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SWM・SM125R FACTORY …… 579,700円(消費税10%込)
SWM・SM125R FACTORY …… 579,700円(消費税10%込)
8000rpmからが素晴らしい、官能的なエンジン
エンジンを始動した瞬間に驚かされたのはレスポンスの鋭さだった。アイドリングからスロットルを開ければシュンシュンと軽快に吹け上がる。クランクケースを見てみるといかにもフライホイールマスが小さそう。そうなると低速での粘り強さはどうなのだろうと思ったが、クラッチをつないでみると125の4ストなのに下からトルクがあって走りやすい。ストリートを流して走っているくらいなら上まで引っ張る必要がないくらい力強いエンジンである。
本格的にパワーが出てくるのは8000rpmぐらいから。排気音が変わって11000rpmオーバーまで吹け上がる。この時の排気音は素晴らしくて、思わず聞き惚れてしまうほど。メカノイズや不快な振動も少ないから、何にも邪魔されず高回転型エンジンのフィーリングを堪能することができる。今まで乗った125ccクラスの4ストマシンの中で一番官能的なエンジンだった。
フレーム剛性良し、シートは硬し。
車体周りの完成度も高い。ストリートを走っているだけでもフレームの剛性が高くて、しっかりしている感じが伝わってくる。ブレーキは初期の握り始めからガツンと効く。レースを意識したモタードのレーサーそのもの。サスのストロークが長いからブレーキング時、フォークの沈み込みも大きい。普段ロードバイクに乗っている人が最初に乗る時は、丁寧なブレーキ操作をしないと姿勢変化が大きくて驚くかもしれないが、これがモタードマシンの挙動なのである。
ハンドリングは軽快でストリートでは扱いやすい。ただし、ちょっと攻めようとすると手強くなってくる。ロードスポーツ的な安定感やオフロードバイクのような自由自在感があまりないからだ。元々オフロードバイクとして設計されたマシンのフロントホイールを極端に小さくしているのだから、これはSWMに限らずモタードバイクの宿命とも言うべき点。ステアリングの入力に対しての反応がどうしても過敏な方向になってしまう。もちろん小径ホイールにしても素直なハンドリングになるマシンもあるけれど、乗りやすさだけを言えばオフロードバイクそのままのほうが良いことが多いのだ。
しかし、それが欠点というわけではない。こういうマシンをライダーがコントロールして攻めていくのがモタードライディングの面白さだからだ。ステアリングの動きはバイク任せにするのではなく、ライダーがコントロールして、バンクさせていくような乗り方が必要になる。 SM125Rは、そんなライディングを学べるマシンなのである。小さなコーナーを曲がりながら「どうやったらもっと上手く走れるんだろう」などと試行錯誤しながらテクニックを磨く。そうやって上手く操れるようになった時の喜びは大きいはずだ。
しばらく乗っていて気になったのはシートの硬さ。スポンジが硬くてお尻が痛くなってしまう。こういう点も妥協なしの本物ということ。購入してから気になるのであれば、オーナーがスポンジを柔らかいものにすれば良いだろう。
一言で表すならばオーバースペック。贅を尽くした1台だ
総じて言えば、イタリアのメーカーが本気で作ったこのマシンは非常に面白かった。もちろん125でこの車体とサスペンションだから車体と足回りは完全にオーバースペック。「もう少しパワーがあったらなあ」と思うことはある。けれど、このスパルタンな性格で大排気量だったら、おいそれと手が出せないかもしれないような過激なマシンになっていただろう。125だからこそ、本気のモタードバイクを気軽に楽しむことができるのである。