電子制御サスペンション装備の上級モデル・旅にジャストフィット

ドゥカティ・ムルティストラーダ950S試乗|足つき性はなかなかアレだが、エンジン&電子制御が秀逸な大人の旅バイクである。

最新の電子デバイス搭載で登場したムルチストラーダ950。さらに最先端テクノロジーが追加投入された豪華版の950Sが主役の座に躍り出た。DSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)の採用を始めとする、数々の上級装備が奢られた贅沢なモデルである。

REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年11月21日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
眼光鋭く並べられたヘッドライトはフルLED式。DCL(ドゥカティ・コーナリング・ライト)も装備。同じくLEDのフラッシャーランプは、ナックルガードに組み込まれたデザインが採用されている。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
φ48mm倒立式フロントフォークはフルアジャスタブルの電子制御式DSS Evoを採用。ブレーキはφ320mmローターのダブルディスク。油圧キャリパーはブレンボ製モノブロックキャリパーをラジアルマウント。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
937ccの水冷Lツインエンジンはテスタストレッタ11°エンジンを搭載。赤い鋼管トレリス・フレームに抱きかかえられている。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
上下に連なるツインテールパイプを持つ右出しアップマフラーは薄く張り出しの少ないデザインが採用され、サイドパニア装着時の干渉がセーブされている。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
ステップには振動を緩衝するラバーゴム付きを装備。DQS(ドゥカティ・クイック・シフト)装備でアップ/ダウンシフト共にノークラッチ操作でOKだ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
スイングアームは両持ちのアルミニウム製。170mmのホイールトラベルを稼ぎ出す。モノショックは電子制御調節機構のついたフルアジャスタブル・タイプ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
燃料タンク前方のボリューム感があり大柄な感じ。パイプバーハンドルはテーパードタイプ。ミラーステーも個性的だ。スクリーン角度は手動で変更できる。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
イリミネーション機能を持ち、夜間は綺麗に光るハンドルスイッチ。小さな文字も透過光で見やすい。左側は各種モード選択やディスプレイのメニュー切り替え等を操作、右側はオートクルーズ用のコントロールスイッチだ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
右側は赤いキルスイッチとエンジン始動用のセルスタータースイッチ。下のグレー・ボタンはメインスイッチ。上方に僅かに見えるグレーのボタンはグリップヒータ用スイッチだ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
5インチサイズのTFTカラー液晶ディスプレイを採用したメーターパネル。写真は通常表示のひとつだが、明暗反転や表示内容も変更可能。中央の赤印はサイドスタンド警告。底辺中央には、走行モードがツーリングにあることを示している。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
乗車人数や積載荷物の状態を分かりやすいイラストのアイコンで選択可能。セミアクティブの電子制御サスペンションが、それに見合うセッティングに自動変更される。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
ライディングモードはスポーツ、ツーリング、アーバン、エンデューロが選択できる。各種制御装置がどのレベルで動作するように組み合わされているかが表示され、好みに応じた任意選択も可能。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
前後セパレート式クッションを採用したダブルシート。座り心地はしっかりと腰のある硬めな感じ。ロングランも快適だ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
後席クッション下にはETC機器を収納できるスペースがある。ゴムキャップ付きの12Vアクセサリー電源ソケットも標準装備されている。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
後席からストレートに伸びたテールは後席ライダー用のハンドグリップとして機能する。オプションで48Lトップケースも装着できる。
ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
ステアリング系を取り囲むようにデザインされたフレームマウントのフロントカウルはツアラーに相応しい20Lタンクへ丸く一体化するデザインが印象深い。

主要諸元

全長/全幅/全高:2,280mm/995mm/1,511mm
シート高:840mm(オプションシート:820/860mm)
軸間距離 :1,594mm
最低地上高:183.5mm
乾燥重量:207kg
車両重量:230kg
燃料消費率:5.5L/100km(18.2km/L)

原動機型式:テスタストレッタ11°
原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ(デスモドロミック)
気筒数配列:L型2気筒
総排気量:937cc
内径×行程:94mm×67.5mm
圧縮比:12.6:1
最高出力:83kW(113ps)/9,000rpm
最大トルク:96Nm(9.8kgm)/7,750rpm
始動方式 :セルフ式

燃料タンク容量:20L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・ボッシュ製電子制御燃料噴射、φ53mmスロットルボディ

1次減速比/2次減速比:1.840/2.867
クラッチ形式:湿式多板 油圧セルフサーボ/スリッパー・クラッチ機構付
変速装置/変速方式:6速
変速比:
 1速:2.467 
 2速:1.765 
 3速:1.400 
 4速:1.182 
 5速:1.043
 6速:0.958
フレーム形式:スチールパイプトレリスフレーム
キャスター/トレール:25°00′/106mm
タイヤサイズ(前/後):
 120/70 ZR19(チューブレス)/
 170/60 ZR17(チューブレス)
制動装置形式(前/後):
 油圧式ダブルディスクブレーキ(ボッシュ製コーナリングABS)
 油圧式シングルディスクブレーキ(ボッシュ製コーナリングABS)
懸架方式(前/後):テレスコピック/アルミニウム製両持ち式スイングアーム
ホイールトラベル(前/後):170mm/170mm
乗車定員 :2名

ライダープロフィール

ドゥカティ・ムルティストラーダ950S
近田茂
元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファンJPのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。(※:写真は1260S)

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…