【03】4.5万円で買った中古2ストスクーター、JOGアプリオの嫌なトコロ。|楽しいアプリオ03

定額給付金でJOGアプリオを買いました! 諸元表には6.3PSとあるのに、思ったよりは速くありません。発売から20年経ってるから? どーして? 購入した車両の気になるところを洗い出しました。

※2021.01.02 記事末にインプレッションを追加しました。

※2020年12月31日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
ヤマハ・JOGアプリオ

環境性能面から世の中は4ストエンジン……どころか、4ストFI車であってもクリアするのが難しい基準の排ガス規制となっている。かつて隆盛を極めた2ストエンジンはどんどん希少な存在に。今回の主役、ヤマハ・JOGアプリオも以前はオジちゃんオバちゃん達の愛車として街に溢れていたが、中古バイク販売サイトのGooBikeで検索すると全国の在庫数は50台ちょい(ちなみにヤマハ・ビーノは2000台くらい)。以前より明らかにタマ数が減っている。

アプリオの入手ルートは個人売買。近所の人に4万5000円で譲ってもらった、走行距離1万2000kmくらいの個体で、3オーナー車……らしい。

「ひと月前まで走っていたので、調子はいいです。セルもほぼ1発で掛かりますし、タイヤとバッテリーは新品に交換済みです」

たしかにエンジンの掛かりもよく、ご満悦で引き取ってきたわけだが、さすが20年近く昔のバイク。さすがに100点満点とはいかず、いくつか罠も潜んでいる。

●気になるところ その1
「あんまり速くない」
軽くて出足もスイスイといい感じだけど、20km /hを超えたあたりからもっとグイッと来てほしい。昔の記憶だと、2スト50ccって、ノーマルでもこのあたりから先が気持ちよかったハズ。

●気になるところ その2
「煙りモクモク」
エンジンをかけるとマフラーから大量の煙がモクモクモクっと噴出。自分が通った跡に白い煙が残り、ちょっと迷惑(臭いし)。アクセルをしっかり開けて、50kmほど走ったら煙は出なくなったけど、マフラーの中に溜まっていたカーボンとかが燃えきったのかな。

●気になるところ その3
「坂道が苦手すぎる」
我が家は標高150m。急な坂道も多いのだが、このアプリオは上り坂がとにかく苦手。25km/h、23km/h、21km、20km……と勢いはどんどん失い、ひどい時には足漕ぎでなんとか登りきるという。もっとトルクが欲しいです。

●気になるところ その4
「オイル漏れを発見」
自宅でバイクを保管していると……ムムッ、リヤタイヤの前方の路面が濡れている。リヤホイール脇にあるファイナルギヤ用ドレンボルトが緩み脱落寸前(辛うじてブレーキワイヤーに引っかかっていた。)。これは前オーナーのミスですかね。オイルを踏んで転倒。なんてことになる前に発見できてよかった!

●気になるところ その5
「凸凹道がツラすぎる」
ちょっと路面が荒れているだけで、ガッコンガッコンと上下に振られ、サスペンションが機能している気配はなし。アプリオのフロントフォークは安価なグリス式で相当な劣化が予想される。リヤショックも底付きしている状態。要メンテ項目です。

……と、イヤ〜な部分を羅列したけれど、わたし的にはこれらは想定の範囲内。パワー不足は、今後のチューンナップで劇的に改善されるだろうし、足まわりだって、本来はメンテナンスが必要なものだから。
一方で、気に入った部分もある。

●最大の! お気に入りポイント
「軽い!軽い!」
装備重量70kgは近年稀にみる軽さ。トランポに積むのも容易だし、狭い場所への駐輪も、ヒョイと持ち上げて寄せられます。小回りもUターンも軽快だし、寄り道しまくり、これが楽しい!

同じ50ccでも4ストエンジンのJOG(78kg)と比べても、数値以上に軽く感じるし、125ccのシグナスX(119kg)のようなずっしり感もないので、小柄なライダーでも安心して扱えるのは、やはりアプリオの大きなメリットだと再確認。

ヤマハ・JOGアプリオ
軽さをサポートする上で、リヤキャリアの存在も欠かせない。駐車の際やトランポへの積み込み時の持ち手の有無は重要。

ジャーナリストが乗ってみた

ヤマハ・JOGアプリオ

「今や試乗機会の少ない2スト・スクーター。忘れかけていた2スト車ならではの乗り味をアプリオは見事に思い出させてくれた。際立つのは、やはり軽さと瞬発力である。
スロットルを開け、遠心クラッチが繋がった瞬間に元気良くダッシュする様はまさに2ストロークならではのパンチ力がある。クラッチがミートするタイミングもやや遅く、高めの回転を活かして勢い良く発進する様は若々しい。

そんな元気な乗り味に、『昔は良かった』等と軽々に語るつもりはないが、現在とは比較にならぬポテンシャルの高さに改めて2スト・エンジンの魅力的一面を再認識。
ただゼロハン(50cc)ゆえか、30km/h以降(中速域)の加速は緩慢。また回転のバラツキと吹き上がりの伸び感がイマイチだったのは、中古車だからだろう。2スト車で好調を保つにはマメな整備が大切な事も思い出された。

テストコースでの試乗では普通の乗車姿勢で最高速は約60km/h。エンジン回転数は7,400rpmだった。30 km /hクルージング時の回転数はおおよそ4,500rpm。そこから右手を開けると6,400rpmぐらいで加速して行く。なお発進直後の加速時は5,400rpm前後がキープされて無段変速により増速される設定だ。
アプリオが駿足だなんて思ってもいなかったが、改めて2 ストパワーは偉大だと、ちょっぴり驚かされたのである(近田 茂)」

次回予告
シャシダイで判明!
中古で買った2スト50ccスクーターが、
そんなに速くなかった件。

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著者プロフィール

山田 俊輔 近影

山田 俊輔

Motor-Fan BIKES 編集長1981年生まれ。身長180cm(モジャモジャを足すと185cm)。初めて…