カフェカブミーティングin青山人気投票10年連続受賞!
2024年に第27回を迎えたカフェカブミーティングin青山。ホンダ本社ビルの1階にあるウェルカムプラザを開放しつつ、ビル周囲をスーパーカブが埋め尽くす光景はファンにはすっかりお馴染み。ところが本社ビルの建て替え工事のため2025年から解体作業が始まるため、長く続いたミーティングは今回で最後になるかもしれない。
このイベントはスーパーカブを文化として語り合う場を設け、情報を発信したいと考えた主催者により開催されてきた。ご存じのようにスーパーカブは現在、すっかりファンバイクとして認知されカスタム文化も大いに盛り上がった。その立役者が同イベントでもあったのだ。そしてカフェカブミーティングに参加し続け、なんと10年連続でファン投票を受賞してきた人といえば、カブを盛り上げてきた一人と言っても良いだろう。それが今回紹介するカイキチさんだ。
カイキチさんのことは過去にモトチャンプ誌の取材時に話を伺い、それ以来毎年のようにカフェカブミーティングの会場で顔を合わせてきた。その間に3台のカブをカスタムされ、3台ともに人気投票で上位に食い込んでいる。上写真でまたがっているJA44は2023年に人気投票1位に輝いており、それも納得の仕上がり。ではなぜ、ここまでカイキチさんはカブに入れ込んでしまったのだろう。
カブに入れ込むきっかけとなったのが、このオレンジのC50。カイキチさんは部品設計の会社にお勤めで、同僚に新車でC50を買った人がいた。数年乗ってきたもののスーパーカブ110であるJA10へ乗り換えるという。C50の下取り価格を聞いたカイキチさんは、同じ価格で売ってくれるよう頼むと快諾。こうしてスーパーカブが手元にやってきたのがそもそもの始まりだった。
仕事として部品設計をしているくらいなので、機械イジリは大好き。しかも部品を作る工作機械や溶接機などを自宅ガレージに揃えていたので、カスタム意欲があれば何でも自分で作ってしまう。そんな人へスーパーカブが渡ればカスタムせずにはいられないだろう。まず注目なのがスタイル。ヘッドライトは自作したカバーにLEDライトを仕込んでイメージチェンジ。さらにハンドルをカバーごとウインカー位置内側からバッサリとカットしてショート加工。再溶接するパイプは下へ曲げた状態にしている。なくなったウインカーはレッグシールド上へ設置。さらに小ぶりなメーターバイザーもステーから自作したものを装着した。
エンジンをチューニングするので、車体の補強は欠かせない。そこでX型サブフレームを鉄パイプから自作している。2本を溶接しつつ熱で炙って曲げるという難度の高い技により実現したものだ。またパワーアップとフレーム補強だけでなく、前後のサスペンションも変更している。特に注目なのがフロントフォークでC50純正のボトムリンク式ではなくテレスコピック式になっている。フォーク自体はホンダDio用を使っているが、問題になるのがステムでカブのままでは絶対に付けられない。そこで知り合いが製作したステムを用いてフォークを組み込み、周囲のボディパネルを自作して完成させた。純正ドラムブレーキが使えるよう、ブラケットも製作している。
鮮やかなオレンジのボディは、これまた自宅ガレージで全塗装したもの。ウレタン2液性塗料をガン吹きしていて、実に見事な仕上がり。製作から10年ほど経ったため部分的に劣化が見受けられるものの、とても素人仕事とは思えないほどだ。このボディ色に合わせてシートも変更している。ロングになるミディシートにしたが、単にそのままでは使わない。表皮を剥がして内部のスポンジの厚みを変更。アンコ盛り状態にしてから表皮を張り替えたのだ。
エンジンはミニモトのキットを用いて110cc化している。組み合わせたキャブレターはYD28なので、純正と比べたら別物のようなパワフルさを手に入れた。その対策としてオイルクーラーを増設したのだが、逆に冷えすぎてしまう。それなら外してみよう実践すると、やはりオイルクーラーは不要だった。そこでヘッドから取り出したオイルクーラー用パイプ(写真の赤い部分)だけ残してオイルクーラー代わりにしている。
もちろん排気系にもこだわりを貫き自作している。高回転でのパワーだけでなく低速トルクを引き上げたいと考え、サブチャンバー付きのエキゾーストパイプを製作した。すると狙いは的中で、実にトルクフルなエンジンに仕上がった。
エキゾーストパイプだけでなくマフラーにも注目だ。スイングアーム付近まで伸ばしたエキパイとの接続部から2本出しとなるデュアルサイレンサーは排気量の大きな他車用製品であるLASERスリップオン。自作したエキパイと組み合わせるため加工しなければならないが、まるで違和感ないことに驚く。サイレンサーステーも自作していて、サイドカバー内のフレームで固定している。なにしろ芸が細かいのだ。残りの2台も続けて紹介する予定だ。