【05】スーパーカブ50に“スノータイヤ”を組み込む!カブで雪道を走る|タイヤ交換・タイヤ装着編】

ホンダ スーパーカブ50(12Vエンジン/キャブレター車)の17インチタイヤを交換中。タイヤ内にセットされたチューブを傷付けないように注意しながら、タイヤレバーをエアバルブのある位置と反対側へ差し入れ、ビードをリムの外側へ捲る。
真冬にバイクに乗る。これはバイク通勤やバイク通学する人にとっては当たり前。ただしバイクで“積雪の道路”を走る人はごくわずか。しかし驚くなかれ! スーパーカブ50用の17インチタイヤには、雪道での走行を想定した“スノータイヤ”が存在する。ここではスーパーカブ50のタイヤを、標示的な夏用からスノータイヤに交換。「雪道走行でどのような走りを発揮するのか?」を試してみた。第2回(全4回)となる今回は、タイヤの交換作業、またタイヤ(ホイール)の取り付けをレポート。第1回のタイヤ(ホイール)取り外しと同様、作業は通常のタイヤ交換と同じなので、「溝が無くなってきたのでタイヤを交換したい」「自分でタイヤ交換にチャレンジしたい」という人も参考にしてみて欲しい。
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) / 山田俊輔(YAMADA Shunsuke) / 増田 満(MASUDA Mitsuru)

前回のおさらい:「スノータイヤ」って何?

ホンダの超ロングセラーモデル、スーパーカブ50IRC製スノータイヤを装着したところ。見た目は夏用タイヤと区別がつきにくい。

市販の四輪車用タイヤは大きく分けて、夏用タイヤと冬用タイヤの2種類がある。夏用タイヤは雪道や凍結した道以外ならば、一年中使用できる標準的なタイプ。一方、冬用タイヤは雪道や凍結した道に適応したタイプ。

冬用タイヤには「スノータイヤ(昨今ではスタッドレスタイヤという名称が定番)」、また「スパイクタイヤ(※注1)」があり、雪道や凍結した道でも、走る・曲がる・止まるという、車両の基本要素をキープしやすい特性を発揮。

夏用タイヤに比べ、スノータイヤ(スタッドレスタイヤ)は路面との設置部分が低温でも硬くなりにくいゴムを採用。また夏用タイヤよりも溝が深く、雪や氷を雪を噛むようにして掻き出し、滑りやすくなった路面でもグリップしやすい設計がポイント。ただし夏用タイヤよりも硬化が早く、寿命が短いというデメリットがある。

※注1:四輪車の場合、スパイクタイヤは一部地域と期間を除いて使用が禁止されている。北海道なら11月前後から4月頃までなら使用が認めらているが、本州以南では東北や北陸、山梨や長野・岐阜、鳥取や島根などを除いて使用してはいけない。これは自動二輪についても適用される法律で、違反すれば罰則を受けることになる。逆に積雪路を走る場合、四輪車だけでなく自動二輪であっても冬用タイヤやチェーンを巻くなどの処置をしないと法律違反になる。ところが原動機付自転車、125cc以下のバイクであればスパイクタイヤを装着しても構わない。詳しくは下記ページ参照。

ベース車:ホンダ スーパーカブ50/エンジン:12V/吸気系:キャブレター

今回タイヤを交換する車両は、ホンダ・スーパーカブ50。エンジン(電装系)は12Vで吸気系はキャブレター。スノータイヤを履いている以外、カスタム個所のない完全ノーマル車。

標準タイヤ(古いタイヤ)を取り外す方法

取り外したスーパーカブ50のフロントタイヤ(ホイール)とリアタイヤ(ホイール)。
まずは空気を抜く。今回は「ムシ回し」と呼ばれる専用工具を使用。バルブキャップを取り外し、バルブ内へムシ回しを差し入れ、反時計回りに回すとバルブの中にあるムシが外れて空気が抜けるしくみ。空気が抜けたら、両手にしっかりと体重をかけ、タイヤのビードをホイール中央に向けて落とす。
バルブ内にセットされていたムシを取り出す。
スパナを使い、バルブに固定されたナットを取り外す。
ビードが落ちたら、タイヤ内にセットされたチューブを傷付けないように注意しながら、タイヤレバーをエアバルブのある位置と反対側へ差し入れ、ビードをリムの外側へ捲る。今回はホイールの傷付き防止用の「リムプロテクター(赤い樹脂製ツール)」を使用した。
もう1本のタイヤレバーを差し入れ、徐々にビードを捲る範囲を広げていく。
ビード捲りがある程度まで広がったら、手の力のみで片側のビードをリムから外す。
片側のビードをリムから外したら、チューブのバルブをホイール内側へ押し込む。
タイヤ内にセットされたチューブを、傷付けないように注意しながら引っ張り出す。
ホイールのリムに残っている、もう片方のビードを捲る。今回は手作業でOKだった。もしも固くて捲れない場合は、タイヤレバーを1本だけ差し入れてビードをリムの外側へ向け、この状態で5〜10センチほど離れた場所をプラスチックハンマーなどで叩く。するとズルッとビードが落ちてくれるので、残りは手の力でホイールからタイヤを外すことができる。
ホイールから取り外した夏用タイヤとチューブ。

スノータイヤ(新しいタイヤ)を組み込む方法

今回装着したスノータイヤ

メーカー名:IRC/商品名:SN12/サイズ:2.25-17/購入価格:4262円(消費税込/1本)

【準備したアイテム/名称と購入価格(税込)】
タイヤチューブ:615円×2本
リムバンド:450円×2本

スポークホイールのリムの中央部分(真ん中の凹んでいる部分)には、スポークの突起などでチューブをパンクさせないように保護するための「リムバンド」が装備済み。
古い「リムバンド」をキレイに除去して……
17インチホイール径用の新しいリムバンドに交換。凹みにリムバンドをはめ込んだら、エアバルブの穴の位置に合致させておくこと。
今回交換するIRC製の冬用スノータイヤ。見た目や触感は、スタンダードな夏用タイヤとほぼ変わらず。ホイールにはめ込む前に、タイヤの進行方法(回転方向)を確認しておく。
タイヤは外す時と逆の手順で、片側ずつリムにはめ込む。まずはホイールにはめ込む側のビードの表側に、たっぷりとビードワックスを塗布。こうすることでビードとリムが滑りやすくなり、作業はスムーズ。ビードワックスがない場合は、台所用石鹸や石鹸水の代用もOK。
ホイールの上にタイヤを置いたら、両手と両ヒザに体重を乗せ、グイグイとタイヤを押し込む。今回はタイヤレバーを使わなくても、片側はリム内に落ちてくれた。
片側のビードがリムに落ちたら、タイヤの内側にタイヤチューブを入れる。タイヤ内でのヨレを防ぐため、チューブを入れる前に少し空気を入れておくのがポイント。
タイヤ内にチューブがセットできたら、エアバルブをリムの穴に通し、ナットを仮締め。チューブがキレイに入ったら、再度ムシを外して空気を抜いておく。これはタイヤレバーによるチューブの噛み込みを防ぐため。
残りのビードの裏側に、タイヤワックスをたっぷり塗布。
エアバルブの反対側からビードをはめ込んでいく。最大の注意点は、タイヤレバーとチューブが噛まないようにすること。もしも噛んでしまった場合、チューブに穴が開き、空気が漏れてしまう。タイヤレバーの角度は90°以上傾けないようにすることが基本。
ビードがめくれてこないように腕と膝でタイヤを押さえながら、少しずつ少しずつ、無理をしないようにタイヤレバーを入れ、手の力で押し込んでいく。
両サイドのビードがリムに収まったら、バルブのナットを本締め。
エアバルブにムシを戻してエアを注入。タイヤレバーでチューブに傷を付けてしまい、エアが抜けてないかをよーく確認。
エアを注入してビードが出たら、念のためもう一度空気を抜く。そして再度、空気を注入。もしもタイヤ内部でチューブがよじれている場合、この作業で解消される可能性が高い。
以上でタイヤ交換作業は終了!

タイヤ(ホイール)を装着する手順

まずはフロントから。フロントホイールのハブにカラーを装着。
ドラムブレーキパネルを元通りハブにセットし、フロントフォークへタイヤを固定。ドラムブレーキパネルにある溝と、フロントフォーク右側にある突起を重ねるようにして差し入れ、アクスルシャフトを通す。
アクスルシャフト挿入時は左右の向きを間違えないように注意すること。
12mmと17mmのメガネレンチ。またはボックスレンチやラチェットハンドル等を使い……
タイヤを固定しているアクスルシャフトを本締め。最後は必ずトルクレンチを使い、規定トルクで締め付ける。
ドラムブレーキパネルにスピードメーターケーブルを挿入し、プラスドライバーを使い固定する。
ドラムブレーキパネルにブレーキロッドを挿入。「ブレーキロッドアジャスティングナット」でブレーキロッドを元通りに固定する。
チェーン側の凹凸とホイールハブ側の凹凸を合致させた後、ドラムブレーキパネルを固定。
ホイール側とスイングアーム側の穴を合致させ、アクスルシャフトを挿入して仮止め。アクスルシャフトは挿入する向きを間違えないように注意すること。
リアブレーキパネルにトルクロッドを固定。
メガネレンチを使い、リヤブレーキのトルクロッド固定用ナットを取り付け。
ラジオペンチを使い、トルクロッド固定用ナット横に割りピンを挿入。
チェーンの弛みを調整する「チェーン引き」を、チェーン側と同じ目盛り位置にセット。調整はスパナを使い、ナットを締め込む。
14mmと19mmのメガネレンチ。またはボックスレンチやラチェットハンドル等を使い……
タイヤを固定しているアクスルシャフトを本締め。最後は必ずトルクレンチを使い、規定トルクで締め付ける。
アクスルシャフト挿しこむ時は左右の向きを間違えないように注意すること。
「ブレーキロッドアジャスティングナット」でリアブレーキロッドを固定。「ブレーキロッドアジャスティングナット」を指で締めつつ、リアブレーキアームを作動させながら“遊び”を調整する。

●第3回に続く 【第3回/全4回/スノータイヤで雪道を走る編】

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