本誌副編集長が選ぶお買い得でコスパに優れた2024年の名車

好事家も納得するブランド濃度200%の走りを持つ「CLE200 カブリオレ」と「600e」【伝えておきたい2024年の名車】

60km/h以下であれば走行中でも開閉可能な電動ソフトトップを装備。開閉に要する時間は約20秒。
60km/h以下であれば走行中でも開閉可能な電動ソフトトップを装備。開閉に要する時間は約20秒。
さて、2023年はアウディR8を推した編集部・石川ですが、2024年に伝承したいクルマはもう少しお買い得な、コスパに優れたモデルをチョイス。でもその走りは、通好みそのものなんです。

オープン版CLEクーペ

GENROQ誌の巻頭を飾るプレミアムで超高性能なスーパースポーツやプレミアムモデル……、2024年も「ランボルギーニ レヴエルト」や「フェラーリ 12チリンドリ」「パガーニ ウトピア」「ロールス・ロイス スペクター」といった錚々たるクルマたちが好事家たちの眼を釘付けにしたことでしょう。

その一方で2024年、上記の超華やかなモデルたち(車両価格も“超”)とは立ち位置が異なるけれど、個人的に改めて伝えておきたい2024年の名車をチョイスしてみたいと思います。ワタクシ、GENROQ編集部・石川が選んだのは、スーパースポーツでもプレミアムSUVでもなく、「ブランドの味を堪能できる」渋い好事家向けの2台です。

1台目は「メルセデス・ベンツ CLE 200カブリオレ・スポーツ」(以下、CLE200)を挙げてみました。2023年にデビューしたCLEクーペのオープン版として2024年に投入されたモデルです。

旧き良き時代のメルセデス

実はCLE200は、メルセデス・ベンツのラインナップにおいて唯一のオープンモデルとなる貴重な存在です。ラインナップもモノグレードのみと実に潔い設定。

オープンモデルとしての快適性は流石はメルセデス、ウインドウティフレクターと後席のドラフトストップで構成される「エアキャップ」が車内への風の巻き込みを抑制し、冬場は前席に内蔵されたエアスカーフが首元を暖めてくれます。

ただ、それでけでは名車入りはしません。僕が2024年の名車として挙げたのはこのクルマが旧き良き時代のメルセデスを彷彿とさせる走りを有しているからです。発進時はイマドキのクルマらしくISGの効果もあり実にスムーズ。そして白眉はサスペンションとハンドリングです。忙しなさを一切感じさせないリニアでゆったりとした操舵感を持つステアフィール、たおやかでしっとりとした極上のライドフィールをもたらす「ダイナミック・ボディ・コントロールサスペンション(オプション設定)」。モダンなインテリアでありながら、実にエンスージアスト好みの乗り味を実現している1台です。もう少し歳を重ねたら、CLE200でゆったりとクルーズしたいなと思わせてくれた2024年のとっておきの1台でした。

フィアットらしい走り

個人的な名車2台目はまたしてもGENROQ的ではなくて恐縮ですが、「フィアット 600e」です。フィアットが1年半ぶりに日本市場に投入したモデルで、54kWhのリチウムイオン電池を搭載するクロスオーバーBEVが600eです。

1955年に登場したフィアット最初のリヤエンジン車「初代600」からインスピレーションを受けているという、丸目のLEDヘッドライトや2本スポークのステアリングといった初代のアイコンをモダンに昇華させたデザインもグッド。ボディサイズも全長4200mm×全幅1780mm×全高1595mmと日本の道路事情にピッタリのサイズ感です。

なぜ、ワタクシが600eをチョイスしたのかというと先述のCLE200同様、600eは実にフィアットらしい走りを体現していたからです。

ステアリングはスローな味付けで、舵をあてた分だけ素直に曲がるハンドリング、豊かなストローク量を持ち、路面の凹凸や轍をしっとりと収集するサスペンション。この妙味は実に「フィアット」そのものです。BEVでありながら、フィアット濃度200%の600e。万人受けするモデルでありながらも、好事家をも満足させるポテンシャルを秘めています。

GENROQ誌を彩る華やかなクルマたちだけでなはく、完全にイシカワ個人的な主観で選んだ、2024年に乗った名車2台。ぜひ、実際試乗してみてください。きっと目からウロコですよ!

PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)

フィアット 600e

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員が明かす隠れた名車3選?【2024年個人的に感動した名車】

仕事柄、多種多様なニューモデルに触れてきたモータージャーナリストたち。2024年に試乗した中で隠れた名車を選ぶ本コーナー。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の西川淳がセレクトしたのは、10ベストに選ばれないあのクルマ達……。

キーワードで検索する

著者プロフィール

石川亮平 近影

石川亮平

スーパーカー&プレミアムカー雑誌「GENROQ」に在籍しながらも、カジュアルなフレンチカーも大好物な編集…