「マイナーチェンジと間違わないで」“大幅刷新”に思わず唸る出来栄えの新型「BMW 1シリーズ」に試乗

社内コードネームF70と呼ばれる4代目へと進化を遂げたBMWの主力モデル1シリーズ。今回はM135 xドライブをメインに試乗を行った。

BMWのCセグメントハッチ、1シリーズが4代目へと進化を遂げた。FFながらもBMWらしいスポーティな走りとモダンなデザインを兼ね備えた新型はCセグメントに新たな新風を吹き込む可能性のある1台に仕上がっていた。（GENROQ 2024年12月号より転載・再構成）

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BMW 1 Series

斬新なデザインを採用

BMWの人気Cセグメントハッチバックが4代目へと刷新された。日本導入が確実視されるM135と120に試乗してきた。

ウインドウグラフィックスやキャラクターラインの入り方が現行型と似ているせいで「ひょっとしてマイナーチェンジ？」なんて思われかねない新型「1シリーズ」。ただし、よくよく見ればフロントグリルはより低く、より前方に移されているほか、一部モデルはキドニーグリル内に斜めのラインが入るという斬新なデザインを採用。ヘッドライトも、精悍さのなかにどこか優しげな表情をたたえた形状に改められている。

そして、これがフルモデルチェンジであることを示すなによりの証拠が社内コードで、従来型のF40からF70へと刷新。ホイールベースは2670mmで共通だが、先ほど似ていると指摘したキャラクターラインは最近の流行に従っておだやかな丸みを帯びた形状にされているほか、ウインドウグラフィックスの後端にはホフマイスターキンクの現代版というべきラインも盛り込まれているから、ここはメーカーの主張どおり新型と捉えるべきなのだろう。

室内の質感も大幅にアップ

ドライバーオリエンテッドな大型カーブドディスプレイを採用する新型1シリーズ。セミバケットタイプのシートはM135 xドライブに奢られる。

もっとも、車内に乗り込めば、従来型とは大きく異なる景色が広がっている。とりわけ印象的なのが、BMWの上級モデルで見慣れたカーブドディスプレイの採用。センターコンソール周りもはっきりとドライバー側を向いた立体的な形状に改められている。また、ドライビングモード切り替えは上級モデルと同じマイモードタイプに進化。ステアリングやパワートレインの特性だけでなく、ディスプレイやアンビエントライトの色味なども変化してキャビンの雰囲気を大きく変えてくれる。

本国で用意されるモデルは1.5リッターガソリンの120、2.0リッターディーゼルの118dと120d、2.0リッターガソリンのM135 xドライブの計4タイプ。ギヤボックスはいずれも7速DCTを採用する。120と120dに、48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載されたこともニュースのひとつだ。このうち、今回は日本導入が確実視されている120とM135の2台に試乗してきた。

念のためお断りしておくと、この世代の1シリーズもエンジンは横置きの前輪駆動が基本で、M135のみ4輪駆動となる。つまり、M2などの2シリーズクーペとは別物のプラットフォームである。また、従来はガソリンモデルであることを示していた“i”は、今後BEVを指すことになる関係で、ガソリンモデルのモデル名は基本的にシンプルな3桁の数字に改められた。

ウエット路面での安心感も抜群

アウトプット300PS/400Nmを発揮する2.0リッター直4ターボエンジンを搭載。装着タイヤはグッドイヤー・イーグルF1だ。 — 【2】

先にステアリングを握ったのはM135。最高出力300PSで0-100km/h加速を4.9秒で駆け抜けるハイパフォーマンスモデルのわりにエンジン音が控えめなのは、個人的にうれしいところ。トルク特性はフラットで扱いやすく、もちろんパワフルで、レッドゾーンが始まる6000rpmまでキッチリと、そしてスムーズに回りきるエンジンにはなにひとつ不満を抱かなかった。

ハンドリングは正確そのもので、緻密なライントレースが可能。しかも、この日はかなり強い雨が降り続く生憎の空模様だったが、xドライブが優れたトラクションを生み出してくれるおかげでまったく不安を覚えなかった。そんな、ほぼ100点満点のM135だが、乗り心地は私の好みよりもわずかに硬め。それでも剛性が高いボディのおかげでいやな微振動が残ったりしないのはさすがだが、普段使いのことを考えると、あとほんの少しだけマイルドな味付けにして欲しかったというのが個人的な感想である。

もう1台の120は、車重がM135より100kg以上も軽いおかげで軽快感が強い。3気筒エンジンはややがさついたノイズを聞かせるものの、だからといってCセグメントの水準から著しく劣っているとは思わない。一方で、足まわりはしなやかで乗り心地は快適なのに、ハンドリングの正確さはM135に迫るほど。1台のクルマとしてのバランスは、驚くほど優れている。

普段使いならもう少しマイルドな乗り心地に

正確なハンドリング性能を持つM135。あと少し乗り心地がマイルドであれば、さらに評価はあがるだろう。

快適性とハンドリングの両立にひと役買っているのが、新機軸のハイリー・プリローデッド・アンチロールバー・ベアリング。これはアンチロールバーを支持する部材とアンチロールバーの間に摺動性の優れたベアリングを採用。これを硬く締結することで、アンチロールバーのスムーズな動作を実現したという。

REPORT／大谷達也（Tatsuya OTANI）
PHOTO／BMW AG
MAGAZINE／GENROQ 2024年12月号

SPECIFICATIONS

BMW M135 xドライブ

ボディサイズ：全長4361 全幅1800 全高1459mm
ホイールベース：2670mm
エンジン：直列4気筒DOHCターボ
総排気量：1998cc
最高出力：221kW（300PS）/5750-6500rpm
最大トルク：400Nm（40.8kgm）/2000-4500rpm
トランスミッション：7速DCT
駆動方式：AWD
サスペンション形式：前マクファーソンストラット後マルチリンク
ブレーキ：前後ベンチレーテッドディスク
0-100km/h加速：4.9秒
最高速度：250km/h

【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/