チェーンという仕様で雪上走行を慣行した。
真冬にバイクに乗る。これはバイク通勤やバイク通学する人にとっては当たり前。ただしバイクで“積雪の道路”を走る人はほぼいない。しかし驚くなかれ! スーパーカブ50用の17インチタイヤには、雪道での走行を想定した“スノータイヤ(スタッドレスタイヤ)”が存在する。第1回ではスーパーカブ50のタイヤ(ホイール)を取り外し、第2回ではスノータイヤに交換。前回(第3回)ではスノータイヤに交換したスーパーカブ50で雪国に出陣し、「雪道ではどのような走りを発揮するのか?」を試してみた。最終回となる第4回では、“バイクの雪道走行最強”と噂される、タイヤチェーンを装備した仕様で雪道での走行テストを遂行! 熱きカブフリークたちよ、アナタもぜひ一度チャレンジしてみて欲しい!!
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) / 山田俊輔(YAMADA Shunsuke) / 増田 満(MASUDA Mitsuru)

雪国ではチェーンを装備した郵便配達の「郵政カブ」が活躍中!

「フロントにチェーンを装着すると、走行安定性や操舵性が極端に悪くなるのでおすすめしない」というバイクショップの意見もあり。

第3回ではスノータイヤ(スタッドレスタイヤ)に交換したスーパーカブ50で雪国に出陣し、「雪道ではどのような走りを発揮するのか?」を試してみた。スノータイヤは外観こそ夏用タイヤと変わらないものの、雪道でのその走りはベツモノ! 雪上においては、驚くべきグリップ力を体感することができたが……。

雪国の郵政カブ(赤い郵便配達用のカブ)の中には、リアタイヤにチェーンを巻いてい走る車両が存在する。それを見て筆者はこう思った。「人々の大切な郵便物を取り扱う郵政カブが、タイヤチェーンを使用している。つまりタイヤチェーンは非常に信頼のおけるアイテム=もっとも雪道に強いはずだ!」と。

早速ネットを検索し、スーパーカブ50に適合するバイク用チェーンを購入。前後タイヤ用に2本買ったのだが!

雪国の郵便配達員に「冬×バイク」の乗り心地を聞いてみた。

青森県で生まれ育った今回の撮影&走行インプレッション担当:山田の知人Jさんは、かつて雪が降り積もる冬の時期、郵政カブに乗って郵便配達のアルバイトをしていたことがある。Jさんによれば、郵政カブで雪道を走るポイントは下記の6つ。

1:Jさんは前後タイヤにチェーンを装着して走行。ただし後輪だけにチェーンを装着した配達員もいた
2:アスファルトが露出している場所を走るとチェーンが切れやすい。なので可能な限り、雪上を選んで走る必要あり
3:ふかふかの新雪は、タイヤが埋まって走りにくい。クルマが走った後の圧雪のほうが走りやすい
4:チェーン装着でもアイスバーンはグリップせずに滑りやすく、転倒する可能性がある
5:元旦の朝の配達時は除雪されているが、一般の四輪車はほとんど走っておらず、アイスバーン状態になっているため滑りやすい
6:みぞれ状態の道路は路面がシャーベット状態となり、問題なく走行可能

Jさんは雪道の運転は1シーズンだけだったので、ベテランライダーのようにはいかず、毎日1回はバイクを倒していたという。転倒というほど大袈裟なものではなく、低速走行からの立ちごけのようなもので、怪我もなく、車両のダメージももなかったとのこと。雪道の運転に慣れたベテランのライダーたちは、ほとんど転倒しなかったという。

今回使用したタイヤチェーン

メーカー:1PZ /商品名:JPS-C17 17インチ スノーチェーン/価格:4055円

17インチのスノータイヤを履いたスーパーカブ50に装着例。
写真は接続部。ホイール径に合わせ、チェーンのコマを増減して調整するしくみ。
接続部はラジオペンチ等でかしめて固定する。

まずはリアタイヤに装着

自動車用に比べ、軽量なスーパーカブ50への取り付けは非常に簡単。タイヤを回転させながら、タイヤに覆い被せるような要領で装着していく。
チェーン取り付け作業中。
スーパーカブ50の17インチタイヤ(スノータイヤ)の場合、2コマ詰めて固定した。
装着完了。固定後はスーパーカブ50手でタイヤを空転させ、各部に接触やガタがないかを確認する。

続いてフロントタイヤに装着してみたが……

リアと同様、タイヤを回転させながらタイヤに覆い被せるような要領で装着していく。
ここで問題が発生。17インチのフロントタイヤにチェーンを付けてタイヤを空転させると、チェーンとフロントフェンダーが接触。このまま走るとフェンダーが破損してしまう。フロントフェンダーを取り外すと接触は回避できそうだが……。

北国のバイクショップに聞きました。「チェーンを巻くとフェンダーに当たるんですけど!」

バイク用チェーンのことなら、やっぱり北国のバイクショップでしょ! というわけで、東北地方にあるいくつかのバイクショップに、「スーパーカブ50に装着したチェーンがフロントフェンダーに接触。雪は飛び散るだろうが、やはりフェンダーを外す方がいい?」と質問。すると、

1:フロントにチェーンを装着すると、走安性や操舵性が極端に悪くなるのでおすすめしない
2:近年はチェーンを装着する人は減っていて、スノータイヤかスパイクタイヤで済ませる人が多い

といった回答を頂いた。今回は上記のアドバイスにのっとり、フロントフェンダーの取り外し無し+フロントにタイヤチェーンは装着せず、フロント=スタッドレス、リア=スタッドレス+チェーンという仕様で雪上走行を慣行した。

スタッドレスタイヤ+チェーン仕様のスーパーカブ50で、いざ雪国を激走

「チェーンを巻くことで、スノータイヤ単品での走行よりも雪道での信頼性がさらにアップ。よりアグレッシブにアクセルを開けられるようになったけれど、スノータイヤ単品でも十分グリップするな。北国のバイク屋さんが言ってたことに納得してしまった。ただ、チェーンそのものは1〜2分で装着できるので、1本持っておくと安心と思えた(編集部山田)」

「スノータイヤを前後に履かせたスーパーカブ50の後輪にだけチェーンを巻いて走行。その印象は、非常に頼もしいもの。数10cm積もった新雪をかき出して前進できるし、ブレーキングも確実。さらにスピードを出すとショックが大きくなるものの、安定感は変わらず。前輪が滑って逃げない速度ならば、安定感は良好(増田満)」

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北 秀昭