フルモデルチェンジのトリシティ125、何が変わった? 乗って確かめてみた。

ヤマハ初となるフロント2輪の原付二種コミューターとして2014年9月に発売されたトリシティ。軽二輪枠のトリシティ155が追加されたのは2017年1月のことだ。両車とも基本的なスタイリングは初出時から大きく変わらないが、125の方は2018年のモデルチェンジを経て、2023年には125、155ともフレームから新設計となるなど、さらに進化している。ここでは新型125のファーストインプレッションをお届けしよう。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

可変バルタイ機構VVA搭載の124ccの水冷ブルーコアエンジンは、新作のシリンダーヘッドを採用するなどして令和2年排出ガス規制に適合し、さらにスマートモータージェネレーターやアイドリングストップ(ヤマハではストップ&スタートシステムと呼称)を新採用。エアクリーナーボックスやベルトカバーなどの外観がNMAXに近付いた。最高出力は12psを維持するが、最大トルクは12Nmから11Nmへと微減している。
14インチのフロントホイールおよびタイヤサイズは初代から変更なし。ブレーキキャリパーはニッシン製だ。2023年モデルからABS仕様のタイプ設定が廃止となり、前後連動ブレーキ仕様のみとなってしまったが、新エンジンや新フレームに合わせて制動力が最適化されている。
リヤホイールは2018年に12インチから13インチとなり、タイヤ幅は110mmから130mmへ。新型もこれを引き継いでいる。リヤショックはショック全長を延長し、バネレートおよび減衰力を最適化して上質感のある乗り心地に。
スマートキーシステムの新採用、メーターデザインの変更などにより、先代からアップデートされた感のあるコックピット。ただしハンドルグリップや左右スイッチボックスのデザインは従来型から変更なし。
モノクロのメーターパネルは新デザインに。さらに専用アプリ「Yコネクト」をインストールしたスマホと連携できる機能を新たに搭載した。
2014年の初代からポジションランプはLEDで、2018年モデルでヘッドライトもLED化。2023年モデルではヘッドライトのリフレクター構造を見直して照射範囲を拡大している。
コンビネーションタイプのLEDテール/ブレーキランプは先代から変わらず、前後ウインカーとナンバー灯はフィラメント球のまま。
シート下トランクの容量は約23.5ℓで先代と同じだが、夜間に便利なLED照明が省略されてしまったのは少々残念。なお、最大積載量は5kgまでで、シートヒンジの左右にはヘルメットホルダーあり。
フロントのアクセサリーボックスはボタンを押すとリッドが開く仕組みで、500mlのペットボトルは収納不可。内部に標準装備されていたUSBソケット(¥4400円、5V/2.0A)は別売りとなってしまった。可倒式のコンビニフックは耐荷重1kgまで。

スマートキーシステムを新採用。アンサーバック機能も搭載する。シートを開ける際は一度メインスイッチを押し、“SEAT”の位置まで回してから下部にある“SEAT”ボタンを押さないと解除できないので、この一連の操作が少々わずらわしく感じた。

トリシティ125(2023年モデル) 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 8BJ-SEK1J/E34AE
全長/全幅/全高 1,995mm/750mm/1,215mm
シート高 770mm
軸間距離 1,410mm
最低地上高 165mm
車両重量 168kg
燃料消費率 国土交通省届出値 
定地燃費値 45.5km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値 44.9km/L(クラス1)1名乗車時
原動機種類 水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 124cm3
内径×行程 52.0mm×58.7mm
圧縮比 11.2:1
最高出力 9.0kW(12ps)/8,000rpm
最大トルク 11N・m(1.1kgf・m)/6,000rpm
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 1.00L
燃料タンク容量 7.2L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V、6.0Ah(10HR)/YTZ7V
1次減速比/2次減速比 1.000/10.208
クラッチ形式 乾式、遠心、シュー
変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比 2.386~0.748:無段変速
フレーム形式 アンダーボーン
キャスター/トレール 20°00′/68mm
タイヤサイズ(前/後) 90/80-14M/C 43P(チューブレス)/130/70-13M/C 57P(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式ディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED
乗車定員 2名

製造国 タイ王国

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…