BMWらしさを残しつつ新世代を宣言するSAVコンセプト「ビジョン ノイエ クラッセ X」

次世代SAVを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」をワールドプレミア「ハンガリーで2025年から生産開始」【動画】

次世代SAVを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」のエクステリア。
2025年から生産が開始される新型SAVを予告する、「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」が初公開された。
BMWグループは、2024年3月21日に行われた年次記者会見において、次世代SUVを予告する「ビジョン ノイエ クラッセ X」を公開した。ビジョン ノイエ クラッセ Xは、新開発アーキテクチャに電動パワートレインを搭載し、2025年からハンガリーのデブレツェン工場で生産が開始される予定だ。

BMW Vision Neue Klasse X

将来のSAVを予告するコンセプトカー

「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」と「BMW ビジョン ノイエ クラッセ」。
2023年に発表された将来のセダンを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ(右)」に続き、同じコンセプトを持つ、SAVモデルの「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X(左)」が公開された。

BMWは2023年の「IAAモビリティ」において、将来のセダンモデルを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ」を公開。今回、発表された「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」は、アクティブなライフスタイル、効率性の高いダイナミクス、自身に満ちた姿勢を象徴するスポーツ・アクティビティ・ビークル(SAV)として開発されている。

そのデザインは、明快なエクステリアのデザイン言語と、明るく広々としたインテリアを一体化。次世代「BMW iDrive」が生み出す特別なライティングやサウンドエフェクトが、電動化、デジタル化、循環性に、新たな付加価値を加えることになった。

ノイエ クラッセのために特別開発されたパワートレインとシャシー制御、さらに第6世代「BMW eDrive」テクノロジーにより、BMWのフル電動モデルは次なる段階へと進化する。また、そのサステイナビリティコンセプトに沿って、生産/稼働/分解/リサイクルにおいても、BMWが責任を持って取り組むことが宣言された。

BMW AGの取締役会会長を務めるオリバー・ツィプセは、ビジョン ノイエ クラッセ Xについて次のように説明を加えた。

「BMW ビジョン ノイエ クラッセ Xは、先に発表したビジョン ノイエ クラッセと共に、今後のBMWモデルラインナップの幅広さを示しています。ノイエ クラッセは、お客様が求める多彩なモデルを反映しています。現在だけでなく将来も求められる、スポーティなセダンとその派生モデルから、モダンなSAVシリーズに至るまで、多様性を反映しているのです」

「BMWはノイエ クラッセは、自動車や具体的なコンセプトという枠組みをはるかに超えた、BMWブランドを再定義する存在となります。今回公開したビジョン ノイエ クラッセ Xは、これまで以上に、BMWらしさを打ち出していくという宣言となるのです」

4基の高性能コンピューターを搭載

次世代SAVを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」の走行シーン。
ノイエ クラッセには、シャシー制御をはじめ、様々な機能の頭脳となる4基のスーパーブレイン(コンピューター)が搭載される。

新型パワートレインとシャシー制御は、ドライバー個人のニーズに合わせてカスタマイズ。優れたドライビングエクスペリエンスが提供される。これを支えるのは、BMWグループが社内で開発し、ノイエ クラッセのスムーズな走行を保証するための基盤となるソフトウェアスタックだ。4基のスーパーブレインが搭載され、その中の2つがノイエ クラッセのドライビングエクスペリエンスを新たな次元へと導くという。

BMW AG開発担当取締役のフランク・ウェーバーは、ノイエ クラッセに搭載される次世代コンピューターについて次のように説明する。

「ノイエ クラッセはBMWのドライビングが、さらなる高みに到達したことの証となります。未来のBMWモデルには、まったく新しい4基のスーパーブレインが搭載されます。これらの高性能コンピューターは、今まで個別に処理されていたものが、同時に動かせるだけの高度な性能を備えています」

「ひとつ目のスーパーブレインはすべて自社開発しました。これにより、パワートレイン全体とドライビングダイナミクスが一体化し、最大10倍のコンピューティング能力を発揮します。2つ目のスーパーブレインで自動運転は大きく飛躍します。今後は、4つの主要コントロールユニットをひとつの高性能コンピューターに統合します。これにより、ダイナミックな性能、正確性、効率性、そして『駆けぬける歓び』が向上するのです」

「BMW X」モデルのデザインを刷新

次世代SAVを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」の走行シーン。
ビジョン ノイエ クラッセ Xは、SUV/SAVモデルのデザインコンセプトを刷新。それでも、キドニーグリルやホフマイスターキンクなど、BMWらしさもしっかり残されている。

ノイエ クラッセ用に開発されたシンプルなデザイン言語は、BMWのXモデルが持つ2ボックスデザインと融合。エクステリアとインテリアのデザインが、大幅に進化したことが表現された。

フロントセクションは、縦に並んだLEDユニットが、BMWの象徴的なライトに新鮮な解釈を追加。センターのBMWキドニーグリルは、バックライト付き縦型フレームと共に、立体感のある彫刻的なフォルムに刷新された。ヘッドライトとキドニーグリルが連動して作り出す照明効果は、ドライバーの車両接近によって起動し、インテリアまでに広がる。

リヤセクションは、パワフルでアスリートのイメージを謳う。中心部の奥まで届くテールライトは、BMWのL字型に水平的な要素を加えたデザインを採用。可変式で光強度が個別に制御される3Dプリントエレメントは、後続車に向け表現力豊かな深いエフェクトを放つという。

今回、輝くようなガラス製のサーフェスと、鮮やかな「コーラルシルバー」のペイントワークをチョイス。サイドウインドウ後方には、BMWの伝統的なホフマイスターキンクも配置された。ここにはクロームの縁取りではなく、眺める角度によって透明あるいは反射面になる「反射プリント」が採用された。

BMWグループのデザインディレクターを務めるエイドリアン・ファン・ホーイドンクは、ビジョン ノイエ クラッセ Xのデザインについて次のようにコメントした。

「ビジョン ノイエ クラッセ Xは、ノイエ クラッセにおけるXモデルの未来を見据えています。電動化、デジタル化、循環性という共通の方針が、BMWの新世代SAVにも適用されているのです。それでも、Xモデルのモノリシック(一体型表面)なデザイン、すっきりとしたルックス、独自の縦型の解釈を加えたBMWライトシグネチャーなど、力強い特徴は受け継がれます」

新たな体験をもたらすBMWパノラミック・ビジョン

次世代SAVを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」のインテリア。
ビジョン ノイエ クラッセ Xに搭載される「BMWパノラミック・ビジョン」は、フロントウインドウの全幅に主要な情報が投影される新機能だ。

ビジョン ノイエ クラッセ Xは、グラウンドクリアランスを高くした電気自動車用アーキテクチャーにより、室内をこれまでになく広く使えるようになった。そして、BMWらしいロングホイールベース&ショートオーバーハングも維持された。大型のウインドウエリアとパノラミックガラスルーフは、室内へと自然光を注ぎ入れ、温かみのある色調のクロスが印象的で解放感のある広々とした空間を実現している。

再設計されたマルチファンクション付ステアリングホイール、直感的なタッチ操作機能のセンターディスプレイを搭載。さらに、BMWパノラミック・ビジョンが、BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントの先進的なボイスコントロールと組み合わせられ、人間とクルマをつなぐ直感的なインターフェイスとして機能する。

BMWパノラミック・ビジョンは、フロントウインドウの全幅に主要な情報を投影。ノイエ クラッセの市販仕様では、アップデートされたBMW 3Dヘッドアップディスプレイも搭載される予定だ。

ビジョン ノイエ クラッセ Xでは、センターディスプレイがインストゥルメントパネルと一体化。フロントシートのパッセンジャーは、すべてのインフォテインメント機能を自由に操作することができる。それは、サーフェイスカラー、アンビエントライトだけでなく、インスツルメントパネルのバックライト付クロスの表面にまで及ぶ。

新開発の「HYPERSONX」ホイールは、これまでにないパーソナル・サウンド・エクスペリエンスを提供。リアルタイムで生成され、「HYPERSONX」ホイールを指で軽く叩いて調整されるこの革新的なサウンドは、没入感の高いユーザー体験を可能にし、インテリアをパーソナルな音楽体験空間へと転換させるという。

第6世代「BMW eDrive」テクノロジー

次世代SAVを予告する「BMW ビジョン ノイエ クラッセ X」のエクステリア。
現在開発中の第6世代「BMW eDrive」は、円形リチウムイオンバッテリーを搭載し、800Vシステムと組み合わせることで、充電時間の短縮や後続距離の延長を可能にした。

ビジョン ノイエ クラッセ Xは、最新の第6世代「BMW eDrive」テクノロジーを搭載。改良されたe-driveユニットに加え、これまでの角形バッテリーよりも体積エネルギー密度が20%向上した、新しい円形リチウムイオンバッテリーが採用される。

この大容量バッテリーを800Vシステムと組み合わせることで、充電速度は最大30%も改善。300kmの航続距離に必要な電気を、わずか10分で充電することが可能になる。第6世代「BMW eDrive」は、航続距離も最大30%延長される見込みだ。

エアロダイナミクスについては、現行ラインアップと比較すると、ドラッグが20%低減。電気自動車向けの新しいタイヤと、特別なブレーキシステムが、全般的な効率性を最大25%も高めることになった。

ビジョン ノイエ クラッセ Xのインテリアのために、100%植物と鉱物由来の原料で、石油を一切使わずに製造するサーフェス用素材を開発。この新素材はドアパネリング下部とセンターコンソールに使用される予定だ。廃棄漁網などから採取した海洋プラスチックも初めて導入され、射出成形パーツの材料になる。

このような素材と構成手法を導入することで、パーツの分解が容易になり、リサイクル率も向上。サイドスカートとフロントエプロン、リヤエプロンの付属品も、単一のリサイクル素材が導入されることになった。

また、ノイエ クラッセが製造されるハンガリーのBWMグループ・デブレツェン工場は、「iFACTORY」として計画と開発が行われた。2025年にノイエ クラッセの生産が開始されることを受けて、この工場はBMWグループ製造拠点としては初めて、さらに世界で初めて、化石燃料以外のエネルギーのみで稼働する工場となる予定だ。

BMW ビジョン ノイエ クラッセ Xを動画でチェック!

ドライバーを含めたすべてのパッセンジャーに新たなユーザー体験を提供する、「BMW ビジョン ノイエ クラッセ」のインテリア。

次世代BMW「ノイエ クラッセ」に導入された新たなコクピット体験は2025年以降実用化される【動画】

ミュンヘンで開催された国際モーターショー「IAA モビリティ 2023」で登場した、フル電動デザインコンセプト「BMW ビジョン ノイエ クラッセ」。次世代BMWサルーンを予告するノイエ クラッセには、2025年以降に実用化される新たなディスプレイと、オペレーティング・システムを搭載。新世代BMWのインテリアは、ドライバー重視の姿勢をさらに押し進めつつ、同乗者全員のユーザー体験がさらに豊かになるという。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…