この自転車系電動バイク、二段階右折不要、二人乗り可、30km/h以上で走れます!|「マーベリック S1-1000」試乗

クラウドファインディングサイト「マクアケ」において、わずか40日間で2815万円&265名の支援を集めて話題を呼んだ電動コミューターバイク「マーベリック S1」。都市部の若者を中心に大人気のマーベリック S1シリーズは、電動アシストモデル(S1-350)、原付一種モデル(S1-600)、原付二種モデル(S1-1000)の3種類をラインナップ。ここでは普通二輪・小型AT限定免許で乗車できる、60V・1.0kW(原付二種は定格出力を1.0kW以下に規定)の原付二種モデル(エンジン車では110ccクラスや125ccクラスに該当)・S1-1000に試乗。原付一種モデルのS1-600を遥かに凌ぐ、パワフルな走りを発揮した。
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
協力:マーベリックテクノロジー https://www.mavericktechnology.jp/
※注:価格はすべて2022年8月5日現在のものです

マーベリック S1-1000(原付二種モデル)……31万3500円 (消費税込み) 

マーベリックS1-1000はエンジン車の110ccや125ccクラスに該当する、時速30km/h制限のない原付二種モデル。タンデムシートとタンデムステップを装着しているため、2人乗りも可能。
バッテリー上部のスペースにぴったりと収まる、長さ40cmx高さ13cmx幅10cmオプションのフレームバッグ(7700円/消費税込み)を装着したところ。

新時代の超個性派コミューター・マーベリック(Maverick)S1シリーズは、クラウドファインディングサイト「マクアケ」で、目標の200%以上の応援資金を獲得。わずか40日間で2815万円、265名の支援を集め、テレビや雑誌、ウェブなどでも取り上げられるなど、一気に知名度を上げた。

電動バイクとレジャー用自転車をミックスさせたような骨太の外観は、カリフォルニアで流行のサーフスタイルにデザイン。街に馴染むオシャレなフォルムも影響し、都市部では若者を中心に高い人気を獲得。東京都心部では、街を歩けば頻繁に目にする。

街に馴染むオシャレで個性的なスタイルが特徴。

自転車の手軽さと、原付バイクと同レベルの機動力や利便性を確保したマーベリックS1シリーズは、ファットな直径20インチ&幅4インチ(約10cm)の前後タイヤ、高い剛性を確保したアルミフレーム、高速域でも安定した走りを実現した前後サスペンション、制動力の高い前後ディスクブレーキ、60Vのハイパワー電動モーター、大型バッテリー、シマノ製7段変速ギアなどを採用。

マーベリックS1シリーズは、頑強なボディと豊富なオプションパーツにより、サーフボードやクーラーボックスのような大きな荷物の運搬も可能。現在、電動アシストモデル(バイクの免許不要)、原付一種モデル(原付免許が必要)、原付二種モデル(普通二輪・小型AT限定免許以上が必要)の3種類をラインナップ。

2人乗りしやすい大型のダブルシートを装備。
一般公道での2人乗りも可能なタンデムステップを装備。
左右片方のブレーキレバーを握ると、前後輪のブレーキが連動するCBS(コンビブレーキシステム)を採用。

写真の原付二種モデル・マーベリックS1-1000は、二人乗りも可能な電動バイクの先駆けとして登場。2021年10月1日改定の法規制に基づき、左右片方のブレーキレバーを握ると、前後輪のブレーキが連動・作動する、CBS(Combined Braking System/通称コンビブレーキ)も導入されている。

原付一種モデルは60V・0.6kW。原付二種モデルは60V・1.0kWのハイパワー仕様

原付一種モデルであるマーベリックS1-600のモーター出力は、60V・0.6kW。一方、エンジン車の110ccや125ccクラスに該当する原付二種モデルのマーベリックS1-1000は、60V・1.0kWのハイパワー仕様。48Vに比べ、全般的に60Vは流れる電流が少なくて済むのがポイント。これにより配線類の発熱が抑えられている。原付一種区分の海外製電動バイクにありがちな、「坂道等の走行でモーターやコントロールユニットが熱を持ってしまい、登らない、途中で止まってしまう」というオーバーヒート現象が起こりにくい。過去に海外製電動バイクでの試乗で峠道の急勾配に差しかかった際に、オーバーヒートによって先に進むことができなかったが、今回試乗したS1-1000では若干の失速はしたものの20km/hの速度で走り切ることができた。(なおS1-600の場合は13km/hで登坂した)

ハンドル高は980mm、ハンドル幅は670mm。
前後タイヤは砂地や荒地も走破するブロックパターン。サイズは前後とも直径20インチ×幅4インチ(約10cm)。

大型バッテリーは2個搭載OK!航続距離は100kmを実現

大型バッテリーは標準で1個付属。オプションで別途購入できる。

マーベリックS1-1000は、「電動バイクでエンジン車並みの航続距離を実現したい」という思いから、大型バッテリーを2個積載可能。販売時は1個付属だが、別途購入して2個積めば、航続距離は2倍に増加。メーカー発表値では、バッテリー1個搭載時で50km。2個搭載時で100kmの走行が可能だ(平均時速30km/hでの走行時)。

1個目のバッテリーを低い位置にレイアウトすることで、重心位置を低下し、運転しやすさをアップしているのもポイント。なお、バッテリーはワンタッチで取り外しOK。重量は1個あたり4kg程度なので、持ち運びも簡単。充電は家庭用100Vを使用するタイプなので、自宅内で手軽に充電できる。

シート高は800~820mmで足着き性も良好

シート高は800~820mm。テスターの身長173cm、体重60kg。メーカーが推奨する身長は155~190cm。
シート高を下げた設計により、足着き性もGOOD。

一般的に電動バイクは欧米向けに製造されていることが多く、シート高は90~100cmのハイポジションに設定。一方、マーベリックS1シリーズはリアダンパーを装着しつつ、極限までシート高を低下。これにより、小柄な日本人でも乗りやすいシートポジションを実現した。

また、コントロールボックスはシートの下に設置することで、防塵性や防水性を向上。加えてメンテナンス向上のため、コントローラーのケーブルを集約し、各機器とは脱着容易なコネクター接続にしている。

【試乗インプレ】32kgの超軽量で取り回しも性はピカイチ!フレームや足周りの剛性力も◎

リモートキーを操作し、カラー液晶のメーターをON。イモビライザー機能も導入されており、セキュリティ性も抜群だ。マーベリックS1-1000はファットな外観ながら、重量は32kg。これは子乗せタイプの電動アシスト自転車とほぼ同じ数値なので、街中での押し歩きは、自転車に近い感覚で行える。試しに両手で車体を持ち上げてみると、比較的余裕をもって持ち上げることができた。

試しに人や自転車が行き交う駅前や商店街を押し歩きしてみる……。歩行者に対してマフラーやエンジンの熱に気を遣う必要がないのは気持ち的に楽ちん。また、サイズ的にも自転車感覚で駐輪できるのも嬉しいところだ。

走行モード1のアシスト無効モードにセットし、ペダルのみで乗車してみる。一般的な自転車に比べ、タイヤが太くてヘビーであること(タイヤ自体が重たく、設地面積が広い)。また、電動アシスト付き自転車にしては重めな32kgという車重のため、走行中に7段式の変速機をガチャガチャと切り替えてみても、両足で漕ぐペダル&車体の動きが、何となく重ダルい。

この重ダルさは、ハンドル左側のスイッチ1つで動作開始できる電動アシストシステム(走行モード2)で一発解消! 電動アシストモードは漕ぎ始めが極めて軽く、ペダルのみの重ダルいイメージを完全に払拭。20km/h程度で流してみても、太くて重いタイヤや32kgの車重を見事にカバーしてくれる。

フレームや足周りの基本設計がしっかりしたマーベリックS1-1000は、フレームや足周りの剛性が極めて高く、乗り心地も良好。通過時にハンドルが取られがちな、歩道と車道との段差程度なら通過時でも、難なく乗り越えることができた。

最高速度は55km/hながら、原付一種のS-600とはツーランク上の走りを発揮

マーベリックS1-1000の最高速度は55km/h(メーカー発表値)。メーター表示でも55km/hまで確認できた。なお、原付一種モデルであるS1-600の最高速度は50km/h(メーカー発表値)。両車ともリアホイールのハブ部に電動モーターを設置した「インホイール式」が導入されている。

一般公道を走行する場合、原付一種となるS1-600は道路交通法により、最高速度30km/h規制。一方、原付二種モデルのS-1000は、30km/h規制から開放。つまり自動車やミドル&ビッグバイクと同じく、周りの交通の流れに乗って走行できるのがポイント。

電動バイクモードは3(低速→約25km/h)、4(中速→約35km/h)、5(高速→45km/h以上)の合計3モード。各モードにセットし、右手側のグリップに設置されたスロットル部分をグイっとひねると、加速を開始。スロットルを緩めると、まるで4ストローク車のエンジンブレーキが効くように、自然な感じで減速してくれる。ただし、ブレーキレバーを握ると、自動的にモーターの駆動力がカットされるので、「スロットルを開けたままで少し減速したい」といった速度の微調整は苦手。

狭い路地や住宅街では、3モードや4モードを使用。交通量が多く、スピードが乗りやすい片側複車線の幹線道路や、道幅の広い片側1車線の国道などでは、5モードで走行した。

なお、原付一種モデルのS1-600のパワーは0.6kW。原付二種モデルのS1-1000のパワーは1.0kWを発揮し、S1-600に比べて1.66倍のパワーを誇るのが見逃せないところ。

3~5モードにおける両車のパワーの違いは顕著で、トルクの出方、登坂能力、スロットルを急激に開けた時の加速力は、体感的にはS1-1000がツーランク上。特にS1-1000は、パワーの出方が鋭くて力強くて、レスポンスもGOOD。スピードの乗りやすい幹線道路走行時は、特に走りやすかった。

最高時速65km/hならば、坂道や幹線道路はもっと走りやすいかも

とはいえ、坂道にさしかかると少し失速してしまったり、スピードレンジの高い幹線道路では走りにくかったり……。欲を言えば、最高速度55km/hを、せめて65km/hにして欲しい! そうすればもっと安心して走れるようになるかも。

原付一種モデルのS1-600と、最高速度30km/h規制から開放されて2人乗りもできる原付二種モデルのS1-1000との価格差は、わずか1万2000円。普通二輪・小型AT限定以上の運転免許を所有している人は、ズバリ、S1-1000をオススメします!

ディテール解説

プロテクターを装備したワイルドなヘッドライト。ヘッドライト本体はハイビーム・ロービームの切り替えが可能。
マウンテンバイクをイメージさせるスポーティで軽快なイメージのハンドル周り。
カラー液晶のメーターはトリップ、走行モード、バッテリー残量などが一目瞭然。速度の下には消費電力が表示され、先述の登坂路での消費電力は1080kWだった。
フロントフォークにはスポーツバイクに採用のイニシャルアジャスター機能を装備。
電動バイクモードのスロットル(アクセル)は、右グリップとホルダーの間に設置。右手の人差し指及び中指+親指でスロットル部を挟み、絞りor戻して速度を調整するしくみ。ペダルのギアチェンジはシマノ製の手動式7段変速。右手親指と人差し指及び中指でスムーズにチェンジできた。
5段階の走行モードは、左グリップ横に装備(+と-のボタン)。走行時は左手の親指でスムーズに操作できた。走行モードはハンドル中央のモニターに表示される。
オプション設定された長さ40cmx高さ13cmx幅10cmのフレームバッグ。
バッテリーの重さは約4kg。1個目のバッテリーを低い位置にレイアウトすることで、重心位置を低下し、運転しやすさをアップ。
ナンバープレートのほか、ヘッドライト、テールテールランプ、前後ウインカー、反射材など、国内の原動機自転車の保安基準に則った保安部品を装備済み。電装系は12V用であれば、社外品パーツも装着可能。
リアのサスペンション部にはダンパーを採用して乗り心地や走行安定性をアップ。
ペダルのみの自転車走行も可能。なお、国内規定により、電動アシスト機能は時速24km/hで停止するしくみ。
手動式のシマノ製7段変速機を採用した自転車機能。
前後とも砂地や荒地も走れそうなブロックパターンの極太タイヤを採用。
サイズは前後とも直径20インチ×幅4インチ(約10cm)。前後のディスクブレーキは油圧式。
リアホイールのハブに電動モーターを内蔵した、レスポンスに優れたインホイールモーター式を採用。

マーベリックS1シリーズ 主要スペック

S1-350(電動アシストモデル)S1-600(原付一種モデル)S1-1000(原付二種モデル)
ボディサイズ全長173cm×幅70cm全長173cm×幅70cm全長173cm×幅70cm
車重31kg32kg32kg
タイヤサイズ直径20インチ×幅4インチ(約10cm)直径20インチ×幅4インチ(約10cm)直径20インチ×幅4インチ(約10cm)
モーター36V 0.35kW60V 0.6kW60V 1.0kW
バッテリー36V 10.4Ah60V 15Ah60V 15Ah
保安部品ヘッドライト、警笛、速度計原付に必要な保安部品原付に必要な保安部品
走行モード自転車モード、電動アシスト
モード
自転車モード、電動アシスト
モード、フル電動モード
自転車モード、電動アシスト
モード、フル電動モード
航続距離バッテリー1個搭載のみ50kmバッテリー1個搭載50km / 2個
搭載100km ※平均時速30km/h走行
バッテリー1個搭載50km / 2個
搭載100km ※平均時速30km/h走行
トップスピード時速24km/hで電動アシスト停止時速50km/h時速55km/h
変速ギヤシマノ製7段変速シマノ製7段変速シマノ製7段変速
ブレーキ機械式ディスクブレーキ油圧式ディスクブレーキCBS(前後連動機能)付き油圧式ディスクブレーキ
サスペンションフロント:正立フォーク式
リア:ダンパー式
フロント:正立フォーク式
リア:ダンパー式
フロント:正立フォーク式
リア:ダンパー式
ディスプレイ白黒液晶カラー液晶カラー液晶
価格¥247,500 (消費税込み) ¥291,500 (消費税込み) ¥313,500 (消費税込み) 
カラーブラック、ミリタリーグリーン、サンドベージュ、ホワイトブラック、ミリタリーグリーン、サンドベージュ、ホワイトブラック、ミリタリーグリーン、サンドベージュ、ホワイト

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