1960年代に大活躍したロケットカウル・赤銀ホンダRCレーサーのミニレプリカ!? 中国・Zeths(ゼス)の125ccモデル「One-Joy 125」は8.6馬力・最高速度100km/h

中国のバイクメーカー「Zeths」が中国でリリースする125ccエンジン搭載モデル。前後12インチホイールを採用した同車のサイズ感は、“Nチビ”と呼ばれた絶版2スト50ccの「ホンダNSR50」に極めて近い。
東京モーターサイクルショー2024年には中国のバイクブランド「Zeths(ゼス)」が出展。Zethsブースでは、1960年代に世界GPで大活躍したロケットカウル装着のホンダワークスマシン“RCシリーズ”を彷彿させる「One-Joy 125」が参考出品(中国では発売中)。同車は空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ125ccエンジンを搭載。最高出力は6.3kW(8.6ps)/75000rpm、最大トルクは8.8N.m/5500rpmを発揮。最高速度は時速100km/h。コンパクトな車体には前後12インチホイールを採用。国内での発売は未定。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
Zeths https://www.zeths.com/

Zeths One-Joy 125……8800元(日本円で約19万2000円/1元=21.8円で換算) ※同車は中国で発売中

ボディサイズは全長1570mm×全幅680mm×全高920mm、ホイールベース1100mm、シート高600mm、前後ホイールは12インチ。見た目のサイズ感は、国内でも発売中の人気原付二種モデル、モンキー125・グロム・ダックス125のサイズではなく、“Nチビ”と呼ばれた絶版2スト50ccモデル「ホンダNSR50」に限りなく近い。
1999年(平成11年)に発売されたレプソルカラーのNSR50(最終モデル)。ボディサイズは全長1580mm×全幅590mm×全高935mm、ホイールベース1085mm、シート高670mm、前後ホイールは12インチ。
ボディサイズは同じ前後12インチホイールを採用した国内でも発売中の人気原付二種モデル、モンキー125・グロム・ダックス125よりも一回り小さなイメージ。前後ホイールはスポーク型を採用してレトロなイメージを演出。
1966年に登場したGP250ccクラスのホンダワークスマシン「RC166」。空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブ249.42ccエンジンを搭載。白抜き(♯7)のゼッケンカラーは、当時の世界GP250ccクラスのレギュレーションに該当するグリーンを採用。同車の詳細は下記参照!

Zeths(ゼス)は2016年に創業された中国のバイクメーカー。同社はフルカウル付きのスーパースポーツからクルーザーまで、様々なカテゴリーのモデルをラインナップ。

写真はZethsが東京モーターサイクルショー2024に参考出品した、空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ125ccエンジン搭載のミニバイク「One-Joy 125」。同車は2024年3月現在、中国で発売中(国内での発売は未定)のモデル。

ヘッドライトやウインカー、テールランプなどの保安部品を装備し(写真の車両は中国の保安基準をクリアした仕様)、国内では原付二種に該当するOne-Joy 125は、「一般のカスタマーが製作したモンキー50のレプリカカスタムなの?」と思わせる、1960年代に世界GPで大活躍したホンダのワークスマシン“RCシリーズ”を再現したレプリカフォルムが特徴。

前後ホイールはRCシリーズと同様の、レトロなフォルムを演出するスポーク型。前後のホイール径は、ホンダの人気125モデル「モンキー125」と同寸の12インチに設定。前後ブレーキはモンキー125と同様の豪華なディスク式とし、8.6馬力のエンジンパワーに対応した足周りに設定。中国ではオプションでABS付きも選択可能だ。

外観は1960年代に世界GPで大活躍したホンダのワークスマシン“RCシリーズ”をイメージした(形状だけでなくカラーリングやデザインもほぼ同じ)、ロケットカウル、ロング型ガソリンタンク、シングルシート、艶消しブラックのダウン型メガホンマフラー(左右2本出し仕様)などを採用。

最高出力は6.3kW(8.6ps)/75000rpm、最大トルクは8.8N.m/5500rpmを発揮。なお、同じ12インチホイール採用のモンキー125(国内仕様車)の最高出力は6.9kW(9.4ps)/6,750rpm。グロム(国内仕様車)の最高出力は7.4kW(10ps)/7,250rpm。両車に比べ、バワーはやや控えめに抑えられている模様だ。

ミッションはスポーティーなマニュアル式の4速リターンを採用。メーカー発表によれば、最高速度は62マイル未満(約100km/h)を発揮する。

ディテール

レトロな雰囲気のロケットカウルにはヘッドライトやウインカーなどの保安部品を採用。
スピードメーターが設置可能な丸形のメーターケースも導入。ローポジションのハンドルはスポーティーなセパレート型。バックミラーはカフェレーサーカスタムに繁用されるバーエンド装着型。タンクから伸びるブリーザーホースはダミー。
外装パーツの形状、カラーリング、デザインはかつてのホンダワークスであるRCシリーズをコピー。白抜き(826)のゼッケンカラーは、当時の世界GP250ccクラスに該当するグリーンを採用。
シングルシートに角張ったシートカウルを組み合わせ。シートカウル形状は丸みを帯びたRCシリーズとは異なる形状。
テールカウル内に角形の大型テールランプを配置。両サイドには角形のウインカーを固定。
12インチの前後ホイールはスポーク型を採用。フロントフェンダーはRCシリーズを彷彿させるロングタイプを装備。タイヤサイズは前後とも120/70R12。
バックステップ、ディスクブレーキ、メッキのリアショック、艶消しブラックのダウン型メガホンマフラー(左右2本出し仕様)、ゼッケンプレートを組み合わせたスポーティーなリア周り。

主要スペック

全長×全幅×全高1570mm×680mm×920mm
軸距1100mm
シート高600mm
ガソリンタンク容量10L
エンジン形式空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ
排気量125cc
最高出力6.3kW(8.6ps)/7,500rpm
最大トルク8.8N.m/5,500rpm
圧縮比9.0
フロントサスペンション正立型
リアサスペンションスイングアーム/ツインショック型
ホイール径前後12インチ
タイヤ前後120/70R12

1960年代に活躍したホンダのワークスマシン「RCシリーズ」

「RCシリーズ」とは、ホンダがロードレースに送り込んだレース専用のワークスマシン。1959年、ホンダはロードレース世界選手権(WGP)マン島T.T.レースに初出場。このレースに参戦するために開発したのが、空冷4ストローク並列2気筒DOHC 4バルブ125ccエンジン搭載の「RC142」。

RC166

写真上は1966年に登場した世界GP250ccクラスのホンダワークスマシン「RC166」。空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブ249.42ccエンジンを搭載。最高出力はオーバー60ps / 18,000rpmで、最高速度はオーバー240km/hを発揮。車両重量は112kgの超軽量。

パワーバンドが極めて狭い、超高回転型の6気筒エンジンに採用されたミッションは、エンジン回転数の低下を防ぐため(パワーバンドの高回転をキープするため)、多段式の7速を採用。ボア径×ストローク長は高回転域でパワーを稼ぎ出す、レーシーな39mm×34.8mmのショートストローク型(ストローク長よりもボア径の大きいスポーティーなタイプ)に設定。

カムシャフトの動作はチェーン式ではなく、レスポンスに優れたホンダ独自のカムギヤトレーン式を採用。白抜き(♯7)のゼッケンカラーは、当時の世界GP250ccクラスのレギュレーションに該当するグリーンを採用。

RC181

また写真上は、1966年に登場したロードレースの最高峰・世界GP500ccクラス(現在のMotoGPクラス)出場のホンダワークスマシン「RC181」。空冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ499.6ccエンジンを搭載。最高出力はオーバー85ps / 12,000rpm、最高速度はオーバー260km/h。車両重量は151kg。

世界GP250ccクラスの「RC166」に比べ、排気量が大きくてトルクフルな世界GP500ccクラスのRC181は、7速ミッションではなく6速ミッションを採用。黒ゼッケン(♯4)の背景は、当時の世界GP500ccクラスのレギュレーションに該当するイエロー。

ボア径×ストローク長は、ホンダワークス定番の高回転域でパワーを稼ぐ、ショートストローク型の57mm×48mm。カムシャフトの動作はチェーン式ではなく、RC166と同じくレスポンスに優れたホンダ独自のカムギヤトレーン式を採用。ホンダワークスは1970年代以降、2ストエンジン搭載のNSシリーズに移行した。

写真左)RC211V  写真右)RC213V

2002年のロードレース世界選手権において、最高峰のGP500クラスはMotoGPクラスへと名称が変更。レギュレーションが変わり、4ストロークマシンの最大排気量が990cc以下に改定。これに伴い、ホンダは2ストロークマシンのNSR500から4ストロークマシンのRC211Vを投入。「4ストエンジン搭載のワークス=RC」の名が復活した。2014年シーズン、ホンダは最新型のRC213Vを投入中。

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