ついに日本上陸!「ゴードン・マレー T.50」3シータースーパースポーツカーを生で目撃

ゴードン・マレーの「T.50」がついに日本上陸! 3シータースーパースポーツカーは驚くほどコンパクトだった

ゴードン・マレーが久しぶりに生み出した市販車「T.50」。
ゴードン・マレーが久しぶりに生み出した市販車「T.50」。
鬼才、ゴードン・マレーが久しぶりに生み出した市販車、T.50がついに日本に上陸した。カーボン製のコンパクトな3シーターボディにV12気筒NAにMT、さらに常識を覆すエアロダイナミクスなど、スーパースポーツの理想を具現化したマシンのオーラは圧倒的だ。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

GMA T.50

史上最高のスーパーカー

スーパーカーの始まりが「ランボルギーニ ミウラ」だとしたら、それからもう58年。その間に数多くのスーパーカーが誕生したが、その中からベストの1台を選べ、となると必ずと言っていいほどトップにくるのが「マクラーレン F1」である。カッコよくてパワーがあって最高速度が速ければいい、という考えが主流だったスーパーカーの世界において、マクラーレンF1が示した「速さへの哲学」は衝撃だった。

それから30年以上が経つが、マクラーレン F1を超えるクルマは現れなかった。しかし約5年前にそのゴードン・マレーが突然新たなスーパーカーを発表したことで、業界は騒然となる。何しろゴードン・マレーだ。中途半端なものを造るわけがない。いや、この三十数年でさまざまなテクノロジーが進化していることも考えれば、マクラーレン F1を超えるスーパーカーができるのではないか、というより、そうでなければゴードン・マレーがわざわざ新しいスーパーカーを造る意味がない。

V12をミッドに載せているとは思えぬほど

「GMA(ゴードン・マレー・オートモーティブ) T.50」と名付けられたそのスーパーカーの日本上陸第1号車が、目の前にある。日本でのGMAのサービスセンターであり、PDIを担うPROSLINKのガレージで対面したT.50は、超高性能スーパーカーをアピールするような仰々しさはまるでなく、プレーンでスリークなスポーツカー、という印象だ。

それにしても小さい。とてもV型12気筒がミッドに乗っているとは思えない。改めてスペックを確認すると全長は4352mm、全幅は1850mm。今どきのV12気筒ミッドシップスーパーカーと比べると、全長で400〜500mm、全幅で200mmは小さいだろう。そして重量は脅威の997kg。これはもはや他12気筒スーパーカーの2/3だ。これらの数字を見るだけで、T.50が別次元のクルマであることがわかる。

ドアはいわゆるディヘドラル式で、エンジンカバーも中央をヒンジとしてガルウイング式に跳ね上がる。リモコンキーのボタンを長押しするとドアとエンジンカバーが同時にゆっくりと跳ね上がるという“演出”も。よく考えれば12気筒もマニュアルトランスミッションも、スーパーカーファンを楽しませる演出なのかもしれない。

かつてF1で生み出された技術

外観で目を引くのがリヤにある大型のファンだ。アンダーフロアの境界層のエアを吸い出して空気の流れを整流し、ディフューザーの効果を高めるという発想は、かつてF1でファンカーを生み出したゴードン・マレーならではだろう。クルマをリフトアップして見てみると、リヤサスペンションの前方にエアの吸い込み口が確認できた。まるでレーシングマシンのようにカーボンで精緻に作り込まれたこのアンダーフロアやサスペンション、見事な肉抜きがされたペダルなど、隅々までゴードン・マレーの哲学が徹底されていることには、軽い感動さえ覚える。

今の時代に、これほどまでに作り手の想いが込められたピュアなスーパーカーが誕生するとは思わなかった。ゴードン・マレーを超えるのは、やはりゴードン・マレーしかいなかったということか。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2024年12月号

SPECIFICATIONS

GMA T.50

ボディサイズ:全長4352 全幅1850 全高1164mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:997kg
エンジン:V型12気筒DOHC
総排気量:3994cc
最高出力:614kW(670PS)/11000rpm
最大トルク:479Nm(48.8kgm)/8000rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ(リム幅):前235/35ZR19(8.5J) 後295/30ZR20(11J)
最高速度:360km/h

マクラーレンF1の再来と言われる「T.50」。

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ゴードン・マレーが自らのスーパーカー哲学を注ぎ込んだT.50。マクラーレンF1の再来と言われるこの1台に、大谷達也が同乗試乗する機会を得た。果たしてその印象は?(GENROQ 2024年11月号より転載・再構成)

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。古典的ジャイアンツファン。卵焼きが好き。愛車は993型ポルシェ911。カメラはキヤノン。