Hondaレーサー・RCシリーズのようで、実はスーパーカブ。豪奢な足周りにも注目!!

2023年春に東京サマーランドで開催されたモンキーミーティング。その会場で、鮮やかなカラーとスーパーカブらしからぬ足周りによって一際注目を集めていたのが、taku8さんのスーパーカブC50だ!


REPORT●佐賀山 敏行(SAGAYAMA Toshiyuki)
PHOTO●山田 俊輔(YAMADA Shunsuke)
ビキニカウルとサブレーム、センターサスが鮮烈な印象を与える

製作期間はオドロキの半年!! モンキーミーティングで初お目見え!

taku8さんがスーパーカブC50を手に入れたのは約2年前のこと。手に入れたといっても、あったのはフレームと書類だけだったという。そこで、もともと持っていたスーパーC110のエンジンと組み合わせることでカスタムをスタート。

フレームとエンジンしかないので、せっかくなら大胆なカスタムをしようと思い立ったそうだ。

極太のホイールも注目のポイント

そうして完成したのが、ここに紹介する1台である。カスタムコンセプトは、そのカラーリングが示す通り、1950年代末から1960年代に世界中のレースを戦ったホンダ・RCシリーズである。

真っ赤な車体と銀のビキニカウルが鮮烈で、カウルの施されたオレンジイエローのラインなど、芸が細かい。また、あえてフルカウルではなく、カブのフレームとエンジンをむき出しにしている点にも注目。モノサス化されたリヤショックが、このマシンが只者ではないことを物語っている。

フレームとツライチのシートやストレートアップのマフラーなど、じつに美しいスタイリングだ
シルバーのビキニカウルがホンダのレーサー「RC」シリーズを思い起こさせる

これだけの大改造が施されているのだ、きっと時間がかかったんだろうと思いきや……カスタム期間は約半年とのこと。ただし、完成した頃はコロナ禍真っ只中でお披露目の機会がなかった。しかしこの春、モンキーミーティングが開催されたことで、「やっと日の目を見せられた」とtaku8さんは笑顔を見せる。

実際にミーティング会場では、このC50は一際注目を集めていた。

その理由はやはり、リヤのモノサスをはじめとした豪奢な足周りにあるだろう。

リヤショックに注目が集まりがちだが、シグナスX用ショックをカウル内側に隠したフロントも見逃せない。さらに太足化された前後ホイールがマシンの存在感をさらに高めている。

ちなみにリヤショックはエイプ用である。

ビキニカウルの内側には、シグナスX用リヤショックを流用したフロントサスを内蔵

「一応サスストローク等の計算はしています」とtaku8さん。しかし続けて「ディメンションや強度的な問題もありますからね。まぁ、謎も多いバイクなんで、最高速アタックとかはできないです。あくまで見た目重視ですね」と苦笑する。

使い方はもっぱら近所の街乗りだそうだ。

フロントホイールのリム幅は3.75J

サスペンションとともに気になるのが極太のホイールだろう。前後ともにRCB製汎用リムをチョイスしている。

フロントはそのままでは入らないため、フロントフォークにワイド加工を施した。

リヤはハブのスポーク用の穴を拡大して、角度を変えるなどの大加工を行なったという。しかし、ペイントによって違和感はゼロ。圧巻のリヤビューを生み出している。

リヤサスペンションは受け部をワンオフで製作し、センターサス化している

しかし、これらはそこまで大変ではなかったとtaku8さんは言う。一番苦労したのはワンオフで製作したアルミタンクだそうだ。

「エンジンはF.I.のC110なので、燃料ポンプは必要なんです。はじめは別体式で、タンクの外につけたんですが、シートに厚みが出てしまうんです。そこでフレームとシートがなるべくツライチになるように、タンク内にポンプを仕込みました」

レーサー風シートは暫定版……の予定だが、「気に入っている」とオーナーのtaku8さん

ちなみに、シートは現在作っている途中だが、今のレーサーっぽい仕様も気に入っているとのこと。「かっこいいので、このままでもいいかな」と思っているそうだ。

他にも、車体を美しく見せるために、ハーネスの処理には苦労したという。

C110のエンジンをフルオーバーホール

エンジンはC110をストックのまま搭載。フルオーバーホールはしているが、チューニングパーツはあえて入れていない。

それでもベースが50ccなので、十分なパワーアップといえるだろう。ウエットブラストとパウダーコートによって、見た目は美しく仕上げられている。

ストレートアップタイプのマフラーもワンオフだ

まだまだブラッシュアップが必要なため、近所を走るくらいだというtaku8さんのC50。しかし、ぜひ足周りのセッティングや強度を詰めて、今後はツーリングなども楽しんでもらいたい。

このバイクでいろんなところを走ったら、絶対楽しそうだから!

リヤホイールのリム幅は4.25J

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著者プロフィール

佐賀山敏行 近影

佐賀山敏行

学生時代からの乗り物好きが高じて、 雑誌『カスタムバーニング』やムック『ハーレー・バガースタイル』な…