初代フォルクスワーゲン ポロと兄弟車の「アウディ 50」の先進性

1970年代に輝いたアウディのコンパクトカー「アウディ 50」がデビューから50周年

アウディ 50は、1.1リッター直4エンジンをフロントに横置きした前輪駆動を採用、現代のコンパクトカーでも通用するFFレイアウトを備えていた。
アウディ 50は、1.1リッター直4エンジンをフロントに横置きした前輪駆動を採用、現代のコンパクトカーでも通用するFFレイアウトを備えていた。
アウディが1974年に発売したコンパクトハッチバック「アウディ 50」が、デビューから50周年を迎えた。初代フォルクスワーゲン ポロの兄弟車としてポロの1年前に先行投入されたアウディ 50は、1978年までに18万828台が製造されている。

Audi 50

初代ポロとプラットフォームを共有

1974年のデビューから50周年を迎えた、アウディ 50。
現代の「A1=ポロ」と同様に、1974年にデビューしたアウディ 50も、フォルクスワーゲン ポロとプラットフォームを共用していた。

アウディ初のスーパーミニとして開発された「50」は、中東発のオイルショックが吹き荒れた1973年の翌年、1974年に市場へと投入された。1.1リッター直列4気筒SOHCガソリンエンジンをフロント横置きする前輪駆動を採用。ボクシーで先進的な3ドアハッチバックスタイル、FFレイアウトによって実現した居心地の良い室内空間、そして十分なサイズのラゲッジスペースを備えていた。

アウディ 50の発売から7ヵ月後にデビューしたフォルクスワーゲン ポロとプラットフォームを共用しており、フォルクスワーゲン・グループとしてのスケールメリットを享受していた。つまり、現在では当たり前になったグループ内のシナジーを活用していたという訳だ。

そして、モダンで効率的なコンパクトカー、50の導入により、アウディは「50」「80」「100」という3つのセグメントをカバーするラインナップが完成することになった。

1.1リッター直4ガソリンエンジンを搭載

1974年のデビューから50周年を迎えた、アウディ 50。
1974年のデビュー時点で、アウディ 50は1.1リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載。兄弟車のポロは排気量900ccエンジンを搭載している。

1970年、アウディの開発部門は、チーフエンジニアのルートヴィヒ・クラウスを中心に、新たなコンパクトカーのプロジェクトに着手。1969年のNSU吸収後も販売が継続されていた、コンパクトカー「NSU プリンツ」の生産終了が迫っており、後継モデルの開発が急務だったのだ。

50の開発に際しては「現代的なクルマは、今日の要請に対して適切なサイズでなければならない」という目標が掲げられた。その実現のため、当時はまだ先進的だった横置きFFレイアウトを導入。これにより、わずか全長3490mmというコンパクトサイズながらも、比較的広い室内空間とラゲッジを持つクルマを作り上げることができた。

50にはふたつの仕様が用意された。どちらも1.1リッター直列4気筒SOHCガソリンエンジンを搭載し、「50LS」は最高出力50PS、最高速度142km/h、「50GL」は最高出力60PS、最高速度152km/hを発揮した。1977年には、新開発の1.3リッター直列4気筒SOHCガソリンエンジンに置き換えられている。

エクステリアデザインは、アウディ 80をデザインしたハルトムト・ヴァルクースが担当。ヴァルクースは、ルートヴィヒ・クラウスが開発した先進的なシャシーをベースに、時代を超越した繊細なフォルムを作り上げている。

ヴォルフスブルク工場で18万台以上を生産

1974年のデビューから50周年を迎えた、アウディ 50。
アウディ 50は兄弟モデルのフォルクスワーゲン ポロと共に、フォルクスワーゲンのヴォルフスブルク工場で生産。5年間で18万828台がデリバリーされた。

1974年夏、アウディはイタリアのサルディニア島において、国際メディアに50をワールドプレミア。50 LSは8195ドイツマルク(当時)、50 GLは8510ドイツマルク(当時)というプライスタグが付けられた。インゴルシュタットの技術開発部門で開発され、ヴォルフスブルクのフォルクスワーゲン工場で生産。発売から半年後の1975年3月31日までに、4万3002台の50が組立ラインからラインオフしている。

50の製造は1978年夏に終了し、総生産台数は18万828台。それ以降、アウディはフォルクスワーゲン・グループの上位セグメントを担当することになり、1999年に投入された「A2」までアウディ製コンパクトカーが市場に登場することはなかった。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…