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Chevrolet Corvette Z06
1963年の初代登場以来受け継がれてきた「Z06」
今回追加された「Z06」は、印象的なエクステリア、サウンド、触知性にこだわって開発された。エキゾチックなプロポーションを特徴づける、よりワイドになった新しいフロント/リヤフェイシア、贅沢な装備を施したインテリアなど、Z06は究極のスーパースポーツとしてのエクスペリエンスを提供する。
シボレー副社長のスティーブ・ヒルは、新型コルベット Z06について、次のようにコメントした。
「コルベットは常に最高を求めるお客様をコルベット・ファミリーとして迎え入れてきました。新型『Z06』は、より高いレベルのクラフトマンシップ、パーソナライゼーション、パフォーマンスを目標として開発・設計されました。お客様は本当の意味で自分だけのオーダーメイドのパフォーマンスカーを所有することができるのです」
1963年にデビューしたZ06はサーキットでの圧倒的な強さを発揮するために開発。以来、“Z06”のネームプレートは、トラックビーストとスーパースポーツの完璧なコンビネーションを象徴するものとなっている。
妥協のないサーキット性能を追求
GM社長のマーク・ロイスは「この新型『コルベット Z06』は、アメリカンスーパーカーを定義すべく誕生しました。ミッドシップレイアウトのシボレー コルベットで導入した特徴的なデザインや画期的なダイナミクスをベースに、洗練されていながら世界でも類を見ないパフォーマンスを備え、妥協のないサーキット性能を発揮するためさらに進化を遂げています」と、説明を加えた。
Z06の特徴は、量産モデルとして世界で最もパワフルな新型5.5リッター「LT6」の自然吸気V型8気筒エンジンにある。新開発のフラットプレーンクランクシャフトの採用により、8600rpmで最高出力670hpを実現した。エンジニアが2年を費やして作り上げた独特の豊かなエキゾーストノートは、これまでのコルベットにはないものとなる。
2023年型コルベット Z06は、2022年夏頃から生産を開始。生産はボーリンググリーン工場が担当し、ハンドル位置は左右両方とも発売される予定。 なお、日本への導入開始時期は未定となっている。
IMSA王者の「コルベット C8.R」からフィードバック
Z06のサウンドと外観は、チャンピオンシリーズで輝かしい成績を挙げているコルベット・レーシングの流れを汲むもの。サーキットで得られた知見がストリートへ、かつてないほど明確な形で継承された。Z06のシャシーはレース参戦以来、コルベット・レーシングの「C8.R」とシャシーを共有し、エンジン構造とエクステリアのプロポーションがよく似ていることから、社内ではC8.RにはZ06の姿が見え隠れすると言われている。
コルベットのエグゼクティブ・チーフエンジニアであるタッジ・ジェクターは、モータースポーツとのつながりを次のように説明する。
「ご存知の通り、Z06は当初1963年に耐久レースを走るため開発されたクルマであり、ロードモデルの開発をサポートすることで、公道でもサーキットでも優れたパフォーマンスを発揮し続けています。これは、米国のサーキット・オブ・ジ・アメリカズからドイツのニュルブルクリンクに至るまで、世界最高のサーキットでZ06をテストしてきたということを意味します」
C8.Rは2020年シーズンのIMSAのスポーツカー選手権シリーズで、6回の優勝と7回のポールポジションを奪取し、6つのイベントでクラス最速のレースラップを記録した。シボレーは、2020年のシリーズで2001年以来13回目のGTマニュファクチャラーズタイトルも獲得。ドライバーのジョーダン・テイラーとアントニオ・ガルシア、No.3コルベット C8.RチームはGTLMドライバーズチャンピオンとチームチャンピオンにも輝いている。
94mmワイド化された迫力のエクステリア
Z06のパフォーマンスは、デザイン言語と細部へのこだわりと同様に、シボレー コルベットが築いてきた基盤をベースにしている。素材の拡充や新しいインテリアパッケージ、Z06独自の機能によって、オーナーが自分だけのカスタムメイドのアメリカンスーパーカーを作ることが可能になっている。
エクステリアは、8代目シボレー コルベットから全幅を3.6インチ(約91mm)拡大し、345シリーズの大型リヤタイヤを装備する。サイドエアベントからのエアフローも増加させ、Z06から初めてユニークなフロント&リヤフェイシアを採用。フロントデザインは、冷却性能を最大限に発揮するための5つの熱交換器のうち、センターのひとつへ空気を流すなどZ06の冷却ニーズを最適化するよう設計されている。
さらにリヤセクションには、レーストラックでの高速走行時の安定性とコーナリング性能を向上させるために設計された、調整可能なウィッカービルを備えたリヤスポイラーを標準で装備している。
足元にはコルベットの市販モデルでは最大となるフロント20インチ、リヤ21インチの鍛造アルミホイール「スパイダー」(5種類の仕上げから選択可能)を標準装着。バネ下重量を41ポンド(18.6kg)軽量化し、より俊敏で反応性の高いハンドリングに貢献する軽量高剛性カーボンホイールの選択も可能となっている。
コルベット史上最高のダウンフォースを実現
8速デュアルクラッチトランスミッションの最終減速比はコルベットよりも低い5.56に変更し、加速性能が向上。マグネティック・ライド・コントロール4.0を含むサスペンションのチューニングや、大型のブレーキ(フロント6ピストン)の採用など、コルベット史上最もサーキット走行に適したモデルとなった。
さらに、最高のサーキット性能を与える「Z07パフォーマンスパッケージ」を設定。このパッケージでは時速186マイルでコルベット史上最高の734ポンドのダウンフォースを提供する。カーボンファイバー製ハイリヤウイング、グランドエフェクト、シャシーの専用チューニング、マグネティック・ライド・コントロール専用のキャリブレーション、特注のミシュラン・カップ 2 R ZPタイヤ、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキ、オプションのカーボンファイバーホイールなどが含まれる。
ジェクターは、「今回、Z06を特徴づけるほぼ全てのコンポーネントは、その性能をサポートまたは向上させるために新たに開発されました。ミッドシップ構造特有の利点を活用することで8%の抗力低下を達成し、7代目ZR1と比較して6%増のダウンフォースを実現できます」と、付け加えている。
新開発V8自然吸気エンジン「LT6」を搭載
パワーユニットは、新型5.5リッターV型8気筒DOHC「LT6」エンジンを搭載。今回、サーキット走行に適したパフォーマンスモデルとして、自然吸気(NA)方式に回帰している。
NAエンジンの特徴であるエンジンの応答性と追従性は、魅力的なドライビングエクスペリエンスを提供するための最優先事項となった。そのため、これまで製造された量産型V8 NAエンジンを超えるパワーを目標に、クリーンなNAエンジンが必要との結論に至ったという。軽量なフラットプレーンクランクシャフトを採用することで、大きなパワーを生み出すために必要な高い回転数を達成することも可能にした。
新型LT6は、パワーの追求だけでなく、Z06のサーキット走行に特化したパフォーマンス体験のあらゆる側面を補完するように設計。8600rpmという高いエンジン回転数、フルレーシングスタイルのドライサンプオイルシステムから、綿密にチューニングされた吸排気システムに至るまで、この新型エンジンは、まったく新しいエモーショナルな特徴を醸し出している。
レースで鍛えた耐久性と高出力を発揮
LT6のパフォーマンス性能のキーとなるのは、新型フラットプレーンクランクシャフトに根ざした、軽量・低慣性の回転アセンブリ。ストローク(クランクシャフトが1回転するたびに各ピストン/コンロッドアッセンブリが移動する距離)を短くすることで、エンジンの最大回転域を実現した。
さらにLT6エンジンは、2019年からレーシングカーの「C8.R」に搭載され、過酷な耐久ロードレースへの参戦でエンジンの性能と耐久性に磨きがかけられた。
LT6は、ケンタッキー州のボウリンググリーン組立工場内にあるパフォーマンスビルドセンターで、熟練のエンジン職人の手によって組み立てられる。彼らは、Z06に求められる正確な仕様に対応するため、精密工具を使って手作業でエンジン部品を取り付けていく。各エンジンのインテークマニホールドには、全工程を担当した技術者のサインが入ったプレートが取り付けられる。
サーキット走行を想定した専用のエクステリア
Z06特有のエクステリアのディテールは、ほぼすべてが空力、ハンドリング、冷却などの目的に応じてデザインされており、そのスタイリングは躍動感を際立たせている。
ワイドフェンダーはより大きく幅広なホイールとタイヤに対応し、より高いグリップ性能を発揮。新しいフロントデザインを含む大型化したベントは、エンジン、ブレーキ、トランスアクスルに冷却用エアをより多く供給してサーキット性能を向上させる。さらにアグレッシブな空力パッケージは、コーナリング時のグリップと高速走行時の安定性を高めるように設計されている。
シボレー コルベットよりもフロントで30mm、リヤで40mm広いタイヤトレッドをカバーするため、デザイナーはフロントとリヤのフェンダーを拡大。これによりZ06は、よりワイドで低い外観となり、センターフローティングエキゾーストベゼルが特徴となる、ユニークなリヤファイシアがその存在感を強調する。
空力サポートレベルは3段階から選択可能
このフローティングデザインは、エキゾーストノートの正確なチューニングのための重要なポイントとなった。また、ワイドなリヤフェンダーは、クルマの冷却に必要なより大きなエアインテークの確保にも寄与している。
さらにZ06では、空力サポートのレベルが3段階用意された。スタンダードのZ06は、フロントスプリッターと独自のリヤスポイラーを装備。このスポイラーには固定式のウィッカービル(スポイラー端の小さな垂直タブ)を備えた大型のリヤスポイラーが装備され、時速186マイル(299.3km/h)で365ポンド(165.6kg)という大幅に増大したダウンフォースを実現した。
カーボンファイバー製エアロでは、大型フロントスプリッター、フロントコーナーカナード(ダイブプレーン)、ペデスタル式リヤウイング、アンダーボディエアロストレークが追加され、サーキット走行に対応したダウンフォースと操作性を最大化している。
独自のチューニングが施されたサスペンション
Z06は軽量素材の戦略的な使用や先進のドライバー技術など、ベースモデルのC8コルベットで導入されたテクノロジーを活用し、その性能に合わせて独自機能の追加や調整を行っている。
足まわりはベースモデルのSLA式フロント/リヤサスペンションの設計を踏襲しつつ、高いパフォーマンス特性を発揮するために独自の調整が施された。「マグネティック・セレクティブ・ライド・コントロール4.0」を標準装備し、同じく標準装備のドライブモードセレクターを使ってツーリングでの快適性やサーキットでのパフォーマンス向けに調節することができる。
フロントが直径14.6インチ(370mm)、リヤが15インチ(380mm)のブレンボ製ブレーキローターを装備。より高いサーキット性能を実現しており、ブレーキ性能も向上した。フロントキャリパーのピストン数は、コルベットの4ポットに対し、6ポットとなっている。
Z06はコルベットと同様の頑強なアーキテクチャーをベースに開発。構造が強固なため、エンジニアは車両のシャシーとサスペンションのコンポーネントを正確に微調整することが可能になった。サーキット走行に対応したZ06には、クーペに加えてコンバーチブルモデルも用意されており、サスペンションのキャブレーションはクーペモデルと差異がないほどの剛性を備えている。
【SPECIFICATIONS(北米仕様)】
シボレー コルベット Z06(スタンダード)
ボディサイズ:全長4688 全幅2025 全高1235 mm
ホイールベース:2722mm
トレッド:前1685 後1678mm
車両重量:1561kg
エンジン:V型8気筒DOHC(LT6)
ボア×ストローク:104.25×80mm
総排気量:5.5リッター
圧縮比:12.5
最高出力:670hp/8400rpm
最大トルク:623Nm/6300rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:可変式ラック&ピニオン式(電動倍力式)
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(ブレンボ製)
タイヤサイズ:前275/30ZR20 後345/25ZR21