目次
「色」にみるベントレー車のヘリテージ
2021年に70周年を迎えたベントレーのデザイン部門は、そのアニバーサリーイヤーを記念して、過去から現代までを繋ぐベントレーデザイン史を様々な形で発信している。今回発表されたのはとりわけユニークな“調査報告”だ。
伝統を大切にするベントレーらしく、いまから90年以上も前のボディカラーを発掘。そして、選び抜いたクラシックなヘリテージカラーを、特別なマリナーモデルのボディカラーとして復刻させる。
英国王室用ベントレーに使用する特別なカラー
ベントレーで最も長い歴史をもつ色のひとつが、「ダブグレー(Dove Grey)」。ミルキーな淡い風合いの上品なグレーは、1930年代、ダービー時代のベントレー車に採用されていた。
英国女王エリザベス2世の在位50周年記念(ゴールデン・ジュビリー)のために特別に設計されたベントレー ステートリムジンがまとっていたのは、「クラレット」と呼ぶ優雅な2トーンカラー。この色合いは、1940年代以降のすべての王室用ベントレーに使用されている「ロイヤルクラレット」に着想を得て生み出されたものだという。
朝焼けに照らされる雲のように優しい色味の「オールド イングリッシュ ホワイト」は1950年代に誕生。また、ベントレーのカラーラインナップのうち最も深いブルーのひとつ、「オックスフォード ブルー」は1960年代に生まれた。
アンティークな陶器を思わせるセージグリーン
15色以上ものカラーが50年超にわたり現役で活躍しているのも今回発見された事実。これらのカラーはビスポークオーダー「マリナー パーソナル コミッション ガイド」を通じて注文することができる。とりわけ英国的なのが、アンティークな陶器を思わせる「セージグリーン」。知性と清潔感を漂わせる独特の緑は、新型フライングスパーのようなモダンなスポーツサルーンにも不思議とよく似合う。
ベントレーといえば、走りや贅沢なしつらえに象徴される老舗の名門だが、「色」への並々ならぬこだわりをもつメーカーとしても知られている。自動車メーカーの中でも最大級のカラーラインナップを誇るのはもちろん、熟練した職人技と先進のテクノロジーを融合した塗装技術の高さはベントレー車の美点だ。今回の“調査報告”は、その独特の感性と美意識を裏付けるものだった。