ユーチューブで無料配信しているモトチャンプTVでは、過去に発売したDVDの映像を視聴することが可能で好評だ。以前にも2009年に発売した月刊モトチャンプ監修「Monkey Mechanical DVD」に収録されている動画を紹介した。今回も同DVDに収録されているキャブレターのセッティングを振り返ってみよう。その名も「キャブレターセッティング講座」だ!
今回もリポーターを務めるのは2013年にマン島TTレースで帰らぬ人となったカニ松下こと松下ヨシナリさん。解説をしてくれるのは当時キタコの技術開発部に所属していた矢追さんで、ライダー目線で質問するカニ松下さんに対して的確なアドバイスをしてくれる。
キャブレターをセッティングする素材はホンダ・モンキー。キタコがチューニングしたマシンで、ハイスペックなDOHC88ccエンジンが搭載された個体。ノーマルとは比較にならないほど高性能になっているけれど、キャブレターのセッティング方法はノーマルでも同じだから誰しもが参考になるはずだ。
基本的にキャブレターはパイロットジェットやメインジェット、スロージェットなどの番手を変えてセッティングする。このDOHC88ccエンジンにはPWK28が組み合わされている。基本となるジェットセッティングは矢追さんが解説してくれているが、今回はジェット類のセッティングではなく、より身近に調整ができるエアスクリューによる調整を紹介している。ある意味キャブレターの基本セッティングでもあるので、キャブの型式やサイズに関係なく参考になる。
動画の良いところは写真と違って音が聞こえることだろう。特にエンジンの調子は音で判断できることも多々ある。確かに動画を見ているとセッティングの違いで排気音、吸気音が異なることがよくわかる。まずエンジンを始動して暖機運転が済んだ状態から調整を始める。動画では最初にセッティングが濃い、つまり混合気中のガソリン比率が高い場合から始めている。
エアスクリューの位置はキャブの型式などにより異なるから、自分のバイクのキャブではどこになるのか確かめてから挑戦してほしい。PWKは右側面のフロートチャンバー右上にあるマイナスのスクリューがそれだ。ここにドライバーを当ててセッティングが濃い場合はドライバーでスクリューを左に回して緩める。すると混合気のガソリン比率が低くなるのだ。
ガソリン比率が低くなるということは、エアの量が増えているということ。するとベストなセッティングになるので、またエンジンを始動して音で確認している。先程の濃い状態とエンジン音がどう変化したかは動画で確認して欲しいが、明らかに音質が変わり快調なエンジンになったと感じられる。
逆にセッティングが薄い状態とはどのようなものなのだろう。動画ではしっかり薄いセッティングでのエンジン音も紹介している。アクセルに対してレスポンスがついてこない、息つきを起こしたような状態になるのだ。3つのパターンを聞き返して自分のバイクの状態と比較することができるはずだ。
暖機運転が済んだ状態にしてから最終的なキャブセッティングを行う。エンジンを始動してスロットルを操作しながら、マイナスドライバーで空気の量を調整していくのだ。ドライバーを1/4回転くらい操作したら、その都度スロットルを開けてエンジンの吹け具合を確認する。この方法でベストな吹け具合になるポイントを探すのだ。基本的にエアスクリューは一番締め込んだ状態(思い切り締めると破損の原因になるので注意)から半回転戻しから3回転戻しまでで調整する。それ以上戻さなければならない場合はエアスクリューによる調整は不可能で、パイロットジェットの変更が必要になる。詳しくは動画で解説されているので、ぜひ視聴してほしい。