モトコンポをイジるなら、こんなカスタムもアリ!

不思議な質感、木製モトコンポ。 ボディパネルをD.I.Yしました!

ホンダモトコンポ
可愛らしいキャラで人気のモトコンポはオリジナルにこだわることなく、自分好みにカスタムして楽しむユーザーだって多い。小さくシンプルな構造だから、素人でもカンタンにイジれちゃうのがカスタム人気の理由だ。でもカスタムするなら人と同じじゃつまらない。そこで考え出したのが木製モトコンポ。純正より重くなってしまうけれど、世界に1台しかないカスタムモトコンポなんていかがだろう?
本物の木だから生まれたこの雰囲気!

人気沸騰中のホンダ・モトコンポはカスタムのベース車としても最適。軽いから自分一人で作業できること、構造がシンプルだからカンタンに分解できてしまうことなどがその理由。反面、オリジナルにこだわろうとすると部品がなくて四苦八苦する。ボディパネルひとつとっても、中古パーツに数万円の値段がついているからだ。だったらボディパネルごと自分で作ればいい。そう考えてカスタムされたのが、この木製モトコンポなのだ!

こんなモトコンポ見たことない!

木製モトコンポを製作したのは前回の記事でも紹介した今井義正さん。25台のモトコンポを所有する驚異的なマニアで、車体だけでなく部品単位で揃えていった。揃えた部品で1台組み上げようと何回も試みてきたが、モトコンポ人気が盛り上がるにつれ部品価格も高騰。部品から組み上げると車体丸ごと購入するより高くなってしまう。そこで考えたのが高価なボディパネルを自作することだった。

4輪用ヘッドライトを流用。

ボディパネルを作るといっても、オリジナルと同じ形状をFRPなどで再現するには型が必要。型取りすることから始めれば不可能ではないが、そこまでするのは大変。だったら加工しやすい木で作ってしまえ!と考えた結果がこちらなのだ。

シート前のパネルは開閉式にした。

使ったのは足場などにも使われる杉板で、できるだけ手間とコストをかけずに製作するため基本的に切るだけで済ませている。製作にかかった時間は友人の大工さんと丸1日かけただけ。角張ったスタイルにはこのようなカラクリがあるのだが、それでは子供の工作レベルだ!とお仲間に指摘されてしまった。

ハンドルを折りたたむことも可能!

とはいえ純正と同じように窪みや穴も再現してあるのだが、知り合いからの指摘に今井さんは奮起する。それならもう1台作ってやろうじゃないか。そう考えて2台目の製作に取り掛かることにした。

純正のボディラインを再現してしまった!

2台目の木製モトコンポは木を使いながらも純正と同じボディラインを再現することが目標。そのため1号車のように一般的な木材を切るだけでなく、集成材を使って丸いボディラインまで一体物で再現することにした。加工しやすい木材とはいえ、とてもじゃないが1日や2日でできるわけもな。前述の大工さんとともに数日かけて製作することになった。

集成材らしく継いだ個所が現れている。

丸いラインを再現するのは一苦労するが、素材に加工しやすい木を選んだので特殊工具などは不要。カンナやヤスリ、それに根気と器用さがあれば誰でも真似できそうだ。使った集成材はボディ上側を1枚もので、サイドパネルは左右それぞれ1枚の板から削り出したため3枚で済んだ。モール部には別の木材を使っているが、それほど多くの木を使ったわけではない。

穴や凹みも再現。

大変そうなのは燃料コックやステップを避けるための穴や凹みだろう。オリジナルから寸法を測ってカットしなければならない。それに切りっぱなしではなく、しっかり表面をヤスリなどで整えてあるから触っても怪我をするようなことがないのだ。

テールランプ下のパネルだけ純正を使った。

木ですべて再現したわけではなく、テールランプ下のパネルだけは純正を使っている。部品が余っていたということもあるが、集成材の色と純正パネルの色が近かったというのがその理由。けれどニスを塗って月日が経つとそれぞれの素材での変色に差が出てきてしまう。現状で色味が違うのはそのためだ。

フレームとの結合部は補強してある。

ボディパネルを再現してもフレームと合体させるのがまた大変。ただ加工しやすい木材だからフレーム側と合わなければ木材を追加したり加工すればいい。パネルの裏側を見るとフレームとの合体に苦労した痕がアリアリと残っていた。

ミラーも木材から製作した。

苦労したのはミラーも同じ。純正ミラーが手元にあったので、その鏡面だけ使うことにしてボディ側は木材から製作したからだ。鏡面が落ちないよう、木材に溝を掘って鏡を落とし込むようにするのは職人技といっていいレベルだろう。もちろんステーなどは純正を使っている。

シート表皮はざるから作った!

ボディを木で作ったのだからシートにもこだわりを発揮したい。そこで座っても痛くならない竹ひごに着目。純正シートの表皮を剥がして竹ひごをかぶせるのだ。そこで少し大きめのざるを用意して、シートより大きくカットする。

竹ひごにクセをつけるためしばらく放置する。

柔らかい竹ひごといっても、そのままシートにかぶせても半力でうまく固定できない。そこで写真のようにプラ容器へ入れてしばらく放置することで竹ひごにクセをつけることにする。

竹ひごシートが完成。

竹ひごにクセがついたらシート裏面で固定すれば完成。竹ひごシートをボディに装着すれば見事に木製モトコンポの出来上がりというわけだ。シートを装着した写真は製作当時のもので、まだボディの色味が白っぽいとお分かりいただけるだろう。

時間が経つと日焼けで味わいが出るのも木材の魅力だ。

こうして木製モトコンポが完成した。純正と同じボディラインを再現してしまったのだから、子供の工作だなんて難癖つけた知り合いも唸り声をあげたことだろう。さらに今井さんは次のステップを考えていて、同じことをカーボンでできないか模索しているとか。マニアが考えることは、やはり常人の想像を超えているのだ!

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…