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Porsche 963
ポルシェ 963がシーズン4勝目
ロード・アメリカに集まった大観衆は、8月4日に行われたIMSAスポーツカー・ウィークエンドの決勝レースにおいて、エキサイティングな展開を目の当たりにすることになった。5回ものセーフティカー導入後、優勝の行方はラスト17分のスプリント勝負で決着。ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、セーフティカー明けのシュートアウトに向けて最適な作業を行い、2台の「ポルシェ 963」をトップへと導いた。
6号車をドライブしたニック・タンディとマシュー・ジャミネは、強力なライバルからの執拗なアタックをかわし、ポルシェに今シーズン4勝目を持ち帰った。7号車(デーン・キャメロン、フェリペ・ナスル)も2位に入り、1-2フィニッシュを決めたことで、ポルシェがGTPクラスのチームズ選手権とドライバーズ選手権でのリードを拡大している。
また、プロトン・コンペティションの5号車(ジャンマリア・ブルーニ、ベント・フィスカール)が5位、JDC-ミラー・モータースポーツ 85号車(ティメン・ヴァン・デル・ヘルム、リチャード・ウェストブルック)も6位でレースを走り切っている。ポルシェ・モータスポーツの副代表、トーマス・ローデンバッハは、1-2フィニッシュという最高の結果を受けて、次のようにチームを讃えた。
「モータースポーツにとって、これほどエキサイティングな展開はありません。モータースポーツファンの皆さんに、大興奮のレースをお届けできましたし、チームにとっても最高に美しい1-2フィニッシュとなりました」
「ロード・アメリカでの好結果により、選手権におけるリードを拡大することができました。完璧な戦略を立ててくれたチーム、厳しいコンディションにおいて力強いパフォーマンスを見せてくれたドライバーにあらためて感謝します。ヴァイザッハ開発センターで働くすべての従業員、常に最大限のサポートをしてくれる素晴らしいパートナーにもお礼が言いたいです。また、カスタマーチームも素晴らしいレースを見せてくれました」
多くのトラブルを跳ね返した終盤の展開
1-2フィニッシュという最高の結果を持ち帰った、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ・チームだが、レース中は様々なトラブルに見舞われることになった。6号車は序盤にライバルと接触し、フロントにダメージを負った上、ドライブスルーペナルティを課されてしまう。7号車はレース中盤、予定外のピットインを行い、損傷したリヤセクションを交換。それでも、臨機応変に戦略を駆使したことで、2台の963がトップ2フィニッシュを果たしている。
LMDhファクトリー・モータースポーツ担当ディレクターを務めるウルス・クラトレは、激しい展開となったレースを次のように振り返った。
「レースフィニッシュ直前、見事な逆転劇を披露してくれましたね。最後の数周は心臓に悪いレース展開になりました(笑)。土曜日の予選で不本意な結果に終わり、コンディションも期待できるものではありませんでした。それでも決勝レース当日、私たちは完璧な仕事ができたと思います。そしてドライバーたちは信じられないほど速く、安定していました」
チームズ選手権は、ポルシェがキャデラックに89ポイント差をつけて首位を独走。ドライバーズ選手権は、7号車のクルーがトップ、今回勝利した6号車のクルーが100ポイント差の2番手につけている。厳しいレースを制した6号車のジャミネは、フィニッシュ後に喜びを爆発させた。
「幸運は勇者に味方するとはよく言ったものです。レース後半、できるだけ燃料を節約すれば、最後に優勝を狙えると計算していました。それを忠実に実行しましたが、最後にコーションが入ったのもラッキーでした。セーフティカーがあと1周早く入っていたら、おそらくフィニッシュまでたどり着けなかったはずです。終盤は荒れ狂った展開で、周回遅れのトラフィックとの接触も多かったです。見ごたえのあるレースでしたし、私たちにとっても完璧な結末になりました」