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レトロ感を追求したポップな街乗り仕様
スーパーカブをカスタムして大きくイメージを変えたないのなら、一番効果的な手法がカラーリング。ビジネスバイクとして定着していた古いカブには落ち着いたカラーリングばかりが用意され、若者向けのポップなカラーリングはリトルカブにしか用意されなかった。ところが、古い「鉄カブ」と呼ばれるモデルでもカラーリングにより大きく印象が変わるというお手本のような1台を紹介しよう。オーナーは山本禎子さんでお気に入りの色に塗ってから乗り出したかったそうだ。もちろんカスタムはそれだけにとどまらない。
大きく印象を変えた要素として、初代スーパーカブであるC100風のフロントカバーが効いている。これはリプレイス品として市販されているもので、C100純正ではないものの同じ形状を再現している。ところが組み合わせたヘッドライトは古さより明るさを優先して今どきのLEDライト。レトロ感だけでなく実用性も盛り込まれているのだ。C100風フロントカバーにすると鉄カブ純正のヘッドライトケースが不要になる。そこでプレート化してバーハンドルを組み合わせた。純正よりハンドル幅が広がるのでスタイル的にも乗り味的にも大きく変わるポイントだ。また灯火類などの操作はシンプルにしたかったのでトグルスイッチで代用している。ポップなカラーリングを引き立てるため、できるだけシンプルな構成にしているのが効果的だ。
ハンドルの下で本来ならエアクリーナーのフタがあるべき場所にスピードメーターがのぞいている。これもシンプルに見せる手法の一環で、エンジンをチューニングして吸気系を変更したことで実現できた。VM20キャブレターには小型の汎用エアクリーナーをセットしてあるので、純正エアクリーナーケースが不要になったのだ。肝心のエンジンは定番の88ccボアアップ済み。C100風に見せるスタイルの決め手にもなるモナカマフラーと組み合わせ、排気量アップ+αの性能を手に入れているのだ。
スタイルを印象付けるポイントとして前後ホイールを黒く塗装しつつ、ブロックタイヤを組み合わせたことも大きい。スーパーカブには細いタイヤが純正で採用されているので、存在感のあるブロックタイヤにするだけでも効果的。さらにスポークホイールを黒く塗装して足元をキリリと引き締めている。足元だけでなく極力メッキパーツを減らす方向であることもお気づきだろう。カブのスタイルで大きなポイントとなるリヤキャリアは残してあるものの、メッキではなくボディと同色に塗装されているのだ。そのためC100風の小さなリヤウインカーとテールランプがレトロ感をより強調している。
キャンプにも行けるアーバンカスタム
もう1台はスーパーカブ90をベースに前後フェンダーを取り外してブロックタイヤとしたスタイルになっている。上のカブ同様にボディ色を変更、マットなブルーとしてアーバンスタイルを追求した1台なのだ。こちらのオーナーは「grn outdoor」というアパレルブランドを展開している立元真さん。このブランドではバイカー向け製品として「The Triple Legs」という名前で各種商品を展開。コンセプトはソトアソビを楽しむためのギアで、キャンプツーリングが趣味というオーナーらしくカブにもアイデアが盛り込まれているのだ。
キャンプツーリングに行くためブロックタイヤはファッション要素というより実用性を考えてのこと。ただ、フェンダーレスにすると泥はねなどが気になるはずだが「オシャレは我慢」と語るようにスタイルは何にも優先するオーナーらしさが発揮されている。また北海道をカブでツーリングした経験があるため、ポジションは安楽にしたい。そこでガレージT&Fのロボットハンドルをセットした。適度な高さになるためロングツーリングでも疲れないとのことだ。
「The Triple Legs」は3本足の八咫烏(やたがらす)をイメージしたもので、熊野本宮大社に由来している。日本古来の文化を現代に取り入れたもので、サイドカバーやレッグシールドに貼られたステッカーはネット通販でも買える品。リヤフェンダーをフロント同様に取り外したが、こちらは溶接されているのでカットするには技術が必要な部分だ。ボディはマットブルーに塗装してあり、リトルカブ用レッグシールドと組み合わせている。こちらもメッキパーツを極力減らす方向でカスタムされていて、ウィルズウィン製シャープマフラーも黒く塗装してから装着してある。
リヤスタイルを決定付けているのがアルミ製のコンテナ。こちらは35リッターもの大容量となるALTEC製でハードな雰囲気を演出するのに最適だろう。ともにブロックタイヤを履いてボディカラーを変更した2台のスタイルはいかがだろう。カスタムの参考になる技が見つかるはずだ。