JA44スーパーカブ|2023年のカフェカブミーティングでコンテスト1位、 2024年も3位の渾身作です。

カフェカブミーティングin青山の常連かつ10年連続コンテスト上位入賞を果たしたカイキチさん。最新作のJA44には驚きのステアリングダンパーが見事な技で仕込まれていた。

REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ベースは2019年式スーパーカブ110ストリート。46worksミラーはショート加工している。
レッグシールドのグラフィックが左右で違う。

スーパーカブばかり3台も所有して、それらすべてを自作の技でカスタムしまくるカイキチさん。過去に2度ほど「スーパーカブばっかり3台も所有。しかも改造がカッコ良い。オーナーのカイキチさんにアレコレ聞いてみた!」「JA10、角目のスーパーカブのカスタムはちょっと珍しい。渾身のフェンダーレスがポイントです。」と紹介させていただいた。今回は最後で最新作になるJA44を紹介したい。

このマシンは得意の全塗装をせず部分塗装で仕上げている。

カイキチさんのことは過去の記事で紹介しているので詳しいことは省略させていただくが、このJA44も前2車と同様に職場の同僚から譲り受けたもの。数年したら、いずれ同僚がまた乗り換えることになりそうとのことで、近いうちにもう1台カブ系が増えそうな勢い。だが、2025年のカフェカブミーティングはホンダ本社ウェルカムプラザで開催できないため、代替イベントが切望されるところ。

すっかり有名人で原付カスタムコンテストの審査員も務めるカイキチさん。

このJA44は2019年に限定発売されたスーパーカブ110・ストリートをベースにしている。ボディとレッグシールドを同色に塗装しつつサイドカバーやリヤキャリア、前後ハブなどをブラック塗装としていたことが特徴。カイキチさんのボニーブルーのほか、ハーベストベージュの2色が設定されていた。このマシンを譲り受けて考えたのは、前2車で施した自家塗装をせずストリートの個性を生かすこと。そこでボディカラーを変えることなく、前2車と同じように円弧を加えて外観を整えた。

自作ステーに装着したスクリーンはヘルメットのバイザーを利用。

だが、それで終わらないのがカイキチさん。例によってフロントフォークはDio純正のフォークを流用している。これはステムを自作したものに変えないと装着できないため、難易度は高い。さらにヘルメットのバイザーを利用した自作スクリーンを装着。前のJA10同様にスプロケットカバーを前後とも自作したものに変更して、チェーンケースは取り去っている。またA7075超々ジェラルミンによる自作スプロケットも同様で、親戚の工場にウォータージェットがあるためカイキチさん自らカットしたものだ。

ダンパー自体は汎用品だがステーやアダプターを自作したステアリングダンパー。

今回のマシンで初の試みとなったのがステアリングダンパー。ダンパー自体は海外製の汎用品を使うが、ステーやブラケットなどを自作してリンク状にしなければならない。取り付け位置もフレームで固定するため設計図が必要なはずだが、カイキチさんは設計関係の仕事をしているので苦にならない。実際ハンドルを左右に切ってみると、その効果は非常に高い。走行中の安定性は抜群だろう。

フロントフォークはDio純正を加工して装着する。

ストリートはハブをブラックに塗装していることも特徴。そこでフロントフォークをDio用にしつつ純正ハブやホイールを生かすため、パネルストッパーを自作して組み合わせている。フォーク裏に付いているのがそれで、実に芸が細かい。さらにホイールリムはJA44純正ではなくクロスカブの純正を用いている。こうすることでJA44よりワイドなタイヤを装着することができるのだ。

エンジン本体はノーマルだが輪切り溶接したエキパイやサブチャンバーを自作。

エンジン自体はJA10E型をそのまま使うが、ヘッドカバーを赤く塗装したあたり何かを主張している。ヘッド左に装着しているのはアルミから自作した冷却アップのためのパーツ。また輪切りにして溶接することで独自の形状を生み出したエキパイももちろん自作。その奥にサブチャンバーが装着されていて、高回転だけでなく低中速域でのトルクアップに貢献している。

スロットルボディは加工してφ23.6mmにまで拡大している。

インテークの青いホースがカスタムチックだが、実はスロットルボディは純正を加工して径を拡大した自作ビッグスロットルボディなのだ。より多くの空気を吸い込ませることが可能になり、JA10の記事でも紹介したようにECUに細工をしてガソリンの噴射量を変更している。排気量を変えなくても十分過ぎるほどパワフルになるのだ。

他車流用でアルミ溶接したクラッチカバー。

クラッチカバーもJA10の記事と同じようにホンダ製他車のものを流用して装着している。HONDA RACINGの文字が鋳込まれた丸い部分だけカットして、JA10E型の同じ部分をカット。アルミ溶接により入れ替えることに成功している。装着してからすでに時間が経過しているものの、不具合はないというからお見事。

サイレンサーの内部を加工した自作マフラー。リヤサスはRCB製。

吸気を加工してエキパイを自作したが、サイレンサーはC50の記事と同じものを使う。LASER製スリップオンなのだが、単に組み合わせただけではない。内部をくり抜いて羽根を増設することで、一度流れた排気が渦を巻いて逆流しつつサイレンサーから排出されるようにしている。もちろん部品をイチから作らないとできないことで、どこまでも自作魂が貫かれているのだ。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…