もはや宝石、世界300台限定のプレミアムモデル。|MVアグスタ・スーパーヴェローチェ98試乗記

ステアリング・トップブリッジには、レーザーエッチングで加工されたシリアルナンバープレートが誇らしい。試乗車は、EDIZIONE LMITATA(リミテッド・エディション)059/300と刻まれていた。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●KTM Japan 株式会社 / 日本自動車輸入組合(JAIA)

ディテール解説

綺麗な塗装も含めて、ロケットカウル風デザインの仕上がりが上質。幅のあるリングをあしらった、コンパクトな丸型ヘッドランプも好印象。
太いスポークを使用した独自のホイールデザインが異彩を放つ。マルゾッキ製φ43mm倒立式フロントフォークのボトムには中空の車軸を採用。φ320mmのダブルディスクブレーキにはブレンボ製モノブロック式対向4ピストン油圧キャリパーがラジアルマウントされている。前輪直後のカウル内には上に水冷用ラジエター、下にオイルクーラーを備えている。
前傾3気筒エンジンを囲うスチール鋼管製トレリスフレームをメインに、鋳物部品を組み合わせ、エンジンブロックも剛性メンバーに加わえられている。
右側に出されたマフラーは、3連ショートアップでフィニッシュする。テールエンドのデザインが奇抜である。
リンク機構を備えるプログレッシブサスペンション。モノショックはリザーバータンクを持つフルアジャスタブルのZF SACHS製。上に圧側、下に伸び側の減衰アジャスターがある。
左側で片支持されるリアホイール、24本スポークのレイアウトが良くわかる。φ220mmのディスクローターはホイールセンター近くに位置している。ブレンボ製2ピストンの油圧キャリパーは下方に装備されている。
レーシングマシンを見るような低い位置にクリップオンされたセパレートハンドル。トップブリッジ周辺の処理も美しい。
各種スイッチの間隔にゆとりがあり、操作はしやすい。下のベストポジションにホーン、上にウインカースイッチ。向こう側に人差し指で扱うディマー&パッシングがある。ウインカーの上はディスプレイ各機能の変更操作に使う。
下の赤いスイッチがエンジンキルスイッチ兼始動用スタータースイッチ。始動後は4種のモード変更に使う。上のボタンはローンチコントロールで、ゼロ発進加速時に最速タイムが効率良く発揮できるよう電子制御される。上のボタンはクルーズコントロール。
長方形のメーターディスプレイは5.5インチサイズのTFTフルカラー液晶式。写真は中央にギアポジション、デジタル速度計、時計、そして回転計は3,000〜15,000rpmスケールで、13,000rpmからがレッドゾーンになっている。もちろん表示切り替えができる。
前席クッションと後席クッション前端のシートストッパー部はバックスキンレザーに赤のダブルステッチがあしらわれている。
後席クッションは前方中央部のキー操作でロックを解除すると簡単に脱着できる。下には若干のスペースが空けられている。
左側のフロントフォークの上端にはコンプレッション側の減衰アジャスターが装備されている。
右側のフロントフォーク上端にはリバウンド(伸び)側の減衰アジャスターが装備されている。
16.5L容量の燃料タンクはセンターベルトで固定される方式。ニーグリップ部はスマートにデザインされている。
シフトリンケージのプッシュロッドがフレーム内側を貫通。アップダウンに対応するクイックシフターが採用されている。
丸型のテールランプでフィニッシュするシートエンド。フロントも含めてデザインへのこだわりが感じられる。

主要諸元

エンジン形式:水冷4ストローク 直(並)列3気筒
バルブ形式:DOHC 12バルブ(低摩耗タペット)
総排気量(cc):798
圧縮比:13.3:1
ボア×ストローク(mm):79.0×54.3
最高出力(kW/rpm):108(147ps)/13,000
最大トルク(Nm/rpm):88(8.98kgm)/10,100
始動方法:エレクトリック(セルフ式)
バッテリー:12V-8.6Ah
潤滑方式:ウェットサンプ
潤滑油容量(L):2.5

クラッチ:湿式多板式スリッパークラッチ
ミッション:6速(カセット式エレクトリック・クイックシフト)
一次減速比:1.864
二次減速比:2.529
ギア比:
 1速:2.846
 2速:2.125
 3速:1.778
 4速:1.579
 5速:1.429
 6速:1.318

最高速度(km/h):240
0-100km/h加速(秒):3.05
0-200km/h加速(秒):9.00
燃料消費率(km/L):16.4
タンク容量(L):16.5(含む予備4L)

全長(mm):2,015
全幅(mm):760
ホイールベース(mm):1,380
シート高(mm):830
最低地上高(mm):120
車両重量(kg):173(乾燥重量)

トレール(mm):99
フレーム:スチールパイプ・トレリスフレーム
懸架装置(前/後):
 φ43mm倒立式フォーク(フルアジャスタブル)/
 アルミニウム合金製片支持式スイングアーム(プログレッシブ・フルアジャスタブルシングルショック)
ホイールトラベル(mm前/後):125/123
ブレーキ(前/後):
 φ320mmフローティングダブルディスク(brembo製4ピストン、ラジアルマウントモノブロックキャリパー)/
 φ220mmシングルディスク(brembo製2ピストンキャリパー)
ホイール(前/後):アルミニウムリム&スポークホイール 3.50″×17″/ 5.50″×17″
タイヤ(前/後):120/70-ZR17 MC(58W)/ 180/55-ZR17 MC(73W)

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…