目次
総合マリンメーカーとしてのヤマハ


マリン事業本部の担当者は、「ヤマハ発動機はオートバイとマリンという2つの軸で(事業を)行っています」と話す。今回のボートショーで最大規模となったブースには、全長36フィート(約11メートル)の2階建て(「フライングブリッジ」を搭載)クルーザーから、小型船、水上オートバイ「ウェーブランナー」、船外機や電動ボートまで様々な製品が並んだ。
さらに同社が製造・販売する漁船に関するパネル展示やボート免許教室を紹介するカウンターなど、「総合マリンメーカー」としての取り組みも紹介するなど、 “守備範囲”の広さが印象的だった。
環境にもヒトにも優しい電動操船システム


中でも注目したのは、電動推進ユニットとステアリングシステムを統合した「次世代電動操船システム“HARMO”」だ。既に欧州では市場投入されているそうだが、日本でも今年の6月に発売が決まったという。3.1kWのモーターでゼロエミッション走行ができる。ゆっくりと遊覧する観光船での使用を想定しており、北海道・小樽運河で実証実験を行った上で発売決定に至った。
現在多くの遊覧船が採用しているディーゼルエンジンに比べて振動や音などの面でメリットがあり、乗客からも乗り心地の良さや「船酔いの心配がいらない」など、評判は良いとのことだ。またジョイスティックで操船ができるため、運転の負担軽減につながる。船頭からも、「運転が、かなり楽になった」と評価が高く、ヤマハの担当者は「(船頭の)習熟期間短縮にもつながる、画期的な商品だと思います」と胸を張る。
船用の水素エンジン開発に取り組む


もうひとつ注目したのは、開発中の「水素船外機」だ。プロトタイプの参考出品ではあるが、ヤマハはマリン分野におけるカーボンニュートラル達成に向けて水素エンジンの船外機への採用を検討しているという。水上を走る船にはクルマの約10倍のエネルギーが必要とのことで、ボートの種類によっては十分なバッテリーを搭載することは難しく電動化に限界がある。同社は船外機に関してもマルチパスでの取り組みが重要と考え、長期的な視野で水素エンジンの開発にも取り組んでいるという。