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1981年にデビューした輸出仕様車のGSX1100Sカタナ。ファイナルエディションは1100台を国内限定発売
1980年代に生まれたスズキの名車「カタナ」。このモデルは1981年にデビューした輸出仕様車の「GSX1100Sカタナ」が元祖。日本刀をイメージしたシャープで個性的なフォルムは、デザイナーのハンス・ムート率いるターゲット・デザインがデザインを担当。GSX1100Sカタナは最高出力111馬力を発揮する高性能な空冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ1074ccエンジンを搭載。デビュー後は世界的に大注目を浴びた。
国内仕様のカタナ1号車は、1982年に登場した「GSX750Sカタナ」。エンジンは当時の自主規制により、日本で乗れる最大排気量の750cc(カタナは747cc)とし、最高出力も69馬力に抑制。全体のスタイルはGSX1100Sカタナとほぼ同じ。ハンドルは当時の法規制に対応するためにアップタイプを採用。このハンドルは「耕耘機ハンドル」とも揶揄(やゆ)された。この750カタナに1100カタナ用のローハンドルを装着したカスタム車は違法改造とみなされ、全国各地で警察による「カタナ狩り(整備不良車として検挙)」が行われたのは有名なお話。
GSX1100Sカタナは長年高い人気を誇っていたが、エンジン設計の古さゆえ排ガス規制に対応しきれず、2000年をもって生産終了。ファイナルエディションとして、1100台が国内で限定発売。同モデルは即時完売し、カタナ人気の高さを改めて知らしめた。
ファイルエディションのエンジンは、海外仕様のフルパワー111馬力ではなく、1994年から発売された国内仕様と同じく95馬力にデチューン。 ※1994年より、これまで750ccだった国内の二輪排気量の上限が撤廃された
ホイールはデザインを従来と同一の星形としつつも、カタナ初のチューブレスタイヤを採用。貧弱だったフロントブレーキは、Φ270mmソリッドディスクから、φ300mmフローティングディスクに変更。フロントブレーキキャリパーはスライド1ポットから、対向型4ポットに強化。ステップフレームは、溶接ではなくボルト止めになるなど、当時の最新モデルに相応しい改良が施されている。
スズキGSX1100Sカタナ改 製作:ブライトロジック 展示ブース:オーリンズ
高性能サスペンションメーカー「オーリンズ」ブースに展示されたスズキGSX1100Sカタナ改。製作したのは数々のビッグバイクカスタムやレーサー仕様車を手掛けてきたエキスパートショップ「ブライトロジック」。レース活動も積極的なブライトロジックは、ワンオフパーツ製作、チューニング、キャブレターセッティング、サスペンションセッティングなど幅広く対応中。
写真はブライトロジックが製作したスズキGSX1100Sカタナ改。ガソリンタンクは艶消しブラックにペイントし、ドライカーボン製のフロントカウル、フロントフェンダー、テールカウル、サイドカウル、カーボンミラーでドレスアップ。シャープなイメージの1100カタナを、重厚でワイルドな雰囲気にアレンジしている。
MotoGPなどレーシングマシンの外装にも多用されるカーボンは、味のある独特の網目模様が特徴的。カーボンとはカーボン繊維と樹脂の複合素材で、ロケットなどの宇宙事業や航空業界などの分野で発展・活躍してきた。
カーボンはABS樹脂やFRPよりも高強度かつ超軽量なので、外装パーツに多用。またカーボンは耐熱性にも優れているため、マフラーのサイレンサーカバーなどにも繁用。ただしABS樹脂やFRPに比べ、カーボンの価格はやや高め。製法の違いにより、ドライカーボンとウエットカーボンの2つに分けられるのも特徴だ。
写真のカタナ改は、ドライカーボン製カウル類のほか、オーリンズ製の倒立型フロントフォーク「FGRT 200シリーズ」、リザーブタンク付きのリアショック「T36PR1C1LB」、ステアリングダンパー「ユニバーサル(ブラックライン)」を採用。
フロントディスクブレーキはブレンボ製ラジアル型4POTフロントキャリパーで強化し、リアショックはツインショック型からモノショック型に変更。リアディスクブレーキはブレンボ製カニ型2POTキャリパーでチューニング。
前後ホイールは世界初のマグネシウム鍛造という製法で生み出された超軽量で超高剛性を実現した「JB-POWER MAGTAN」を選択。前後タイヤはストリートユースからサーキット走行まで対応した、ハイグリップな「ブリヂストン バトラックス ハイパースポーツS23」。サイズはF120/70ZR、17R180/55ZR17をチョイス。
エンジンの外観塗装、集合マフラー、ヨシムラTMR-MJNキャブレター+パワーフィルター、オイルクーラーなど、細部まで丁寧にカスタマイズされている。