ステランティスが米国eVTOLメーカーへの関与を拡大

ステランティスがeVTOLメーカー「アーチャー・アヴィエーション」の株を取得し支援継続【動画】

2025年のeVTOL実用化を目指す、アーチャー・アヴィエーションと提携するステランティス・グループは、同社の株式830万株を取得した。
2025年のeVTOL実用化を目指す、アーチャー・アヴィエーションと提携するステランティス・グループは、同社の株式830万株を取得した。
ステランティス・グループは、米国の「アーチャー・アヴィエーション(Archer Aviation)」に対する、約830万株の公開市場買付けを完了したと発表した。ステランティスは、電動垂直離着陸機(eVTOL)の市場投入を目指すアーチャーへの支援を拡大した形だ。

Archer Midnight

タバレスCEOがアーチャー本社を訪問

アーチャーの本社ファクトリーを訪問し、アダム・ゴールドステインCEOと会談を行った、ステランティスのカルロス・タバレスCEO(左)。
アーチャーの本社ファクトリーを訪問し、アダム・ゴールドステインCEO(左)と会談を行った、ステランティスのカルロス・タバレスCEO(右)。

今回の大規模投資を前にステランティス・グループのカルロス・タバレスCEOが、カリフォルニア州サンタクララにあるアーチャー社の本社製造施設を訪問。アーチャー・アヴィエーションの創業者でもあるアダム・ゴールドステインCEOと会談を行った。

アーチャー・アヴィエーションは、2018年にゴールドステインとブレット・アドコックによって創業。 2020年には、4人乗りeVTOL「アーチャー」を公開し、翌2021年にはステランティス・グループとの提携を発表した。ステランティスが持つ技術や生産に関する経験を活用しつつ、2025年に予定しているeVTOL「ミッドナイト」の実用化を目指している。

2023年1月にはアーチャー・アヴィエーションが開発した「ミッドナイト」を、ステランティスが独占契約製造業者として量産することでも合意。アーチャーを資金的に支援することで不要な出費を避け、商業化への道筋を強化することを表明している。

実用化に向けてテストを続けるミッドナイト

アーチャー初の量産eVTOLとして開発された「ミッドナイト」。ジョージア州に建設中の本社ファクトリーおいて、年間数百機の大量生産が行われる予定だ。
アーチャー初の量産eVTOLとして開発された「ミッドナイト」。ジョージア州に建設中の本社ファクトリーおいて、年間数百機の大量生産が行われる予定だ。

現在、ミッドナイトは米国において飛行テストを実施しており、ジョージア州にある生産施設は、2024年後半にも建設第1段階の作業が完了する予定だ。建設第1段階は、約100エーカーの敷地に約35万平方フィートの製造施設を建設。この最新ファクトリーは年間最大650機の航空機生産を行えるよう設計されており、航空機業界においては最大規模の製造施設となる。

ミッドナイトは、安全性、持続可能性、静粛性に優れ、4人の乗員・乗客を乗せられるように設計。約20~50マイル(約32km~80km)程度の短距離移動に最適化されており、約10分の充電時間で80kmの航続距離を実現している。ステランティスのタバレスCEOは、アーチャー・アヴィエーションの協業について、次のようにコメントした。

「アーチャー社は、航空機の電動化におけるマーケットリーダーの地位を確立していますし、私たちは共に次の輸送革命を先導できると信じています。今回のステランティスによるアーチャー株の公開市場買付けは、アーチャーに対する我々の信頼を示すものです」

アーチャーのゴールドステインCEOは「私たちは世界中の空の移動を大きく変えようとしています。アーチャーとステランティスは、都市交通に革命を起こし、世界の都市と我々の株主に大きな価値を提供することになります。一世一代のチャンスを実現するため、両社は手を携えているのです」とコメントした。

アーチャー ミッドナイトの飛行テストを動画でチェック!

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…