タイプ964のリエンジニアリング仕様にスーパーチャージャーを追加

3.6リッター空冷フラット6に、スーパーチャージャー仕様をテオン・デザインが追加

964スペシャリストのテオン・デザイン、3.6リッターフラット6にスーパーチャージャー仕様を追加
テオン・デザインが開発した3.6リッター水平対抗6気筒スーパーチャージャーエンジン。
英国・オックスフォードシャー州デディントンを拠点に、空冷ポルシェをベースとしたコンプリートカーの製作やレストアを行う「テオン・デザイン(Theon Design)」が、ポルシェ911(タイプ964)をベースにした次期オーダーメイドモデルに搭載する、空冷フラット6スーパーチャージャーエンジンの詳細を公開した。

3種類のNAユニットにスーパーチャージャーを追加

964スペシャリストのテオン・デザイン、3.6リッターフラット6にスーパーチャージャー仕様を追加
ポルシェ911(タイプ964)をベースにオーダーメイド仕様のリエンジニアリングモデルを展開するテオン・デザイン。今回、次期モデルに搭載されるスーパーチャージャーエンジンを公開した。

テオン・デザインは、カーデザイナーとして20年以上も活躍してきたアダム・ホーリーにより、2016年に設立。ホーリーは、BMW、ジャガー・ランドローバー、レクサス、ロータスなどでコンセプトカーや市販モデルのデザインを行った他、航空機のエアバス A380のデザインを担当した経験を持つ。 そしてテオン・デザインはこれまでデザイン主導のアプローチをモットーに、空冷ポルシェ、特にタイプ964ベースのモデルを手掛けてきた。

今回公開された3.6リッター水平対向6気筒スーパーチャージャーエンジンは、テオン・デザインが目の肥えたカスタマーのために開発した、初のスーパーチャージャーユニット。ポルシェのエンジニアリング精神をリスペクトしつつ、現代のデザインと技術を投入することで、大幅な性能アップを実現している。

現在、テオン・デザインは、最高出力285bhpの3.6リッター、370bhpの3.8リッター、400bhpの4.0リッターという3種類の自然吸気フラット6をラインナップ。次期モデルでは最高出力450bhp・最大トルク500Nmを発揮する、3.6リッター水平対向スーパーチャージャー仕様が加わることになる。テオン・デザインのアダム・ホーリーは、新たなスーパーチャージャー仕様について次のようにコメントした。

「私たちは、このエンジンを『OEM+』と呼んでいます。細部へのこだわりと最先端のテクノロジーを駆使したことで、ポルシェ911のドライブ体験を別次元のレベルに引き上げます。エクステリアからインテリア、そしてクルマの心臓部であるエンジンに至るまで、そのアプローチが徹底されているのです」

ロトレックス製スーパーチャージャーを搭載

964スペシャリストのテオン・デザイン、3.6リッターフラット6にスーパーチャージャー仕様を追加
テオン・デザインはさなるパワーアップを実現するべく、フラット6にロトレックス製スーパーチャージャーを装着。964のコンパクトなエンジンルームに収めるため、レイアウトの変更も行っている。

フラット6をスーパーチャージャー化するにあたり、テオン・デザインは信頼性の高いロトレックス(Rotrex)製スーパーチャージャーをチョイスした。ロトレックスが展開する過給機は幅広いエンジンに対応し、直線的でスムーズな加給を実現。ポルシェのフラット6の統合性と互換性にも優れている。

「今回、私たちはロトレックス社の遠心式スーパーチャージャーを採用しました。実質的にはベルトドライブ式ターボチャージャーと言える存在であり、リニアな出力とラグのないスロットルレスポンスを実現します。そして私たちにとって、ポルシェらしいフラット6サウンドを損なわないことが重要でした。スーパーチャージャーには非常に繊細で独特の“唸り声” がありますが、フラット6サウンドを損なわず、新たなキャラクターが加えられたと言えるでしょう」と、ホーリー。

タイプ964の非常にタイトなエンジンルームに収めるため、オリジナルのエアコンユニットがあった場所にスーパーチャージャーユニットを搭載。最適な取り付け方法を決定するまでには6ヵ月間を要することになったという。また、エンジンルームをクリーンに保つために水・メタノール噴射システムを採用したことで、ボディワークに新たな開口部の追加は行っていない。

2021年12月に964ベースの次期モデルを発表予定

964スペシャリストのテオン・デザイン、3.6リッターフラット6にスーパーチャージャー仕様を追加
今回発表されたパワフルなスーパーチャージャーユニットを搭載する、964ベースの次期型は12月にも詳細が発表される予定だ。写真は現行モデルのHK002。

カスタマーが選択した仕様に合わせて、エンジンの製作期間は150〜250時間となる。すべてのエンジンは最低でも4時間はダイノシステムにかけられ、パワーとトルクの出力を確認。さらにあらゆる使用条件を想定した走行テストも実施される。ホーリーはパワーユニットの最終仕上げについて、次のように説明した。

「実走テストは、市街地、郊外のワインディングロード、高速道路など、様々な交通状況の中で実施されます。どのようなクルマであっても、高速走行時と同じように混雑したスーパーマーケットの駐車場をゆっくりとしたスピードで走らせることができなければなりません」

「何日もかけて走行中の各エンジンのコントロールマッピングを微調整し、ありとあらゆる走行シーンで最適なレスポンスが得られるようにした上でデリバリーされます。それこそがOEMレベルの完璧な品質を求める、テオン・デザインのこだわりです」。

テオン・デザインは2021年12月にも、このスーパーチャージャーエンジンが搭載される次期モデルの詳細を発表する予定だ。

RUFオートモービル、ポルシェ991と992向けに新たなエンジンコンバージョンキットを発売

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RUFオートモービル GmbHの日本インポーター「RTC」は、ポルシェ製車両向けに製造するエンジンコンバージョンキットの日本向けラインナップを拡充する。新たに導入されるのはタイプ991のカレラと同GTS用となる「Rc91」シリーズ、タイプ991 ターボと同ターボ S用「R91」シリーズ、タイプ992のカレラ S用「Rc92」シリーズ、タイプ992 ターボと同ターボ S用「R92」シリーズとなる。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…