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McLaren 750S
誉高い720Sの正常進化版
720Sの誕生から6年、マクラーレンはその正常進化型となる750Sを発表した。その技術面でのベースとなるのはもちろんこれまでの720Sにほかならないが、この720Sとてまだまだスーパースポーツの世界では、そのパフォーマンスやデザインを高く評価される存在。はたしてマクラーレンは、そのどこに進化の可能性を見出したというのか。さっそくその概要に迫ってみることにしよう。
750Sの発表時にまず大きな驚きだったのは、通常は若干遅れてのデビューとなるオープン仕様のスパイダーが、クーペと同時に誕生したことだった。ちなみにスパイダーのルーフはカーボン製のアッパーストラクチャーと、コンポジット製のRHT(リトラクタブルハードトップ)を用いたもので、クーペ比での重量はプラス49kgと非常に小さな数字である。
モノケージⅡと呼ばれる基本構造体のカーボンモノコックは、720Sのそれからさらに30kgも軽量化されているというが、その剛性感はドライビングダイナミクスに大きなメリットを生み出していると同時に、スーパースポーツとしては珍しいほどに快適な乗り心地を演出してくれるのだ。
さまざまな改良が施されたエアロダイナミクス
ボディデザインは、720Sのそれから基本的なシルエットは変わらないが、そのディテールではさらなるエアロダイナミクス向上のために、さまざまな改良が施された。フロントのスプリッターはさらに拡大され、720S以上のダウンフォースを得ることに成功。
エアインテークを一体化した、アイソケットと呼ばれる個性的なフロントのヘッドライト部のデザインはやや細くなり、リアホイールアーチのベントも、そのスタイルが改められた。高速域からのブレーキング時にはエアブレーキとしても機能するリヤウイングは面積を20%拡大し、ダウンフォース量は720S比で15%増加させることを実現している。ちなみにクーペとスパイダーとでは、このリヤウイングの作動する角度や速度の最適値が異なるため、設定値は両車では異なる。
今回第3世代に進化を遂げたというプロアクティブサスペンション。あるいはギア比がクイックな方向に見直されたステアリングなどの相乗効果で、よりナチュラルでスポーティーなハンドリングが味わえるようになった。
765LTに匹敵するパワートレイン
リヤミッドに搭載されるエンジンは、4.0リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力は車名のとおり750PS、最大トルクは800Nmを発揮する。超低慣性のツインスクロール型ターボのブーストアップやシリンダーの内圧アップ、あるいは765LTと同じ軽量ピストンの採用、そしてECUのリマップなど、そのチューニングはさらに進み、この魅力的なスペックは得られている。
そのフィーリングはレブリミットまで、まさに一切のストレスなく吹け上がり、同時に怒涛のトルク感を全身で感じる実にスパルタンなもの。一方でそのトルクバンドの幅広さを生かした、ラグジュアリーなドライブを楽しめるのもこの750Sの魅力だ。マクラーレン750S。その進化の幅は想像をはるかに超えている。