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高い安定性と素直な操縦性でだれにでも扱いやすい
プジョーといえば、フランスの自動車メーカーとの認識が日本国内では圧倒的です。しかし、長年に渡って二輪車の製造も行っているということは、バイクファンには周知の事実です。ただし近年は、スクーターメーカーという印象が強くなっていて、実際にスクーターがラインナップの多くを占めています。そんなプジョーから久々に登場したMTモデルであり、新生プジョーモトシクル初のMTモデルでもあるのがPM-01です。ネーミングのPMとは、プジョー・モーターサイクルに由来しているそうです。
さて、PM-01には292.4㏄の300と、124.8㏄の125の2モデルがラインナップされています。エンジンの排気量は倍ほどの差がありますが、車体は共用しています。KTMなども同様の方式を取っていますが、300のパワーに合わせて車体を設計しているはずなので、125のエンジンにはオーバークォリティな剛性を有していることになります。その125に今回、市街地から郊外の道で試乗してみました。
ボディスタイリングはなかなかユニークです。シャープなラインで構成されたボディは、フロントからリアにかけてインテグレートされたデザインとなっています。そこにはラジエターシュラウドも含めて一体感を持たせているのも特徴で、現代的な印象を受けました。そしてヘッドライト下には、ニュージェネレーションラインが施されています。PM-01のスタイリングについては、ダイナミズムとエレガントさを兼ね備えたとプジョー・モトシクルでは表現しています。
足つきチェック(ライダー身長:178cm)
ボディサイズは125㏄クラスとしてはやや大きめです。300がベースということもあるのでこの辺りは想定内といったところでしょうか。まあ大きめといってもホンダCB125Rと変わらないレベルなので、威圧されることはありません。一方で、ボディサイズの余裕はそのままポジションのゆとりにつながっていて、窮屈さはまったく感じませんでした。シート高は810㎜あるので体格によっては足が着けにくいかもしれませんが、不安を覚えるほどじゃありません。車重は152㎏あり、同クラスの日本製バイクに比べて重いですが、実際の取り回しではそれほど大きなちがいは感じませんでした。とはいうものの、できることならあと20㎏ほど軽量化してもらえると、加速性や制動力、ハンドリングに良い影響が出ると思います。
最高出力およそ14psを発生する水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンを始動すると、なかなか元気の良いサウンドを響かせます。耳障りじゃないけれど音はやや大きめで、早朝の出発には少しばかり気を遣いそうです。125㏄のキャパシティなので、スタートダッシュが鋭いといった加速は見せません。アクセルレスポンスはあくまでもスムーズで、回転の上昇にリニアな加速をします。パワフルさは実感しないのですが、アクセルに素直に追従してくれ伸びもあるので扱いやすいエンジン特性だと思います。また、トルク感が強いわけでもありませんが、市街地を走っていてとくに不満を覚えることはありませんでした。ただし上りが続くようなワインディングでは、低めにギアを選択してスピードを維持する必要はあると思います。これはなにもPM-01に限ったことじゃなく、125㏄クラスのバイクに共通していえることなので、欠点ということではありません。6速ミッションの入りも良く、適切なシフト操作でムダなくパワーを引き出して走ることができます。
トラス構造の鋼管製フレームは300のパワーに対応する強靭さがあり、剛性に優れたΦ41㎜倒立フロントフォークに、プリロード調整機構付きシングルショック装備のリアサスと足回りもひとクラス上の仕様です。12本スポークの美しいキャストホイールには、前後ラジアルタイヤが装着されています。 このように高い剛性が与えられた車体ですが、ハンドリングを含めた操縦性は非常に素直で、しっかりとした安定性を保ちながら軽快な運動性を実現しています。おそらくこれは、強靭だが適度なしなやかさを持つフレームと、作動性の良いサスペンションによるところが大きいと感じました。直進性がしっかりしているのはもちろん、バンク操作がナチュラルで、コーナリング安定性も高い。市街地やアップダウンのある郊外の一般道での走行でしたが、不満に感じる要素はありませんでした。
フロントΦ280mm、リアΦ240mmのペタルディスクを採用したブレーキも、操作性が良くて高い制動力を発揮してくれます。もちろんデュアルチャネルABSを標準装備していますから、雨などで滑りやすい路面でも安心してブレーキ操作ができます。
個性的なスタイリングには好き嫌いがあるでしょうし、同カテゴリーの日本製バイクより10万円以上高い594,000円という価格も気になるところですが、プジョーブランドのバイクで颯爽と走る喜びは他では味わえません。そうした希少性もまた、所有する魅力になるんじゃないでしょうか。
ディテール解説
主要諸元
全長×全幅×全高:2,040 x 830 x 1,095 mm ホイールベース:1,370mm シート高:810mm 車両重量:152kg エンジン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒 排気量:124.8cc 最高出力:10.2kW/9,500rpm 最大トルク:11.0Nm/7,500rpm 燃料供給方式:インジェクション 始動方式:セルフ式 燃料タンク容量:12.5L 変速機:6速リターン 懸架方式:フロント:テレスコピック(∅41㎜倒立フォーク) 懸架方式:リア:スイングアーム(プリロード調整付きシングルショック) タイヤ・フロント:110/70-R17 タイヤ・リア:150/60-R17 ブレーキ・フロント:ディスク(∅280mm ペタル) ブレーキ・リア:ディスク(∅240mm ペタル) カラー:シャープホワイト、ジェットブルー 希望小売価格(税込):594,000円 保証:2年間走行距離無制限