「最新世代デビュー!」25周年を迎えた「ポルシェ 911 GT3」

“公道走行可能なレーシングカー”「ポルシェ 911 GT3」が4世代にわたり更新し続けてきた“最高”の歴史を振り返る

新型911 GT3の発表が噂されるなか、ポルシェが、デビューから25周年を迎えた911 GT3の歴史を振り返った。
新型911 GT3の発表が噂されるなか、ポルシェが、デビューから25周年を迎えた911 GT3の歴史を振り返った。
1999年3月、ジュネーブ・モーターショーにおいてポルシェは初代「911 GT3」を発表。アイコニックな911 カレラ RSの跡を継ぐロードゴーイングスポーツの誕生は、ポルシェにとって新たな時代の幕開けとなった。それから四半世紀を経た2024年、新型GT3の発表を受けてレーシングアイコンのサクセスストーリーを振り返る。

Porsche 911 GT3

GT3に息づくモータースポーツのDNA

歴代911 GT3は、ポルシェがモータースポーツ参戦によって得た経験のすべてが凝縮されているとアンドレアス・プレウニンガーは説明する。
歴代911 GT3は、ポルシェがモータースポーツ参戦によって得た経験のすべてが凝縮されていると、アンドレアス・プロイニンガーは説明する。

初代モデルのデビュー以来、25年という長きにわたって、ポルシェ 911 GT3は、それぞれの世代で時代を象徴するモデルに君臨してきた。妥協を排した911 GT3は、どの世代においてもサーキットだけでなく、公道でも素晴らしいパフォーマンスを発揮。ポルシェのGT部門責任者を務めるアンドレアス・プロイニンガーは、911 GT3の成り立ちについて次のように説明する。

「911 GT3は、一貫した軽量構造による卓越したドライビングダイナミクスが、専用のエアロダイナミクスと完璧に融合しています。レース仕様も公道仕様も、その中核にはポルシェのDNAが息づき、ポルシェのモータースポーツでの経験が反映されているのです。世界中のサーキットで獲得した勝利のすべてが、歴代911 GT3に凝縮されていると言えるでしょう」

世界的な成功をもたらした911 GT3

996をベースとする初代から最新の992まで、911 GT3はサーキットで最高のパフォーマンスを発揮するだけでなく、日常レベルの使い勝手を備えたスポーツカーとして、高い人気を集めてきた。
996をベースとする初代から最新の992まで、911 GT3はサーキットで最高のパフォーマンスを発揮するだけでなく、日常レベルの使い勝手を備えたスポーツカーとして、高い人気を集めてきた。

ポルシェは、サーキットの過酷な状況下で信頼性を実証したコンポーネントのみを、市販モデルに投入するという伝統がある。公道走行可能なレーシングカーとして開発された911 GT3は、初代のデビュー以来25年間、新型が出るたびに性能を向上させ、そのパフォーマンスレベルを更新してきた。

911 GT3をベースに開発されたレーシングカーもまた、大きな成功をもたらしたことは周知の事実だろう。ニュルブルクリンク24時間、スパ24時間、デイトナ24時間、そしてル・マン24時間といった過酷な耐久レースにおいて、総合優勝やクラス優勝を幾度となく記録している。

40年にわたり、ポルシェAGでレースエンジニア、テスト・開発ドライバーとして活躍してきたローランド・クスマウルは、「911 GT3はサーキットでこそ本領を発揮しますが、同時に日常的な使用にも適した高性能スポーツカーでもあります」と、指摘する。その高いパフォーマンスのために、実用性を犠牲にすることはなかった。

ノルドシュライフェで市販車初の7分台を記録

1999年3月に発表された初代911 GT3は、市販モデルとして初めてニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分台で走り切った。
1999年3月に発表された初代911 GT3は、市販モデルとして初めてニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分台で走り切った。

1999年3月、ポルシェはジュネーブ・モーターショーにおいて、最高出力360 PSを発揮する初代「911 GT3」を発表。その数ヵ月後、タイプ996をベースとする911 GT3は正式デビューを果たし、「カレラ RS」が現代に蘇ったと、大きな賞賛を受けることになった。

初代911 GT3は、911 GT1に搭載されていたパワーユニットに改良を加えた、3.6リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載。世界ラリー選手権(WRC)において2度のドライバーズタイトル獲得経験を持つバルター・ロールが初代911 GT3のステアリングを握り、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(20.8km)で8分を切るという偉業を成し遂げた。

公道仕様のホモロゲーションモデルが7分56秒3という、初めて7分台に到達したのである。当時、アタックを終えたロールは次のように911 GT3を絶賛した。

「911 GT3はポルシェが現在市販しているラインナップで、最もエキサイティングな1台だと断言できます。911 GT3のハンドリングは極めて正確で、どんなコーナーでも素早く走り抜けることができるでしょう。このようなシャシーチューニングは、モータースポーツの世界でしか見たことがありません」 

PASMを初採用した997世代の911 GT3

2006年にデビューした997ベースの911 GT3はエンジンのパフォーマンスアップに加えて、初めてアクティブサスペンション「PASM」が導入された。
2006年にデビューした997ベースの911 GT3はエンジンのパフォーマンスアップに加えて、初めてアクティブサスペンション「PASM」が導入された。

その歴史において、ポルシェは3年から4年ごとに、パフォーマンスのアップデートを実施してきた。最初の改良は2003年に行われ、出力が21PS向上。この時は排気量はそのままに、より大きなパワーとトルクを実現している。

2006年には、997をベースとする911 GT3がデビュー。3.6リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンの最高出力は415PSを発揮。ポルシェはエンジンの空気供給量を最適化し、実用レベルのパフォーマンスを向上させた。さらに、足まわりに初めて「ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメント(PASM)」も導入されている。

2009年のアップデートでは排気量を3.8リッターに拡大し、最高出力は435PSに引き上げられた。さらに強烈なドライビング体験を実現するため、シャシーコンポーネントとエアロダイナミクスを改良。リヤウィングを再設計し、アンダーボディがフラットボトム化されたことで、ダウンフォースは2倍以上に増加している。

ギヤボックスに「PDK」を導入した991世代

991世代の911 GT3からは、シフト時間を大幅に短縮するポルシェ・デュアルクラッチ・トランスミッション(PDK)を搭載。ニュルブルクリンクのラップタイムは、ついに7分30秒を切った。
991世代の911 GT3からは、シフト時間を大幅に短縮するポルシェ・デュアルクラッチ・トランスミッション(PDK)を搭載。ニュルブルクリンクのラップタイムは、ついに7分30秒を切った。

2013年のジュネーブ・モーターショーにおいて、991をベースとする3代目911 GT3がワールドプレミアされた。911のデビュー50周年を記念し、ポルシェはエンジン、ギヤボックス、ボディ、シャシーを含めたすべてを刷新。3.8リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンは最高出力475PSを発揮し、最高速度は315km/hというスペックを実現した。

この時、911 GT3としては初めて「ポルシェ・デュアルクラッチ・トランスミッション(PDK)」を導入。シフト時間を大幅に短縮したことで、パフォーマンスレベルがドラスティックに向上することになった。また、アクティブ・リヤアクスル・ステアリングを搭載し、エアロダイナミクスにも変更が加えられたことで、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでのラップタイムはついに7分30秒を切っている。

4年後のアップデートでは、排気量が4.0リッターに拡大され、最高出力は500PSに。カスタマーは7速DCT(PDK)と6速MTから選べるようになった。6速MT仕様は固定式リヤウィングを含むオプションの「ツーリング・パッケージ」とともに、プリミティブなドライブ体験を求めるオーナーから高い人気を集めることになった。

常に最高を更新し続けてきた911 GT3

2021年には現行世代となる、992ベースの4代目911 GT3がデビュー。最高レベルを更新し続けてきた911 GT3がまもなく、次の世代へと生まれ変わる。
2021年には現行世代となる、992ベースの4代目911 GT3がデビュー。最高レベルを更新し続けてきた911 GT3がまもなく、次の世代へと生まれ変わる。

現行の911 GT3は、992世代の911をベースに2021年にデビュー。4.0リッター水平対向6気筒エンジンは510PSにパワーアップし、ダブルウイッシュボーン式フロントサスペンションや、スワンネック式リヤウィングが導入された。

911 GT3をベースに開発された「911 GT3 R」でドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)で勝利を飾ったティモ・ベルンハルトは、911 GT3での思い出を次のように語っている。

「市販仕様の911 GT3は私のお気に入りですし、私は幸運にも911の全世代をレースでドライブすることができました。カレラカップやポルシェ・ジュニアとしての勝利、そして何よりも2022年には991世代911 GT3 Rで、ポルシェ初のDTM優勝を達成しました。過去25年間、その時代を代表する存在だった911 GT3は、公道での最大限のパフォーマンスとモータースポーツ体験をもたらしてくれたのです」

派手さよりも本物だけが持つ迫力を感じるマンタイパフォーマンスキットを組み込んだ911GT3。

「ニュルで9秒早くなる」マンタイの速さをゲット「ポルシェ マンタイ パフォーマンスキット」が日本上陸

ポルシェのGTレースで強さを発揮しているマンタイレーシングが、そのノウハウと注入したアップグレードキットを発売した。サーキットでのパフォーマンスをさらに向上させるパーツで、ポルシェ正規ディーラーで発売される。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…