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Alpine A110 GT4+
サーキットに加えラリーからの知見も採用

2018年にアルピーヌが導入した「A110 GT4」は、コンパクトなボディ、軽さ、最適な前後重量配分など、優れた資質を持つ市販仕様の「A110」をベースに、フランス・ブールジュを拠点とするシグナテック(Signatech)が開発したプライベーター向けレーシングカーだ。バーレーンで開催された、2018年のGT4インターナショナルカップで歴史的な勝利を記録している。
2022年、エボリューション仕様の「A110 GT4 エボ」が登場。シグナテックはギヤボックス、ターボ、エンジンブロックなどに改良を施した。A110 GT4 エボは2023年シーズンのFFSA GT選手権において初のタイトルを獲得し、2024年にはGT4ヨーロッパシリーズも制している。
激しい開発競争が繰り広げられているGT4セグメントにおいて、アルピーヌは「A110 GT4 エボ」を大幅に進化させた「A110 GT4+」を2025年から導入。開発は、サーキットレースで得た知見に加えて、WRCのR-GTクラスに投入された「A110 ラリー GT+」から得た様々なフィードバックも活用されている。
カーボン製リヤウインドウスクリーンを導入

A110 GT4+は、プライベーター向けレーシングカーとして、これまでにない扱いやすさを目指して開発。多くのライバルに打ち勝つパフォーマンスレベルだけでなく、運用コストの大幅な削減と信頼性の向上を実現していると謳う。
エクステリアはカーボンファイバー製リヤウインドウスクリーンや、サーキットでの激しいバトルに耐えられるよう、従来よりも頑丈なカーボン製フロントスプリッターの採用など、エアロダイナミクスにも変更が加えられた。
ラリーカーのA110 ラリー GT+由来の過給システムと冷却システムが搭載され、ギヤボックススペーサーを再設計。カーボンファイバー製エアボックスと大型のフロントラジエーターも導入された。さらにエキゾーストシステムと各種アンチラグ、トラクションコントロールもアップデート。新開発の大気圧適応システムにより、バラストを追加することなく高度の変化にも適応することが可能になったという。
A110 GT4+は、2024年シーズンのアルティメット耐久GTカップ最終戦にテスト参戦しており、クラス優勝を達成。ポール・リカールで開催された6時間レースにおいて、ポテンシャルの高さと信頼性の向上を証明している。