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VANTAGE(2017-)
ボンドカーを彷彿とさせるデザイン
セカンドセンチュリープランの第2弾として、2017年に実に13年ぶりのフルモデルチェンジを果たして登場したのが、2シーターRWDスポーツの「ヴァンテージ」だ。
控えめなベーングリルと低いノーズをもつスタイリッシュなボディデザインは、2015年に公開された映画007シリーズの24作目『007 スペクター』のためにマレク・ライヒマンらデザイン・チームがデザインしたボンドカー「DB10」を彷彿とさせるもので、全長4465mm、全幅1942mm、全高1273mm、ホイールベース2704mmとボディサイズは先代に比べてひとまわり拡大されている。
その恩恵を受けたのがエアロダイナミクスで、ベンチュリーベインと呼ばれる巨大なリヤディフューザー付きのアンダーフロアを装着したことにより、ウイングなどの空力付加物がないにもかかわらず、フロントで20kg、リヤで77kgのダウンフォースを発生。またシャープかつ薄くなった特徴的なフロント周りのデザインや、ホイールハウス内からの空気の排出を促すフロントフェンダーのサイドギルの装着によりドラッグが低減されているなど、GTレースで培った技術が惜しげもなく応用されている。
敢えてウエットサンプ化したV8
シャシーは「DB11」から採用されているアルミパネルとアルミ引き出し材を接着剤とリベットで接合した新世代のVHプラットフォームをベースとしたもので、リヤフレームとの接合部のゴムブッシュをやめ、リジッドマウントすることでリヤサスペンションの横剛性を大幅に強化しているのが特徴。その結果、シャシーのねじり剛性も先代やDB11に比べて大幅にアップしている。
エンジンは提携関係にあるメルセデスAMG製のM178型4.0リッターV型8気筒DOHCツインターボユニット。DB11 V8と同様、敢えてウエットサンプ化した上でECUなどに独自のチューンを施しているが、最高出力こそ510PSと変わらないものの、最大トルクはDB11より10Nmアップの685Nmとなっている。
ギヤボックスはトランスアクスルレイアウトのZF製8速ATで、1530kgという車両重量(軽量オプションを装着時)も相まって最高速度314km/h、0-100km/h加速3.6秒を発揮。またドライバーを極力ホイールベースの中央に座らせるなど前後重量配分に留意したレイアウト、アダプティブダンピングを備えたサスペンション、アストンマーティンとしては初となる電子制御式デファレンシャルギヤ“Eデフ”の搭載により、俊敏でロードホールディングに優れた素晴らしいハンドリングを実現した。また「スポーツ」「スポーツプラス」「トラック」と走行モードも3種類用意されており、公道からサーキットまであらゆるシチュエーションに合わせた走りを楽しむことができるようになっている。
ロードスター、V12など多彩なラインナップ
2019年にはグラツィアーノ製7速MTを搭載するのに合わせてV8の最大トルクを625Nmに抑え、デファレンシャルをE-デフから機械式LSDへと変更し、カーボンセラミックブレーキなど各部にカーボンパーツを投入することで95kgの軽量化を達成したハイパフォーマンス・バージョンの「ヴァンテージAMR」を発表。まずは59台、続いて200台の限定生産で発売されたのち、2021年から7速MT仕様もレギュラーラインナップに加わっている。
そして2020年からは50km/h以下であれば6.7秒でオープンにできる電動ソフトトップを備えた「ヴァンテージ ロードスター」を追加。さらに2021年にF1GPのセーフティーカーに採用されたのを記念して、最高出力を535PSへとアップし、フロントサスペンションの剛性強化、ダンパーの改良、ピレリと共同開発の専用タイヤを履く21インチホイール、専用デザインのフロントスプリッター、リヤウイングなどを装備した「ヴァンテージ F1エディション」をクーペ、ロードスターの双方に用意した。
さらに2022年にはワイドトレッドのシャシーにエアロパーツ、カーボンセラミックブレーキを装着。最高出力700ps、最大トルク753Nmを発生する5.2リッターV12ツインターボを搭載し、0-100km/h加速3.5秒、最高速度320km/hを誇る「V12 ヴァンテージ」を333台限定で発売している。