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ラジアルとバイアスは内部構造の違い
ラジアルタイヤとバイアスタイヤは、主に内部構造に大きな違いがある。タイヤは、ゴムだけでできているのではなく、内部にカーカスという骨格のようなもので全体を支えているのだが、ラジアルタイヤの場合、そのカーカスを放射状(=ラジアル)に重ねて、スチールなどのベルトで締め上げているような構造。対して、バイアスタイヤは、カーカスを斜めの向き(=バイアス)に重ねているような構造だ。
こうした構造の違いにより、ラジアルタイヤは、高速での乗り心地がよく、安定して走行するのに適しているといわれている。また、耐摩耗性能に優れ、比較的グリップ性能も高い傾向にある。そのため、ワインディングやサーキットなどでのスポーツ走行や、パワーのある車両に向いているといわれている。
こうした傾向により、ラジアルタイヤは400cc以上のスポーツバイクの大半に採用されている。バイアスタイヤと比べると、価格が比較的高くなるといったデメリットもあるが、中・大型バイクは、価格より性能を重視するユーザーも多い分野だといえる。そのため、やはりラジアルタイヤ装着車に高い人気が集まる傾向が強いともいえる。
一方、バイアスタイヤの場合は、悪路や低速走行に優れているといわれている。そのため、悪路を走るオフロードバイク、低・中速域での快適性を追求したネオクラシックなどのモデルへの採用例も多い。また、価格面のメリットにより、250cc以下の軽二輪や原付二種クラスなどでは、スポーツモデルであってもバイアスタイヤを採用しているバイクも多い傾向だ。
自分の愛車がどちらか見分けるには?
このように、特徴などの違うラジアルタイヤとバイアスタイヤだが、自分の愛車は、純正で一体どちらを装着しているのかは、何を見れば分かるのだろうか?
最も簡単な方法は、タイヤのサイド部やカタログなどに掲載されているサイズ表記を見ることだ。
例えば、ラジアルタイヤとバイヤスタイヤでは、表記に以下のような違いがある。
注目したいのが上記の構造表記。ラジアルタイヤの場合は「R」か「ZR」、バイアスタイヤは「ー」で表記されるので、それを見れば愛車はどちらを使っているか一目瞭然だ。
ちなみに、ラジアルタイヤの場合、ZRが付いているのは270km/hを超える最高速度に対応するタイヤのこと。その速度以下のタイヤはRが付くので、新品に交換する際などは間違えないようにしたい。
また、バイヤスタイヤには、「ベルテッドバイアス構造」を採用しているタイプもある。この構造は、バイアス構造のタイヤをベルトで補強したもので、トレッド部の剛性が高まることで、重量車に適していることが特徴。クルーザー系車両用のタイヤに採用されることが多く、表記は以下のようになる。
ほかにも、バイヤスタイヤには、1990年代前半以前に設計されたタイヤなどには、サイズを以下のようなインチ表示にしているものもある。
ちなみに、インチ表示のタイヤの中には、荷重指数、速度記号の代わりにプライレーティングで表示するものもある。プライレーティングとは、荷重指数、速度記号と同様に耐荷重強度を現す記号のこと。「プライ」とは、タイヤのボディを構成するコードの層を意味し、それを何枚重ねた強度を有しているかを意味する記号がプライレーティングだ。上の例では「4PR」となっているが、この4という数字が「5」や「6」と大きくなるほど、負荷能力も高くなる。
どんなタイプをつかっているかで愛車の個性や性格も分かる
このように、ラジアルタイヤとバイアスタイヤは、そのマシンの性格やコストなどに応じて使い分けがなされているのだ。自分の愛車がどちらかを使っているのかを知れば、その乗り味の特徴もより分かりやすくなるといえる。
例えば、ラジアルタイヤを使っている400cc以上のスーパースポーツであれば、コーナーでの軽快さやグリップ感、高速道路での快適性などを追求。よりレーシーな走りを楽しめる設定になっているといえよう。
一方、バイアスタイヤを使っている250ccクラスのクルーザーやネオクラシックなどでは、低・中速走行時におけるエンジンの鼓動感や、発進時のスムーズさなどを追求。のんびり走ることが楽しいバイクであることなどが分かる感じだ。
いずれにしろ、バイクの走りにとって非常に重要な部品といえるのがタイヤ。ラジアルやバイアスかといった種類の違いはもちろん、指定空気圧やライフの見方など、自分の愛車に装着しているタイヤに関する情報をできるだけ多く持つことで、より安全で楽しい走りを味わえるといるだろう。