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4ストとはいえバイクとクルマのエンジンは別物。破損の原因となるので絶対にNGです!
筆者が10代の頃に乗っていたカワサキ・バリオスは、空冷4ストローク4気筒DOHC 4バルブ249ccエンジン搭載したネイキッドスポーツモデル。当時知人から走行距離2万kmの車両を15万円で購入した。
このカワサキ・バリオスは初期型の45馬力仕様。知人の徹底した日頃のメンテナンスにより、2万kmという走行距離の割に、状態は極めて良好。購入時、「早めにエンジンオイル交換してくれ」とのアドバイスを受けた。
バイクの知識が浅く、お金のなかった筆者は、「そういえば物置となっている倉庫の中に、オヤジがクルマのオイル交換時に使用していたエンジンオイルが残っていたな」と思い出し、そのクルマ用エンジンオイルに交換。間もなく、愛車のカワサキ・バリオスに不具合が起こり始めた。
バリオスは最高出力回転数=1万5000rpm。超高回転型エンジンに耐えられなかったクルマ用エンジンオイル
クルマ用エンジンオイルに交換後、愛車のバリオスは、間もなくクラッチが滑り気味になり、高回転域でのレスポンスが低下。明らかに性能が低下した。
バイクを譲ってくれた前オーナーの知人に詳細を相談すると、「そもそもバイクにクルマ用のエンジンオイルを使用してはダメ! 高回転域でパワーを稼ぐショートストローク型(ボア径49mm×ストローク長33.1=排気量249cc)のバリオスは、顕著に性能ダウンの症状が現れたのだろう。エンジンが壊れる前に、今すぐ4ストバイク用エンジンオイルに交換するべし」とのアドバイスを受けた。
「このままではエンジンが壊れるぞ」という知人の忠告に驚いた筆者は、4ストバイク用エンジンオイルに即交換。するとクラッチの滑りや高回転域でのレスポンス低下は解消。寸前のところで、エンジンの破損を免れた(とはいえ、エンジンには負担をかけてしまったが)。
バイク用エンジンオイルはエンジンの潤滑だけでなく、クラッチ&ミッションの潤滑の役目も
クルマはエンジン・ミッション・クラッチが別々にレイアウト。一方、ミッション付きバイクは、エンジン・ミッション・クラッチが一体化。バイク用エンジンオイルはエンジンの潤滑だけでなく、クラッチ&ミッションの潤滑も重視しているのが特徴。ココがクルマ用との決定的な違いだ。
もしも「同じ4ストだから」とバイクにクルマ用エンジンオイルを使ったら、湿式クラッチが滑る(一般的にクルマ用には磨耗低減剤が配合)、ミッションの動作不良や破損(クルマ用にはギヤの保護剤が未配合)、高回転域での油膜切れ(ほとんどのクルマ用オイルは、バイクのような1万rpm以上での使用など想定外)などの不具合が起こり、故障の原因となる。バイクには必ずバイク専用オイルを使用し、粘度もメーカー指定のものを使うことが重要。
もしも間違えてクルマ用エンジンオイルを入れてしまったら、クルマ用エンジンオイルを抜き、バイク用のエンジンオイルに交換すること。クラッチの滑りやミッション等の不具合が直らなかったら、エンジン内部の破損の可能性大。エンジンを分解し、各部を点検が必要となる。
たとえば2ストエンジンに4ストエンジン用を入れたら、どうなる?
バイクには2ストロークエンジンと4ストロークエンジンがある。しかし2ストローク用エンジンと4ストローク用エンジンは、基本構造が大きく異なる。もしも2ストロークエンジンに4ストロークエンジン用を使用した場合、エンジンの焼き付きなど、深刻な故障の原因となる可能性があるので絶対にNG。
4ストはエンジンオイルを燃やすことなく、エンジン内で繰り返し循環・潤滑。一方、2ストはガソリンとエンジンオイルを一緒に燃焼させ、排気ガスとして排出する(マフラーから白煙が出やすいのはそのため)。
2スト用エンジンオイルの特徴は、4スト用とは違い、「燃えやすい」こと。2スト用と4スト用は性質が異なるので、2ストエンジンには必ず2スト専用のエンジンオイルを使用することが大切。また2ストローク車のエンジンオイルはガソリンと同じく減少するものだから、無くなる前にきちんと補給すること。補給せず空のまま走り続けたら、エンジンは焼き付き、修理代は高額となる。
間違って2ストローク車に4スト用エンジンオイルを入れてしまったら。エンジン、オイルタンク、キャブレターなどからすべての4スト用エンジンオイルを抜き取り、即2スト用に交換。もしも4スト用だと気付かずに走行したら……不完全燃焼によってエンジン内やマフラー内に大量のカーボンが蓄積し、やがて走行不能になる。修復にはエンジンやマフラーの分解・清掃・部品交換等の作業が必要。
なお、逆に4ストローク車に2ストローク用エンジンオイルを充填するのも、故障の原因となるので絶対にダメ。4ストロークのバイクにはバイク用4ストエンジンオイル、2ストロークのバイクにはバイク用2ストエンジンオイルを使用することが鉄則だ。