スクーターなのにアドベンチャー、 ホンダADV160を試乗インプレッション! 【動画・モトチャンプTV】

スクーターの王者とも呼べるホンダPCXと共通エンジンながら、デュアルパーパスモデルとして開発されたADV。PCXに遅れること2年、ようやく新型160ccエンジンを搭載する新型に切り替わった。その実力はいかがなものか、ケニー佐川が試乗してインプレッションを語ってくれた。
2023年1月に発売されたホンダADV160。

PCXの兄弟車であるADVはスクーターながらアドベンチャーモデルのようなスタイル、ストロークが長いサスペンションなどが特徴。2021年1月にPCXが150から160へモデルチェンジされた時、ADVもモデルチェンジされるだろうという大方の予想を裏切り、ADV160が発売されたのは2年遅れの2023年1月だった。

新型ADV160のリヤスタイル。

世界情勢や輸送状況など様々な要因でモデルチェンジが遅れたのだろうと予想されるが、アドベンチャースタイルのスクーターという斬新なモデルだけに新型を心待ちにしていた人も多いことだろう。新型ADV160は排気量が大きくなるだけでなく、eSP からeSP+へとエンジンが進化を遂げている。新型ADV160の試乗インプレッションはユーチューブで無料配信しているモトチャンプTVの動画の中から「PCXとの差は? 新型ADV160に試乗してみた!」という回をダイジェストにして紹介してみたい。

160cc単気筒4バルブ方式に生まれ変わったエンジン。

eSP +エンジンは156ccの排気量を備える水冷単気筒SOHC方式。排気量が上がるのと同時に吸排気バルブが従来の2バルブ方式から4バルブ方式へ進化した。さらに圧縮比も12.0:1まで引き上げられ、よりパワフルさが感じられると予想できる。

1psアップした最高出力。

気になる最高出力は16ps/8500rpm。この数値は従来型と比較して1psアップしただけに止まる。最大トルクも1.5kgf・m/6500rpmで、こちらも0.1kgf・m上がっただけ。しかも燃費は従来モデルが44.1km/Lだったのに対し新型は42.5km/Lと若干低下した。航続距離は燃料タンクがわずかに大きくされたので実質変わらないだろう。これがどう試乗インプレッションに影響するのか、気になるところ。

ダブルクレードル風に刷新されたフレーム。

エンジンとともに大きく変わったのがフレーム。形式こそアンダーボーン式で従来型と同じだが、新型ではダブルクレードル風のパイプワークに改められたのだ。しかも左右をつなぐ補強により抜群の剛性感を生み出していることだろう。にも関わらず車両重量は従来型の134kgから136kgと、わずかに2kg重くなっただけ。

新デザインのメーターはハンドル上のスイッチで操作できる。

メーターのデザインも大きく変わった。従来型はインジケーター類が別体だったところ、新型では一体のものへ変わった。さらに大きな変化がメーターを操作するスイッチ。新型ではハンドルポストの上に操作スイッチが追加され、グローブをしたままでも操作しやすい形状・大きさとなっている。

可変式スクリーンは大きくなり操作性がアップした。

従来型でも可変式だったスクリーンだが、新型ではサイズが大きくなっただけでなく動かす時の操作性がよくなっているとケニー佐川。今回の動画はすっかりお馴染みのジャーナリスト、ケニー佐川とモトチャンプ編集長のチャボ、二人のコンビでお送りしている。

15mmもシート高が下がった。
段差がなくなり使いやすくなったシート下スペース。

車体まわりでうれしい変化はシート高が下がったこと。従来型に比べて15mmも下がっているため、足付き性は非常に良好。アドベンチャーモデルらしくシート高が高くサスペンションストロークが長いADVだが、新型ではストップ&ゴーが多い街乗りにも適したシート高になった。

試乗インプレッション

走り出してすぐ力強さに気が付く。

試乗はケニー佐川が担当している。まず走り始めてすぐ、発進時の力強さを大きく感じている。同時に乗り比べているわけではないの確実なことは言えないが、スタートダッシュは明らかに従来型より速くなった。さらにスロットルを3分の1くらい開けて緩やかに加速している時の力強さが印象的。スロットルを大きく開けなくても十分な加速力を示してくれるのだ。トルク感は確実に上がっている。前述したように数値的に大きな変化はないものの、実際に乗ると大きく印象が違うのだ。

新型フレームの良さがマシンの動きに反映されている。

フレームが刷新されたことで、乗り味にも大きな影響を与えている。剛性感はもちろん上がっていて、ライダーの入力に対してマシンが遅れることなく瞬時に応えてくれる。ハンドリングの応答性が非常に機敏なのだ。これはコーナリングの安心感・安定感に繋がっている。もちろん直進性も高く路面のギャップを乗り越えても乗り心地が良いまま何事もなく通過してくれる。またトラクションコントロールの制御が優れていて、動画にはないものの軽くダート走行もしている。タイヤが空転した際など、安心して乗っていられる制御が感じられた。またフレームがよくなったことでABSが効くまで安心して全力でブレーキングできるようになった。

新車価格は従来型より2万2000円ほど上がった。

フレームの高い剛性感はマシンのシャープな動きに直結していて、ブレーキング時の前輪への安定性も高い。実は収録日の前日にPCX160を試乗したケニー佐川だが、ADV160はストロークの長いサスペンションにより乗り心地がよくスポーティかつコーナリング性能も上と語っている。個人的にPCXよりADVが好みだそう。総じて非常に喜ばしいモデルチェンジになったわけだが、気になる新車価格は47万3000円(消費税込)。従来型よりアップしているのはもちろん、PCX160より高価なわけだがそれ以上の価値がありそうだ。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…