最新3Dプリンター等を駆使して旧車・ヤマハTX650を現代のカフェレーサーに復活|ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー

カウル、シート、メーター、インテーク、アンダーダクト、フェンダーの製作には最新の3Dプリンターを使用してパーツを製作し、懐かしのヤマハTX650を現代版に復活!
2023年12月3日(日)にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された日本最大級のカスタムカー&カスタムバイクイベント「ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー(HCS)」。31回目を迎えるこのイベントには、ビルダーたちが手掛けたハイレベルな作品が全国から集結。写真は1976年式のビンテージモデル「ヤマハTX650」をベースに、自動車のアフターパーツや建築系のデザインなどを手掛ける「VISION DESIGN」が、最新の手法を用いてカスタマイズした渾身の1台。レシプロ戦闘機の最高傑作プロペラ機「P51マスタング」をモチーフに、卓越したセンスと高い技術力で仕上げられている。
PHOTO/REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
VISION DESIGN https://visiondesign.builders/
イベント主催:ムーンアイズ https://www.mooneyes.co.jp/

ベース車両はバーチカル・ツイン653ccエンジン搭載の「ヤマハTX650(1973年~1980年)」

全長×全幅×全高:2,180mm×900mm×1,160mm 車両重量:212kg エンジン型式:空冷4ストローク並列2気筒SOHC 2バルブ 排気量:653cc 最高出力: 39kW(53ps)/7,500rpm 最大トルク:53.9N・m(5.5kgf・m)/6,000rpm 販売価格(当時):38万円

1973年(昭和48年)に登場したヤマハTX650は、TX750、TX500とともに、ビッグスポーツである「TXシリーズ」の仲間に加わったモデル。エンジンは空冷4ストローク並列2気筒SOHC 2バルブ653ccを搭載。

TX650は前身の「XS-1」から継承したバーチカル・ツインエンジンを基調に、フレームを一新。直進安定性の向上を目指してロングホイールベース化し、トレールを延長。軽量化したピストンとコンロッド、H型アルミリム、シールドビームヘッドライトなどの最新装備も導入。トランジスタ点火となった最終型の1980年式まで、ロングセラーモデルとして人気を博した。

レシプロ戦闘機の最高傑作「P51マスタング」をモチーフに、現代の技術でモディファイ

デザイン製作ツールの3Dスキャナーや3D造形ソフトを使い、各部のオリジナルパーツを設計。また3Dプリンターを駆使し、クオリティの高いワンオフパーツづくりにも成功。
このカスタムを製作した「VISION DESIGN」の代表・深山雅亮氏はプロダクトデザイナーとして数々の建築、建材、公共設置物、自動車アフターパーツ、ホイール、エアロパーツ等を手がけ、グッドデザイン賞も複数点受賞。同車には随所に建築系の構造や、強度確保のノウハウがフィードバックされている。
空冷4ストローク並列2気筒SOHC 2バルブ653ccエンジンはオーバーホール後、750ccにボアアップ。

ビンテージモデル・ヤマハTX650をベースに製作されたのが、写真の『1976 YAMAHA TX650 447 MUSTANG』。同車はプロダクトデザイナーとして数々の建築、建材、公共設置物、自動車アフターパーツ、ホイール、エアロパーツ等を手がける、グッドデザイン賞も複数点受賞した経歴を持つ「VISION DESIGN」の代表・深山雅亮氏がカスタマイズ。

現代の大型スポーツモデルは、デザイン&動力性能ともに、まるでジェット戦闘機のよう。今時の超高性能バイクに比べ、ベースとなる1967年式のTX650は、例えるならレトロなプロペラ機。

そこで『1976 YAMAHA TX650 447 MUSTANG』は、プロペラ機ながらレシプロ戦闘機の最高傑作といわれる「P51マスタング」をモチーフに、現代の技術を投入して作成。新旧を織り交ぜつつ、高性能カフェレーサーとして現代に蘇えらせた。

レシプロ戦闘機の最高傑作といわれるプロペラ機「P51マスタング」。

最新の3Dスキャナー、3D造形ソフト、3Dプリンターを駆使した最新の手法を実践

フレームは不要個所をカットし、一部強化。フレーム表面はパウダーコート仕上げ。
スポークホイールはF18インチ径/リム幅2.5、R17インチ径/リム幅3.5。リム部はゴールドのアルマイト仕上げ。各スポークはステンレス製4Φ。倒立型のフロントフォークはスズキGSX-R1000用をスワップ。
ステンレス製エキゾーストパイプ+コンパクトなアルミ製サイレンサーを組み合わせた、左右2本出しのショート型ダウンマフラーを装備。
スイングアームは2インチ(約50mm)延長。ツインショックを固定するショックマウントは移設。キャブレターとシリンダーヘッドを繋ぐ専用デザインのロング型インテークマニホールドは、3Dプリンターで製作。

「VISION DESIGN」は1998年、工業・建築系デザイン会社として創業。写真のカスタム製作に当たり、デザイン製作ツールの3Dスキャナーや3D造形ソフトを使い、オリジナルパーツを設計。

また、3Dプリンターを駆使してワンオフパーツを製作。パーツ製作や加工などには、随所に建築系の構造や、強度確保などで培ったノウハウをフィードバック。これらをもとに、下記のカスタムが施されている。

主要カスタムスペック

フレーム不要個所カット シートレールシートパン製作 一部強化 パウダーコート仕上げ
スイングアーム2インチ延長 ショックマウント移設
フロントフォークスズキGSX-R1000スワップ COGNITO MOTOビレットトップブリッジ ビレットハブ
ガソリンタンクGX750(XS750)純正 フューエルコック加工
シート専用デザイン3Dプリント製カウル ホースハイドシート アイレット付
メーター専用デザイン3Dプリント製クラスタ
カウル専用デザイン3Dプリント製フェアリング
エキゾースト45Φスチールワンオフエキマニ ショートSUSマフラーCERAKOTE仕上げ
エンジン447 フルOH750ccボアアップ CERAKOTE仕上げ
インテーク専用デザイン3Dプリント製 PA6GF
キャブレーターOLD WEBER OH CERAKOTE仕上げカスタム
ホイールF18/2.5 R17/3.5 アルマイト仕上げ SUS4Φスポーク
タイヤブリヂストン BATTLAX ADVENTURECROSS SCRAMBLER AX41S
電装Motogadget Mo.UNIT 全新規配線
イグニッションVAPE パワーダイナモ ダイレクトイグニッション
アンダーダクト専用デザイン3Dプリント製 オイルクーラー内臓(来夏予定)
フェンダー専用デザイン3Dプリント製

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