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マセラティで自分自身を表現する
プロダクトを自分好みにパーソナライズする“ビスポーク”というオーダー手法は、高級車の世界で長きにわたり受け継がれてきた概念だ。そもそも、自動車がまだ一部の富裕層のものだった黎明期には、メーカーが提供するのはシャシー部分だけであり、顧客はそれをコーチビルダーに持ち込んで好みの“衣装”を着せるのが常道だった。その慣わしは、現在のビスポークプログラムとして継承されている。高級車の価格には、自分だけのクルマを作り上げていく体験そのものも含まれているといっていいのかもしれない。
マセラティもまた、カスタマイズプログラム「フオリセリエ(Fuoriserie)」を2020年9月にスタートした。クルマを“テーラーメイドの衣服”のように、自分自身を表現する手段のひとつとして捉え、幅広くカスタムの選択肢を用意している。
気鋭三ツ星シェフのフオリセリエ
イタリア出身の三ツ星シェフ、マッシミリアーノ・アライモも、フオリセリエプログラムを通じて愛車のレヴァンテを注文したひとり。美食界を率いる気鋭の料理人は、自身のテーマカラーであるブラック×ゴールドを基調に、世界に1台だけのマセラティを作り上げた。
アライモにとって、ゴールドはの象徴なのだという。なるほどキッチンの中では、サフランに代表される黄金色は太陽の光や生命力を想起させるカラーだ。ボディとホイール、ブレーキキャリパーまでブラックでまとめたアライモのレヴァンテは、エネルギーを象徴するであるゴールドをアクセントカラーとして組み合わせている。
個性派クリエイターによるカスタマイゼーション術
自分だけのマセラティを作ることができる「フオリセリエ」の拡張性を伝えるため、同社ではとりわけユニークなカスタマイゼーション例を都度公開している。たとえば、イタリア料理界の巨人とも称されるマッシモ・ボットゥーラがカスタマイズしたレヴァンテ トロフェオは、オフロードの“泥はね”をアクションペインティングのように表現した大胆なカラーリングが特徴。中国のストリートファッションブランド「CANOTWAIT_」プロデュースのフオリセリエ仕様は、日の出やオーロラの移りゆく色調をイメージした繊細なパープルがキーカラーに。さらに、ファッションデザイナーの藤原ヒロシ氏の感性を反映させた黒と白を基調とするギブリも登場した。
世界に1台だけのマセラティを作ることができる「フオリセリエ」は今後もバリエーションを拡充していく模様。さらに、より細かなオーダーメイドの要望に応える「Sartoria(サルトリア)」ラインを追加することも明言している。