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BMW M4 GT3 EVO / M4 GT4 EVO
細かな改良を数多く実施
今回、BMW Mモータースポーツは、世界中のレースシリーズで活躍している「M4 GT3」「M4 GT4」の進化版を開発するに当たり、実際にこのマシンを使ったチームやドライバーと徹底的なディスカッションを行った。実際にGT3/GT4マシンをドライブするチームやドライバーが何を必要としているかを知ってこそ、彼らのニーズに応えることができるからだ。
M4 GT3 エボで重視されたのは、必ずしも純粋なパフォーマンスアップではなく、ドライバビリティ、効率性、信頼性といった分野だった。M4 GT3 エボの開発テストには、BMW Mワークスドライバーのイェンス・クリングマン、ブルーノ・スペングラー、アウグスト・ファルフスが参加し、そのパフォーマンスを最適化。M4 GT3 エボの価格は57万8000ユーロからとなっている。
開発に携わったイェンス・クリングマンは、M4 GT3 エボの進化について、次のように説明する。
「レーシングカーの開発において重責を担うのは、ドライバーにとって本当に光栄なことです。BMW Mモータースポーツからの信頼に、あらためて感謝します。私たちはM4 GT3にひとつの抜本的な改良を施したのではなく、例えるならば、たくさんの増し締めをしたような感じです」
「つまり、小さなステップの積み重ねが、大きなステップになるということ。BMW M4 GT3は現時点でかなり強力なパフォーマンスを持っていますが、エボ仕様ではさらに扱いやすくなると確信しています。穏やかなハンドリング特性は、特にレースのスティント終盤で大いに役立つでしょう」
実戦でのドライバビリティが大幅に進化
M4 GT3 エボはエクステリアよりも、シャシーに多くの変更を実施。今回、大幅な軽量化が可能になる、カソード・ディップ・コーティング(電着)が新たに導入された。前後アクスルには新型アンチロールバー、大型リヤブレーキディスク、より細かい調整が可能なディファレンシャルを採用し、タイヤとブレーキの摩耗を低減。より安定したドライバビリティを実現した。
エクステリアに関してはエアロミラーの小型化、フロントホイールアーチ・エアアウトレットの拡大、リヤウイングの調整範囲の変更などにより、エアロダイナミクス効率が大幅に向上。ベースモデルの改良を受けて、新デザインのヘッドライトとテールライトも装着されている。
BMW Mモータースポーツの責任者を務めるアンドレアス・ロスは、カスタマー向けレーシングカーのアップデートについて次のようにコメントした。
「M4 GT3はデビュー以来、70以上の勝利と数え切れないほどの成功を収めてきました。特に2022年シーズンのDTMタイトル、2023年のスパ・フランコルシャン24時間レースでの勝利、そして北米IMSAシリーズでのタイトル獲得は、記憶に新しいところです。M4 GT3とM4 GT4のエボモデルは、今後数年間、GTレースの第一線で活躍し、さらに多くの勝利に貢献すると確信しています。あらためて、マシン開発に携わったすべての方々に感謝します」