目次
SHOWA(ショーワ) 大型車用ギアポンプ駆動 サスペンションスプリングアジャスター……参考出品
リアショックを利用した足着き性向上のための車高調整機能は、2018年のEICMAにおいて、SHOWA独自の電子制御サスペンションシステム「SHOWA EERA(ショーワ・イーラ/Electronically Equipped Ride Adjustment)」の追加機能「HEIGHTFLEX(ハイトフレックス)」を世界初公開。
今回のEICMA2023で発表された『大型車用ギアポンプ駆動 サスペンションスプリングアジャスター』は、上記の「HEIGHTFLEX」機能をモーターとギアポンプユニットで実現する、軽量コンパクトな新しい車高調整機構。
2018年に登場以来、進化を続ける電動式の車高調整機能
すでにハーレーダビッドソンのアドベンチャーモデルに採用され、高い評価を得ている自動車高調整機構「SHOWA EERA HEIGHTFLEX 」。この機構は、ストロークセンサーが走行中の車高を検知。走行中は最適な車高を維持し、車両停止時は自動的に車高を下げ、足着き性を向上するシステムだ。
2018年のEICMAで発表されたHEIGHTFLEX は走行開始後、走行中のサスペンションの伸縮によるポンプ機能(セルフレベルポンプ)を利用し、オイルをリアショックの油圧ジャッキ内に送り込んで車高を上昇。
また、車両の停止直前には電子制御式油圧バルブによって流路を切り替え、油圧ジャッキ内のオイルをリザーバーに逃がすことで車高を低下させた。
2023年のEICMAで発表された新型は、ABSモジュレーターの油圧ポンプを転用し、リアショックの油圧ジャッキを駆動する新しいシステムを導入。ABSモジュレーターで駆動するHEIGHTFLEXは、セルフレベルポンプ式に比べ、走行開始後に路面の状態によらず、毎回安定して車高を上げることがでる。
また、新型は多くの車両に搭載されているABSモジュレーターの数量的な優位性を生かし、従来の電動スプリングアジャスターよりも安価に電動式の車高調整機能の提供を実現した。
小型化したポンプユニットをリアショック本体に一体化。動作時間も大幅に短縮
今回のEICMA2023で新たに発表された「ギアポンプ駆動 サスペンションスプリングアジャスター」は、HEIGHTFLEX機能を継承しつつ、リアサスペンションユニットに油圧ポンプユニットを一体化。また、走行開始後に車高を上げる際の作動時間を、ABSモジュレーター式の約半分まで短縮。
ポンプユニットの作動流体には、リザーバータンク内のサスペンション用ダンパーオイルを共用。これにより外部タンクにつながる油圧ホース配管を廃止。またギアポンプを用いてポンプユニットを小型化し、サスペンションユニットにポンプユニットを一体化することで、車両搭載性を向上させた。
当機構は、日立Astemoが取り扱う大型船外機の跳ねあげ機構および、パワーチルトトリムで実績があるオイルポンプ技術を応用。その機構を高効率で維持しながら、二輪車用サスペンションの油圧スプリングアジャスターに最適なサイズにしたことが、今回のギアポンプユニット完成の鍵となった。
SHOWAでは、新型の「ギアポンプ駆動 サスペンションスプリングアジャスター」とともに、従来型の「ABSモジュレーター駆動サスペンションスプリングアジャスター」と「セルフレベルポンプ式サスペンションスプリングアジャスター」も合わせて市販化。車両に求められる性能やコストに見合った、最適なシステムを提案・提供中だ。
SHOWAでは高機能リアショックの開発に加え、フロントフォーク向けの車高調整機構も開発中。