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1947 Ferrari 125S / 159S
エンツォ・フェラーリの野望、始まる
1920年に、アルファロメオにテストドライバーの職を得たエンツォ・フェラーリは、その後レーシングドライバーに抜擢され、タルガ・フローリオなどさまざまなレースで活躍するが、チームとの意見の対立からアルファロメオを離脱。その後4年間はフェラーリの名を使用しないという誓約書に署名して、アルファロメオのセミ・ワークスチームとなる、ソシエタ・アノニーマ・スクーデリア・フェラーリを1939年に設立する。その後はアウト・アヴィオ・コストルツィオーニとネーミングされたモデルをレースに参戦させるためにマネージャーとしての職に徹した。
フェラーリの前身「アウト アヴィオ コストルツィオーニ」
アウト・アヴィオ・コストルツィオーニからファーストモデルとなる「815」が発表されたのは1940年のことだった。アルファロメオとの間で交わした制約からフェラーリではなく、アウト・アヴィオ・コストルツィオーニの名でエントリーされた815は、その長いボンネットラインからも想像できるように、直列8気筒エンジンをフロントに搭載するモデルで、それはフィアット 508Cのアルミニウム製ブロックを2基接合した、1496ccの排気量をもつモデルだった。これにウェーバー製のキャブレターを3基組み合わせ、7.0の圧縮比を設定。最高出力は75psと発表された。トランスミッションは4速MTが組み合わされている。
フレームはスチールパイプを組み合わせて成型された、その後のフェラーリではお馴染みとなるスタイル。フロントにはストラット、リヤにはリーフスプリングとアンチロールバーをもつリジッドアクスル方式のサスペンションが与えられた。ドライウェイトで650kgの車体に75psというパワーは十分なもので、当時のテストデータによれば、このアウト・アヴィオ 850の最高速度は180km/hに達していた。
1940年4月28日にスタートしたミッレミリアは、この年はスタート地点となるブレシアをスタートした後、マントゥア、クレモナを経て、再度ブレシアに戻るルートで開催されたが、815は残念ながら途中のメカニカルトラブルでリタイヤしなければならなかった。エンツォは即座に815の進化型となる815Bの開発を指示するが、残念ながらその夢はかなわなかった。第二次世界大戦という不幸な時代がイタリアをも襲ったのだ。
満を持して誕生したフェラーリの名を冠する1号車「125S」
だが第二次世界大戦が終結すると、エンツォにはさまざまな自由が訪れる。兵器製造のための工業機械を製作する必要はなくなり、アルファロメオと交わした誓約書も、すでにその効力は失われた。エンツォ・フェラーリは堂々とレース・シーンで、そしてオンロードでもフェラーリの名を名乗ることができるようになったのだ。
すでに本社を現在もその地にあるマラネッロに移していたフェラーリは、1947年には早くもその第一号車となる「125S」を生み出す。125とはフロントに搭載されるV型12気筒エンジンのシリンダーあたりの排気量、125ccを表しており、末尾のSはスポーツを意味する。
エンツォはこの125Sの開発にあたって、アルファロメオからジョアキーノ・コロンボを招いたほか、優秀なエンジニアを招集。正確には1496.77ccとなる排気量から得られた最高出力は118psと強力で、最高速度は170km/hに達した。
僅か3台のみ製作された125S。そして発展形の159Sへ
フェラーリは、この125Sを3台製作したとされるが、そのすべてにはミラノのカロッツェリア・ツーリングによる軽量設計、すなわちスーパーレッジェーラのオープンボディが与えられた。ただし、この3台はいずれもクラッシュ等を理由に現存してはおらず、最近フェラーリのオフィシャル・イベントなどに登場する125Sは、当時の資料をもとにフェラーリのクラシックカー部門・クラシケが製作した、きわめて精巧なレプリカである。
またフェラーリは、同じ1947年に125Sの進化型として、V12エンジンの排気量を1902.84ccに拡大した「159S」も製作。最高出力はさらに125psにまで向上し、トリノGPなどのレースを制覇するなど、多くの活躍を見せた。
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
【SPECIFICATIONS】
フェラーリ 125S
年式:1947年
エンジン:60度V型12気筒SOHC
排気量:1496.77cc
最高出力:87kW(118hp)/6800rpm
乾燥重量:650kg
最高速度:170km/h
フェラーリ 159S
年式:1947年
エンジン:60度V型12気筒SOHC
排気量:1902.84cc
最高出力:92kW(125hp)/6500rpm
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