ライディング、これすなわちスポーツ!そのオーラに凄みが漂う。|CBR1000RR-R FIREBLADE SP・2022

「CBR1000RR-R FIREBLADE」と同SPは、大型スーパースポーツを代表するホンダのフラッグシップ。2020年3月にフルモデルチェンジされ、その後2022年3月に一部仕様変更、2024年3月に仕様変更された。特に今回の変更熟成進化は多岐に及んでいる。当記事の試乗撮影車は2022年型でありインプレ記事もそれによるものだが、価格や諸元表は最新モデルのデータを掲載。旧モデルからの変更点についても解説した。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

ディテール解説

目つきの鋭いフロントマスクは精悍さの中にどこか優しさが漂う雰囲気がある。以下詳細写真は全て試乗車(旧型)で撮影。

これはこれで、なかなか迫力のあるウイングデザインが印象的。モトGPで培われたノウハウが投入されている。

オーリンス製φ43mmの倒立式フロントフォークは、電子制御式NPX Smart-EC(新型は3.0〔Spool valve〕)を装備。ダブルディスクブレーキはφ330mm。ラジアルマウントされた油圧キャリパーはブレンボ製対向4ピストンのモノブロック式STYLEMA™ R が奢られた。

セミカムギアトレインシステムを採用したDOHC16バルブエンジンは、ショートストロークタイプの水冷直(並)列4気筒。ボア・ストロークはRC213Vと同じである。新型ではクランクケースやクランクシャフトとコンロッドが一新され、720gの軽量化を果たしている。

既にクィックシフターを標準装備。小気味良いシフトワークが楽しめる。新型ではギア比が一新された。

長円形の排気管は4into2の後、触媒で一つに集合し右サイドへ導き出されている。触媒直後にはバタフライバルブを備えている。
1本マフラーはAKRAPOVIC(アクラポヴィッチ)社と共同開発された軽量チタン製が採用されている。

プロリンクを持つアルミプレス製スイングアーム式。電子制御式サスペンションはオーリンズ製TTX36 Smart-ECが奢られている(最新モデルでは同3.0に進化)。

リアブレーキもブレンボ製。対向2ピストンの油圧キャリパーは、RC213V-Sと同タイプ。タイヤはピレリ製DIABLOのスーパーコルサSPを履く。

ステアリングトップブリッジの下側で左右のフロントフォークを支持するセパレートハンドルを装備。

下から順にハザード、ウインカー、ホーン、モードスイッチ。人差し指で扱う向こう側のスイッチはディマー&パッシングあるいはラップタイム計測に使う。右側は4Way式スイッチでメニュー選択や各種制御選択に使用する。
ハンドル右側は赤いスイッチがシンプルにひとつ。エンジンキルスイッチ兼始動用スタータースイッチ。
カウル内側の丸いリング&プッシュボタンがイグニッションスイッチ。
オーリンズ製の電子制御式フロントフォークを装備。

多彩なインフォメーションを担う5インチのフルカラーTFT(液晶ディスプレイ)メーターを装備。写真の表示はアナログ針式をイメージした回転計をメインにデジタル表示の速度計を組みあわせたデザイン。中央にはギアポジションが表示される。

別デザインの表示を選択することもできる。表示内容は上に示す通り実に多彩である。

左側に各種電子制御の設定具合を表示。
別デザインの表示。車体バンク角もわかる。
各種の設定変更ができる。

ディスプレイメーターは、各種電子制御系のモード選択操作にも役立つ。

レーシーなスーパースポーツモデルらしい段差のあるセパレートシートが装備されている。

タンデムライダー用のグラブベルトも標準装備。シート下に収納できる。
キーで解錠すればリアのシートクッションが脱着できる。ETC機器を収納できるスペースが空けられている。

テールカウル内に収納されたセパレートタイプのLED式テールランプ。ウインカーはライセンスプレートランプの左右にセットされている。

スマートキー方式のメインキー。
物理キーも内蔵されている。

前端は細く、後端はワイドにデザインされたライダーシート。乗車位置の車体はスマートで、自由度のある乗車姿勢が印象的。

主要諸元

CBR1000RR-R FIREBLADE SP  最新モデル(2024年3月発売)

車名・型式:ホンダ・8BL-SC82
全長(mm):2,105
全幅(mm):750
全高(mm):1,140
軸距(mm):1,455
最低地上高(mm):130
シート高(mm):820
車両重量(kg):201
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):22.0 (60km/h定地)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(km/L):15.4〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):3.8

エンジン型式:SC82E
エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒
総排気量(㎤):999
内径×行程(mm):81.0×48.5
圧縮比:13.6
最高出力(kW[PS]/rpm):160[218]/14,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):113[11.5]/12,000
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-DSFI)〉
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
バッテリー:HJ12L リチウムイオン (12V-2.3Ah)
潤滑方式:圧送飛沫併用式
潤滑油量(L):4.0 (交換時・2.8、フィルター交換時・3.0)
燃料タンク容量(L):16

クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速…2.461
 2速…1.947
 3速…1.650
 4速…1.454
 5速…1.291
 6速…1.160
減速比(1次 / 2次):1.687 / 2.750
キャスター角(度):24゜07′
トレール量(mm):102
ステアリング切れ角(度):25
タイヤ(前/後):120/70ZR-17M/C(58W) / 200/55ZR-17M/C(78W)  
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク / 油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式(倒立サス/NPX Smart EC 3.0) / スイングアーム式(プロリンク/TTX36 Smart EC 3.0)
フレーム形式:ダイヤモンド
最新モデル(2024年3月発売)
試乗・撮影車(2022年3月発売)

試乗後の一言

ホンダ最高峰のスーパースポーツ。跨った瞬間から気が引き締まる思いがする。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…