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絶版になった今でも人気が続く旧モデルの鉄カブ。特に14インチホイールと専用外装が与えられてスタイリッシュになったリトルカブは、幅広い層の支持を得ている。ただし、リトルカブは排気量50ccのモデルしか存在しない。つまり速くはないし、最高速度は30km/h制限、2段階右折までしなければならない。原付1種の呪縛から逃れるためにはボアアップして排気量を引き上げ、原付2種登録にしてしまえばいい。そこで気になるのがボアアップキットの存在だ。
SP武川製ハイパーSステージボアアップキット88cc
今回はスペシャルパーツ武川から発売されている「ハイパーSステージボアアップキット88cc」に注目してみたい。ユーチューブで各種動画を無料配信しているモトチャンプTVでは、「リトルカブのエンジンを50ccから88ccにボアアップ!」という回がある。今回はこの動画をダイジェストにまとめつつ、88cc化したリトルカブの実力を紹介してみたい。
SP武川のボアアップキットは専用シリンダー、ピストン+ピストンピン、スポーツカム、各種ガスケット類などのほかにハーネスやスポーツエアクリーナー、さらにはフロントスプロケットまで含まれている。これで6万4350円(消費税み)なのだから、費用対効果は高そうだ。DIYで組み込むことも可能だが、やはり安心できるプロに作業をお願いするのが確実だろう。今回はSP武川でボアアップキットを組むこまれた状態のリトルカブのデモ車がある。この車両に乗って実力を確かめようというわけだ。
新設計のインジェクションコントローラー
キットに付属するインジェクションコントローラーには4通りのマップが内蔵されている。写真のようにコントローラー本体にあるダイヤルを切り替えることでマップが切り替わる。4通りあるのはボアアップキットの使い方に合わせて変更できるためで、例えばボアアップキットのうち排気量を引き上げるだけで吸排気系はノーマルのままで乗りたいというニーズもある。だから吸排気系がノーマルのままなマップもあれば、吸排気系を社外パーツに変更したマップもある。さらにマフラーだけ、エアクリーナーだけ変更した場合のマップまで用意されている。どのように乗りたいのか、多様なニーズに対応してくれるのだ。
88cc化されたリトルカブに試乗!
ボアアップキットを組むと若干エンジンの圧縮比が上がる。これによりノーマルより断然パワフルになるわけだが、気になるのはキックスタートだろう。圧縮比が高いエンジンだとキックする時に力が必要になる。ノーマルより重いキックになるのは嫌だなと思われることもあるだろうが、これは杞憂。おそらくカブユーザーなら問題なくエンジンをスタートさせられる軽さだ。
デモ車は吸排気系も変更されているので、当然ながら吸気音や排気音がそれなりに勇ましい。心理的に速くなったと感じられる部分ではあるが、それを差し引いても88cc化したリトルカブはノーマルと別世界の乗り物のように加速してくれる。平坦な路面だけでなく上り勾配でもどんどんスピードを上げ、あっという間にトップギアまでシフトアップできてしまう。またパーシャル状態からスロットルをワイドオープンすると、カブとは思えない加速力を示すのだ。
とても鋭い加速力とノーマルでは得られないスロットルレスポンスに変身しているので、乗っているとさらに上のギアが欲しくなるほど。そのためキットにフロントスプロケットが付属しているのだ。これだけの加速力を身に付けたなら、さらにスプロケットの選択で乗り方に合わせられそうだ。晴れて原付2種登録を果たしても、スピード違反にはくれぐれも注意が必要だ。