Astemo……SHOWAブランドサスペンションを継続

性能アップはもちろんのこと、より自分の走りに合わせこんでいくというのがチューニングの基本。昭和の時代であればいざしらず、今どきのバイクは純正装備されるパーツも高性能化。調整機構も豊富で不満は出にくい。とはいえ、さらなる自分仕様を求め、人との差別化を図るうえで足回りのチューニングは王道かつ効果的である。
精度の高い部品を使い、オイルシールなどの躍動部にもこだわることでフリクションを軽減させれば、あきらかに高級感のある乗り心地に変貌。一方で、部品の精度は高く、動きも良いけれど、専用に作られていなければその後のセットアップ面で苦労することもある。
今回、SHOWAから新たに商品化されるZ900用BFF(バランスフリーフォーク)とBFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)。すでに発売されるZ900RS用前後ショックもあわせて、SHOWAが所有するテストコース。塩谷プルービンググラウンドでSTDとの比較も含めて検証した。

SHOWA  BFF(バランスフリーフォーク

バランスフリー構造を採用したBFFはSHOWAが最高峰でのレース活動で培った様々なテクノロジーをフィードバック。ガス室とオイル室を分離したサブタンク別体構造によるガス加圧でキャビテーションを抑制。圧側、伸び側の減衰力は無段階調整。また、スプリングは高品質、高強度かつ軽量な自社製を採用。ボルトオンで装着可能だがインナーチューブは41→43mmに大径化。フリクションロス低減のため、チタンコーティングが施される。

SHOWA  BFF(バランスフリーフォーク
SHOWA  BFF(バランスフリーフォーク
SHOWA  BFF(バランスフリーフォーク

SHOWA BFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)

世界で販売されるモーターサイクルの50%以上がOEM採用しているというSHOWA。現在はバイク乗りにはお馴染みのケーヒンやニッシンとともに日立オートモーティブシステムズと経営統合され、日立Astemoに。この4月1日からは社名をAstemo株式会社と変更されるとのことだが、それぞれのブランドは引き続き継続されるという。

サブタンク構造により、ガス加圧によりキャビテーションを抑制。減衰力調整は伸び、圧側ともに無段階。自社開発スプリングはプリロードアジャスターにより手動で調整可能。インナーロッドはチタンコーティングが施され、フリクションロスを低減。

BFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)
BFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)
BFR‐liteC(バランスフリーリアクッション)

Z900RS

BFF

Z900用と基本構造は同様だが、中身は専用に設定される。また、ラジアルマウントタイプのキャリパーを採用するアクスルホルダーはアルミ削り出しとなり、より高級感を演出。実車はAstemo社のブランド、ニッシン製キャリパーに換装される。

BFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)

バランスフリー構造を採用するBFRC-liteはボルトオンで交換可能。闇雲に荷重設定を高めず、さほどペースアップしていない状況でも豊かな接地感が味わえる。高い質感に負けないしなやかな乗り心地が味わえる。価格は198,000円。

BFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)
BFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)
BFRC‐lite(バランスフリーリアクッション)

走り/塩谷プルービンググラウンド

ギャップ走り

テストはSHOWA所有のテストコース。塩谷プルービンググラウンドにて行われた。意図的に作られた数々のギャップにより、通常のサーキットでは得られない様々なテストおよび開発が可能とのこと。STDと比較して吸収性や収束性の違いを実感した。

テストコースは日本の一般道ではあり得ないようなギャップが設けられている箇所が複数あり、そのショックを拾いがちな面もあったが、たとえば伊豆スカイラインやターンパイクのようなよりスムーズなワインディングであればさらにこの設定が活きてくると思われる。もちろん、サーキットでのスポーツライディングにも適していると思われる設定だ。

STDに対しバネレートを含めて高荷重設定。スローペースではややハードに感じられるが、しっかりと減衰力が働いているので嫌な硬さではない。ペースを上げた際のしっかり感や接地感は大幅に高まり、より軽快でキビキビしたハンドリングが楽しめる。

SHOWAのようなブランドが手掛けた安心感は大きい。
そして専用設計ですべてボルトオンで装着出来るというのもポイントだ。
今回テストしたサスペンション注目のテクノロジーはバランスフリー構造。サスペンションの構造はなかなかに複雑で解説するのも難しいものであるが、シンプルにいうとユニット内の圧力バランスの変動を極限まで抑えることで、減衰力の応答性を最大限高めることが可能になっているという。複雑化していくことで製作工程の難易度があがり、結果的に製品化が難しい。あるいは可能であってもコストがかかりすぎることで一般的なものとなりにくい状況をクリアしたというのもSHOWAならではだろう。

すでに発売されているZ900RS用は、これまで300セット以上を販売しているとのこと。

実際に走行して

STD車両と直接比較することで、まずは乗り心地の良さを感じる。フリクションが少ないという高性能サスペンションの基本と同時に、ダンピングのリニアさとボリューム感を感じさせる。結果的にタイヤの路面追従性があがり、走りの安心感が高まっているのである。これは事前の商品説明でも聞いた狙いのパートとのことだが、なるほどと納得しながらの走行であった。

サーキットでのラップタイム短縮的な設定ではないものの、むしろどんな状況にも違和感なくとっつきやすい設定。のんびり走らせるのはもちろん、スポーティに走らせた際にも安心感が絶えず付随することで、走りの楽しめる度が倍増。
フリクションロスが低減され、動きの良さを実感。一般的なサーキットのようなスムーズな路面よりも、荒れた路面でより真価を発揮する。
STDに対しバネレートを含めて高荷重設定。スローペースではややハードに感じられるが、しっかりと減衰力が働いているので嫌な硬さではない。ペースを上げた際のしっかり感や接地感は大幅に高まり、より軽快でキビキビしたハンドリングが楽しめる。

高性能サスペンションというと、どうしても高剛性で硬めになるイメージもある。インナーチューブ径はSTDの41から43mmに大径化され、いかにも剛性が高そうな凄みもある。しかし、セットアップは決してハードな走行向けではないので非常にフレンドリー。ツーリングペースであっても豊かな接地感を提供してくれ、安心感が高い。それでいて、スポーティに走らせた際の踏ん張り具合も1ランク上である。

時間の都合でセッティング変更までは出来なかったのであるが、さらに細かいセットアップを行っていける余力が感じられた。

また、テストコースのワインディング路に設けられた数々の凹凸に対しての吸収性の高さも印象的だ。単純に上下方向のギャップではなく、バンク中での通過時にフロント周りが暴れるような状況下であっても、その後の収束に大きな違いがあったのも特筆すべきことだろう。バンク時にはサスペンションの動きが制限されがちであるが、その領域でのダンピングのリニアさやフリクションの少なさがマシンの接地感や安心感を高めていたのがハッキリと感じられたのだ。

Z900

続いてテストしたZ900は国内よりも欧州で高い人気を誇るモデル。Z900RSのベースモデルにも用いられたことから共通部品も多いが、スタイリング同様走りのキャラクターは大きく異なっている。シンプルに言えばよりスポーティな設定。そのマシンのキャラクターをより強調するかのような設定としたという。STDと比較してバネレートもやや高められているとのことで、走行中の車体姿勢もやや前下がり。ギャップ通過時には一瞬強めにショックを感じさせるが、それが素早く収束していくのでラインの乱れが少ない。そしてスピードを上げるに従い、さらに確かな手応えが感じられる。ハード目といっても接地感のないガチガチなものではなく、よりボリューム感のある安心感が付帯しているのである。ブレーキング時のタイヤを押し付けていく感触も高く、しっかりサスペンションが機能していると実感できる仕上がりだ。

品質に見合った文句なしの価格

価格はなんと税込25万3千円での販売を予定しているとのこと。通常であれば相当高額な商品になりかねないパーツであるが、同ブランドだからこそ出来たと言える価格設定だろう。こちらもZ900RS用同様、ブレーキ周りやフェンダー等、すべてボルトオンで装着出来るというのもSHOWAが目指した方向であるという。
リヤサスペンションに比べ、なかなか手が出しにくかったフロントフォークのアッセンブリー交換。対費用効果を考えても、相当満足感の高いカスタムとなること請け合いだ。

見た目はフツーのバイク用フロントフォーク、でも中身は特許取得の新構造。どんな仕組み&乗り心地?

「目から鱗」の革新的アイデア。基本的な自然現象に着眼し、優れたサスペンション機能を提供する進化系フロントフォークの新構造についてお伝えしましょう。 REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●山田 俊輔(YAMADA Shunsuke) 取材協力●株式会社オリジナルボックス

https://motor-fan.jp/bikes/article/121971