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日立Astemo E-Axle(イーアクスル)……参考出品
日立Astemoが開発した「E-Axle(イーアクスル)」は、二輪車の電動化に欠かせないモーター、ギアボックス、インバーターを一体化した、独自の電動パワートレインシステム。
E-Axleは内燃機関モデルから電動車への置換を容易にするアイテムとして、EICMA2022で初公開。小型・軽量で高出力という特性を活かし、110cc~125ccクラスへの搭載を前提に開発した製品を発表した。
多くの小型二輪EV が採用するインホイールモーターやサイドホイールモーターとは異なり、フレームに搭載するオンボード型とすることで操縦安定性に優れ、スタイリングや車体レイアウトの自由度をアップさせた。
最新版はインバーターのレイアウトを変更し、さらなる小型化を実現
E-Axleの最大の特徴は、モーター、ギアボックス、インバーターを一体化したコンパクトなパッケージ。そのレイアウトは、特許を含めた独自技術で構成。搭載には EV専用フレームを必要とせず、内燃機関の既存ライトモーターサイクル用フレームにも搭載可能で、車両開発時および製造時の負担を軽減。またコンパクト設計により、バッテリー搭載スペースの自由度が高く、スペースを広く取ることで航続距離の延長を達成した。
EIMCA2023で発表した改良型のE-Axleは、 OEMニーズのもと、ライトモーターサイクルへの搭載を主眼に、スクーターへも適用できるよう、ユニットのさらなる小型・軽量化を実現。
EICMA2024で発表された最新のE-Axleは、パワートレインの下から、モーターの軸方向に対して横置きに配置してインバーターの搭載位置を変更。これにより、インバーター内に回転角センサーを内蔵することが可能となり、ユニットのさらなる小型化を実現。部品点数も削減させた。
また走行風を利用したインバーターの自然冷却方法の効率化や、E-Axleとしての振動対策なども進め、車両での実走テストも行いながら、市場適合性を一層アップ。
電子制御システムのマネージメント機能を集約した「EMU」、バッテリーを管理・制御する「BMS」の研究開発も進行中
二輪車の操縦安定性や安全性に欠かせない、様々な電子制御システムのマネージメント機能を集約し、ソフトウェアアップデートのみで機能変更への対応を可能とする「EMU(EV system Management Unit)」に加え、 EVシステムに必須となる「BMS(Battery Management System)」の研究開発も引き続き推進。
今後、二輪のEV市場が拡大していく中では、「いかにバリエーション展開を効率よく行うか?」が大きな課題。同社の開発する EMUは、ソフトウエアのアップデートと機能変更を実現することで、様々な二輪EVをリーズナブルなリソースでバリエーション展開することに貢献。
BMSは電池残量・劣化度合の推定やセル電圧の均等化など、バッテリーの監視機能に加え、バッテリーセルの過充電や過放電、出力端子の過電流などを防ぐ安全機能を装備。
同社のBMSは、すでに四輪車(EV)へ高い搭載実績を誇り、そこで培った高精度なバッテリーセルの電圧検出技術や故障検知機能を活用。安全性を確保しながらバッテリーのパフォーマンスを最大限に引き出し、航続距離を延長することを可能としている。