スーパースポーツのような見た目のホンダCBR400R、走った感想は優秀なスポーツツアラー。|試乗記

クロスオーバーモデルの400X、ネイキッドのCB400Fらとプラットフォームを共有する形で、2013年に登場したCBR400R。最新の2024年モデルはスタイリングを一新するとともに、トラクションコントロールや5インチフルカラーTFTメーターを採用するなど、装備を充実させてきた。あくまでもマイナーチェンジの域を出ないが、そのパフォーマンスをあらためて確認するべく、下道をメインとするロングツーリングに連れ出した。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

2022年モデルでフロントフォークはφ41mm正立式からショーワ(日立アステモ)製のφ41mm倒立式SFF-BPへ。同時にフロントブレーキはシングルからダブルディスクとなり、キャリパーはピンスライド片押し式2ピストンからラジアルマウント対向式4ピストンへ。2024年モデルは2種類ある標準装着タイヤのうち、ダンロップのD222については変更がなく、ミシュランのロード5はロード6へ。
2022年モデルでスイングアームの剛性最適化を実施。リヤキャリパーはニッシン製のピンスライド片押し式シングルピストンだ。ABSについては、2018年モデルでタイプ設定から標準装備となり、2019年モデルで制御をより緻密化したモジュレーターを採用している。
リヤサスはリンク式モノショックで、ショックユニットは2019年モデルで分離加圧式に。プリロードは5段階に調整可能で、標準は最弱から2段目だ。
180度位相クランクを採用する399cc水冷並列2気筒エンジン。ローラーロッカーアームやカップルバランサー、セラシギヤなども導入している。アシストスリッパークラッチの採用は2019年モデルから。2022年モデルで令和2年排ガス規制に適合している。
ブレーキレバーは2016年モデルで5段階調整式に。正立フォーク時代は2016年モデルからプリロード調整が採用されていたが、SFF-BPではこれが省略されている。
直感的な操作を可能とする4ウェイセレクトスイッチ。今年からホンダの各車に次々と採用されており、グローブを装着したままでも操作しやすいなど使い勝手は上々だ。2024年モデルからトラコンが装備されており、それを操作するためのスイッチも追加された。
5インチフルカラーTFTメーターを新採用。これもホンダ内で導入車種が増えている。表示レイアウトはバー/サークル/シンプルの3タイプから選択可能で、画像はサークルだ。スマホとの連携を可能とした「ホンダロードシンク」も搭載されており、市販のインカムを通じて音声操作もできる。
シートは前後別体式で、ライダーシートの座面高さは2013年登場の初代から785mmを継続している。純正アクセサリーのリヤキャリアを追加すれば、トップケースの装着も可能に。
タンデムシートはキーロックの解除で取り外し可能。ヘルメットホルダーは付属のワイヤーを組み合わせて使用するタイプだ。シートの裏面には荷掛け用のベルトあり。
LEDヘッドライトは逆スラントデザインを踏襲しつつ、さらにCBR1000RR-Rフェイスに近付いた。純正アクセサリーでハイウインドスクリーン(1万5400円)を用意。
LEDテールランプはよりコンパクトなデザインに。なお、灯火類ではナンバー灯のみフィラメント球を採用する。
ミドルカウルの内側に小さなウイングレットが確認できる。さらにスリットを配置したダクトも新設されているのだ。

ホンダ CBR400R 主要諸元

車名・型式 ホンダ・8BL-NC65
全長(mm) 2,080
全幅(mm) 760
全高(mm) 1,145
軸距(mm) 1,410
最低地上高(mm) 130
シート高(mm) 785
車両重量(kg) 191
乗車定員(人) 2
燃料消費率(km/L) 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 41.0(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス) 28.1(クラス 3-2)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 2.9
エンジン型式 NC65E
エンジン種類 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒
総排気量(cm3) 399
内径×行程(mm) 67.0×56.6
圧縮比 11.0:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 34[46]/9,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 38[3.9]/7,500
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 17
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
 1速 3.285
 2速 2.105
 3速 1.600
 4速 1.300
 5速 1.150
 6速 1.043
減速比(1次/2次) 2.029/3.000
キャスター角(度) 25゜30′
トレール量(mm) 102
タイヤ
 前 120/70ZR17M/C(58W)
 後 160/60ZR17M/C(69W)
ブレーキ形式
 前 油圧式ダブルディスク
 後 油圧式ディスク
懸架方式
 前 テレスコピック式(倒立サス)
 後 スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式 ダイヤモンド

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…