ホンダのデザインSTUDIO初公開!

[デザイントップインタビュー_シリーズ -1.3 / DESIGN STUDIO ]
今回のデザイントップインタビューは埼玉県和光市の本田技術研究所内に新たに建てられたデザイン棟で行われた。インタビューを終えた私はデザイン棟を案内されたのだが残念ながらその内容についてはご紹介することができない。しかしこの度デザインセンターより最大限のご厚意をいただき、画像で紹介することが可能になった。デザイン部門の体制が刷新されスタジオも新築されたこれからのホンダには期待しかない。
TEXT : 難波 治 PHOTO : HONDA,

デザインスタジオ訪問

デザインセンター内部を推し量るには十分な量の画像を頂いたので私からの説明などは不要である。こんなチャンスは滅多にあることではない。

エントランス。このフロアは外部と最高機密部署を結ぶ結界部分である。
PHOTO : HONDA
エントランスフロア。私たちが訪問した時にはホンダ初の4輪自動車である軽4輪トラックT360とS500が展示されていた。
PHOTO : HONDA
L字型建屋のコーナー部分は最下層から上層まで吹き抜けの階段スペースとなっている。この吹き抜けは各階が閉鎖空間となることを避けられ、連続性を生んでいる。階段部分は全階を繋ぐ空間であるとともに各階の自由なスペースとなっており、リラックスして頭を休めるスペースとして機能している。
PHOTO : HONDA
デザイナーの働くフロア。途中に固定された仕切りはなくオープンな雰囲気に満ちている。グリーンも多く取り入れている。
PHOTO : HONDA
最上階。プレゼンテーションルームがあるフロア。プレゼンテーションエリアへ入る前の前室。
PHOTO : HONDA
プレゼンテーションルーム。今回のインタビューはここで行われた。
PHOTO : HONDA
今回このように前室にホンダ0シリーズ SPACE-HUBが置かれていた。
PHOTO : HONDA
モデルフロア。建設途中までは世界一長い定盤だったようだが、すでに抜かれてしまったとのこと。
全面発光の天井の高いモデルルーム。2階からはガラス張りで1階のモデルルームが見渡せる。キャットウォークもあり、上方からの造形チェックが可能になっている。
モデルルームは広く天井も高く、面照明でモデル製作にとって最高の環境。ただし、時に満遍なく光が届きすぎてサーフェイスの抑揚や効果が見えづらくなることもある。
PHOTO : HONDA

デザイナーの日常をご紹介!

新たになったデザインのフロアでデザイナーが働いている様子をお見せする。このような機会はほぼないことであり貴重な機会である。篤とご覧あれ!

*写真は全てホンダ提供

[My Opinion]

PHOTO : HONDA

モデルを見るべき距離が確保されているモデルフロア。あえてこう書くのは、この距離は造形開発をするときのスタジオが揃えなければならない性能として、なくてはならない大切な条件なのであるが、これがなかなか予算管理部門には理解されない。なぜなら、無駄な空間、勿体無い空間、としか思ってもらえないからだ。

広大なテストコースや衝突実験設備と同様にデザインを開発するために必要な空間距離なのである。デザインはクルマの重要な性能の一つであり、その性能目標値を確実に達成する仕事をするために必要な設備なのであるが、残念ながら理解されないことの方が多い。

日本は長くクルマを開発していている歴史があるにもかかわらず、デザインは経営資源であって、さらにデザインはクルマの性能要件であるということについて、なかなか理解が進まないことや、我慢を強いられることが多く心底歯痒かったが、このスタジオを見るにつけ、ようやく日本のメーカーもデザインという概念の理解度に変化がおきたのかなと感じたような次第だった。

最後に。

今回のデザイントップインタビューにおいて、ホンダデザインセンター各位だけではなく関係部署、広報の方々には大変お世話になった。その上、ホンダデザインセンターのご厚意により、デザインの現場を紹介していただくことができ感謝しかない。
また、デザインの現場はまだ見ぬ明日の商品が「カタチ」となって目に入ってしまう職場の性格のため、部外者はほとんど内部を窺い知ることができないが、今回は本当に貴重な機会となった。

Web上ではありますがあらためて心より御礼申し上げます。

編集長:難波 治

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著者プロフィール

難波 治 / Osamu NAMBA 近影

難波 治 / Osamu NAMBA

筑波大学芸術専門学群生産デザイン専攻卒業後、スズキ株式会社入社。軽自動車量産車、小型車先行開発車輌…