ベントレー・マリナーのコーチビルド第3弾「バトゥール コンバーチブル」

最後の6.0リッターW型12気筒搭載「ベントレー バトゥール コンバーチブル」を16台限定で製造【動画】

ベントレーは、バカラル、バトゥールに続くコーチビルドカー第3弾「ベントレー バトゥール コンバーチブル」を発表した。
ベントレーは、バカラル、バトゥールに続くコーチビルドカー第3弾「ベントレー バトゥール コンバーチブル」を発表した。
ベントレーモーターズは、現代に蘇ったコーチビルドカーとして、バカラルとバトゥールに続く第3弾「バトゥール コンバーチブル」を発表した。これまでの2台と同様、ビスポーク部門のマリナーが開発と製造を担当。英国・クルーの本社ファクトリー内にあるマリナーのワークショップにおいて、数ヵ月をかけて16台がハンドメイドで製作される。

Bentley Batur Convertible

W12エンジンの歴史を締めくくる存在に

マリナーによるコーチビルド第3弾「ベントレー バトゥール コンバーチブル」のエクステリア。
バトゥール コンバーチブルは、フォルクスワーゲン傘下に入ったベントレーの躍進を支えてきたW型12気筒エンジンが搭載される最後の車両となる。

クーペのバトゥールに導入された革新的なデザインDNAがさらに進化した「ベントレー バトゥール コンバーチブル」は、今後のベントレーを予感させる美しいエクステリアデザインが特徴だ。

搭載されるエンジンは、クーペと同じく最高出力750PSを発揮する6.0リッターW型12気筒ツインターボだ。ベントレーを象徴するW型12気筒は、過去20年にわたりベントレー躍進の原動力となってきたが、2024年夏に生産を終了する。バトゥール コンバーチブルがW12エンジンを搭載する最後のベントレーとなる。

ベントレーは1919年の製造1号車に始まり、バカラルに至るまで、数々のオープンモデルを製作してきた歴史を持つ。マリナーのデザイナーは最新アーキテクチャを活かしながら、バカラルとバトゥールのデザインを融合させ、コンバーチブルならではの使いやすさを盛り込むことに成功。さらに、バカラルからインスピレーションを得たラップアラウンド・コクピットも導入している。

シート後方のエアブリッジとリヤのテーパー型カウルは、往年のバルケッタを彷彿とさせるデザイン要素。ドライバーは心地よいコクピットに包まれ、ロングドライブを楽しむことができるだろう。エアブリッジとテーパー型カウルの採用によって、フロントシート後方に半密閉式ラゲッジコンパートメントも確保された。

キャンバスルーフはハードトップにはないクラシカルな美しさを表現。断熱材と改良された密閉システムにを組み合わせたことで、快適な室内環境を実現した。50km/h以下であれば、わずか19秒でルーフの開閉も可能となっている。

エクステリアの全てをカスタマイズ可能

マリナーによるコーチビルド第3弾「ベントレー バトゥール コンバーチブル」のエクステリア。
バトゥール コンバーチブルは、ボディカラーやブライトウェアだけでなく、トノカバーやルーフも含めて、エクステリアのあらゆるコンポーネントを自由に組み合わせることが可能となっている。

マリナーのデザインチームはカスタマーと話し合いを重ねながら、専用のビジュアライザーを使用してバトゥール コンバーチブルを仕上げていく。カラーやマテリアルは、豊富なサンプルが用意されており、自動車での使用が珍しい貴重な素材を選ぶこともできる。カスタマーのイマジネーションによって、デザインの可能性はどこまでも広がるという。

エクステリアカラーの選択肢は、マリナーのカラーパレットをはじめ、オーダーメイドカラーや手描きのグラフィックなど、無限と言えるほどあるという。エクステリアのブライトウェアは輝きを放つ仕上げやダークな仕上げ、サテンやグロス、さらにはチタンなどを組み合わせることもできる。例えば、グラデーションが美しいコントラストカラーをフロントグリルにチョイスし、その濃淡によって躍動感のある雰囲気を醸し出すことも可能だ。

また、キャビンやエクステリアに合わせてエアブリッジ、トノカバー、ルーフの素材などをカスタマイズできることも、コンバーチブルモデルの特権だと言えるだろう。

職人によって製造される美しいインテリア

マリナーによるコーチビルド第3弾「ベントレー バトゥール コンバーチブル」のインテリア。
バトゥール コンバーチブルのインテリアには、宝石職人の協力を得て製作された専用パーツが奢られる。また、ベントレー・ドライブモードセレクター(写真)に希少なピンクゴールド製を選ぶこともできる。

英国・バーミンガムには何百年も前から貴金属の加工が盛んに行われてきた「ジュエリークオーター」と呼ばれる歴史地区がある。今回、マリナーは専用パーツを製作するため、ジュエリークオーターで働く熟練の金細工職人の協力を得ることになった。最先端の自動車製造技術と、伝統的な素材や加工技術を組み合わせるという、ベントレーならではのコラボレーションが実現した形だ。

インテリアには、ベントレー・ドライブモードセレクターに、ドライバーが直接触れる箇所に3Dプリンターで製作されたオプションの「ローズゴールド」を採り入れることも可能。ベントレー・ドライブモードセレクターは、シャシーモードを切り替えるためのダイヤル式セレクターで、「スタート/ストップ」ボタンを縁取るように配置されている。

また、ダッシュボードに設置されるオルガンストップ・ベントコントロールや、ステアリングホイールのインサートマーカーにも、この貴重なローズゴールドを採り入れることもできる。

ディテールまで拘り抜いた「カーゼロ」

マリナーによるコーチビルド第3弾「ベントレー バトゥール コンバーチブル」のエクステリア。
専用設計車両として製作されたバトゥール コンバーチブル カーゼロは、特注カラーのヴァーミリオン・サテンとヴァーミリオン・グロスが組み合わせられた。

今回、技術面を検証する目的で「バトゥール コンバーチブル カーゼロ」を製作。カスタマー用車両と同様、ディテールまで徹底的にこだわり抜いて完成した。エクステリアは現代的な雰囲気を持つデュオトーンの「ヴァーミリオン・サテン」に「ヴァーミリオン・グロス」を重ねた特注カラー。フロントスプリッター、サイドスカート、リヤディフューザーをハイグロスカーボンファイバー製としている。

フロントグリルは、メインマトリクスが「グロス・ダーク・チタニウム」、アクセントとなる水平方向のジグザグ模様はグリルの中央部分が「ベルーガ」で、端に向かって徐々に明るめの「ヴァーミリオン・グロス」へと変化。エンドレスボンネットと、22インチホイールは「グロス・ダーク・チタニウム」、スポークは「グロス・ブラック・チタニウム」と「サテン・ブラック・チタニウム」、アクセントは「ヴァーミリオン・グロス」が組み合わせられている。

クーペのバトゥールにも搭載されているW型12気筒エンジンは吸気システムを改良、ターボチャージャーのアップグレード、新設計インタークーラーの採用に加え、キャリブレーションが徹底的に見直された。その結果、最高出力750PS、最大トルク1000Nmを発揮し、ベントレー製グランドツアラーに相応しい最高のパフォーマンスを実現。W12型エンジンは20年前と比較して、出力は約40%、燃費は25%向上している。

バトゥール コンバーチブルは、英国・クルーの本社ファクトリー内にあるマリナーのワークショップにおいて、数ヵ月をかけて手作業でわずか16台のみが製作される。

ベントレー バトゥール コンバーチブルを動画でチェック!

世界限定18台、1台あたり約3億円のバトゥール。今回試乗したパープルの個体は最初のプロトタイプとなる♯0、ブルーの個体は♯00と呼ばれる、ほぼ生産型のプロトタイプだった。

最後のW12搭載モデル「ベントレー バトゥール」限定18台の3億円750PSのラグジュアリークーペをアフリカでベタ踏み

近代ベントレーの一時代を築いたW型12気筒エンジン、そのファイナルとして登場したのは限定18台だけ販売されるバトゥール。マリナーによって作り込まれた外観と内装を持ち、洗練極まる12気筒を搭載したスペシャルな1台のステアリングを握る機会を得た。(GENROQ 2023年8月号より転載・再構成)

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…